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《櫻井ジャーナル》

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2013.11.14
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 権力者は被支配者を監視するために個人情報を集める一方、自分たちにとって都合の悪い行政情報を隠す。掲げられた看板が「資本主義」であろうと「社会主義」であろうと、権力者にとって監視と秘密は支配システムを支える重要な柱だ。アメリカやイギリスの情報機関を東ドイツで恐れられたシュタージに準える人が出てくるのは当然だということでもある。

 最近も、こうした権力者の実態を示唆する出来事が表面化した。イギリスでは4年にわたり、ジョン・チルコットを中心とするチームがイラクに対する先制攻撃について調べていたのだが、その報告書の公開をアメリカのホワイトハウスや国務省が止めているのだという話がひとつ。もうひとつは、アメリカの巨大企業が環太平洋を植民地化することになるTPPの交渉内容をWikiLeaksが明らかにした話。

 チルコットの報告書でアメリカ側が問題にしているのは、ジョージ・W・ブッシュ米大統領とトニー・ブレア英首相との通信内容だという。当時、ブッシュ・ジュニア政権はイラクに大量破壊兵器があり、今にもアメリカが核兵器で攻撃されるかのように宣伝、その一方でサダム・フセインがアル・カイダと関係があるかのような内容の偽情報をメディアで流していた。この話が嘘だということはブッシュもブレアも知っていたはず。そうしたことを裏付ける会話が含まれている可能性がある。

 TPPは秘密裏に話し合いが進められているのだが、それは庶民に限られたこと。巨大企業は協議の内容を知る立場にある。600を超す大企業のロビイストはTPPの文面を参照するだけでなく、意見を述べる権利もあるのだ。この事実だけでもTPPの本質がわかる。

 今回、明らかにされた文書を見て「大企業主体の要望リスト」だと批判する人もいる。アメリカ企業に都合良く著作権を定め、ジェネリック医薬品(後発医薬品)に対する規制を強化、インターネットから自由を奪うという指摘もある。アメリカではインターネットの監視を強化、事実上、あらゆる情報をアメリカのDHS(国土安全保障省)が入手できるようにしようとしているが、TPPもそうした動きが反映されるのだろう。

 しかし、言うまでもなく、TPPで最大の問題はISDS(国家投資家紛争処理)条項。巨大企業のカネ儲けを容易にするため、この条項によって参加国の政府、議会、裁判所の手足は縛られることになるからだ。企業活動や金融システムに対する規制、食糧の安全、環境汚染の防止、労働者の権利保護などを各国の政府や議会で決定することが不可能になってしまい、庶民は巨大企業に生殺与奪の権を握られる。

 民主主義を装うという考えもなくしたらしい安倍晋三政権は、国家安全保障基本法案や特定秘密保護法案を成立させようとしている。憲法を破壊しようということであり、「法の支配」という発想もない。

 安倍首相が「特定秘密保護法案」を審議する「特別委員会」を衆議院に設置するよう指示した10月3日、日米安全保障協議委員会は「より力強い同盟とより大きな責任の共有に向けて」という共同文書を発表した。この時点のメンバーはアメリカのジョン・ケリー国務長官、チャック・ヘーゲル国防長官、日本の岸田文雄外相、小野寺五典防衛相だ。

 日本とアメリカとの間にある思惑の違いがここに出ている。つまり、「特定秘密保護法案」とは行政情報を官僚が完全に支配することを目的にしているのだが、日米共同発表では軍事情報の保全を想定している。アメリカの要求に日本が「悪乗り」した可能性が高いということ。この違いが日米間に亀裂を入れるかもしれない。





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最終更新日  2013.11.15 04:54:20



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