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《櫻井ジャーナル》

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2014.07.16
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 ウクライナの東部ではアメリカ/NATOを後ろ盾とするキエフ政権の武装集団(ネオ・ナチを中心とする親衛隊やアメリカの傭兵会社の戦闘員が中心)が住宅街を攻撃、非武装の住民が虐殺され、すでに50万人近くがロシア領へ避難して難民生活を送っている。7月10日にはキエフの内務省は東部で大規模な攻勢を開始したと発表、そして15日の早朝にドネツク州のスネジヌイが空爆され、4階建ての集合住宅が破壊されて11名以上が死亡している。航空機から4発のミサイルが発射され、そのうち3発がその集合住宅へ命中したという。

 この地域はロシア語を話す住民が多く、キエフ政権に対する抵抗を続けてきた。地元の人びとは今回もキエフ政権側が空爆したと主張しているが、そのキエフ政権はロシアによる攻撃だというストーリーを示唆、日本のマスコミはその話を垂れ流している。アメリカの支配層が操っている勢力の肩を持つ方が得だという計算はいつもの通り。

 言うまでもなく、アメリカ支配層のウクライナ乗っ取りは「オレンジ革命」から始まっている。2004年から05年にかけて選挙結果を翻すために行われた一種の蜂起で、街頭における活動の中心は学生だったが、その背後には支援のネットワークが存在した。

 そのネットワークにはアメリカ国務省、CIAと関係が深いUSAID、欧米支配層の利害調整機関と言われているビルダーバーグ・グループ、投機家として有名なジョージ・ソロスのオープン・ソサエティが含まれ、この「革命」で実権を握ったビクトル・ユシチェンコのスポンサーとして、ボリス・エリツィン時代のロシアで不公正な手段を使って巨万の富を築いた「オリガルヒ」のボリス・ベレゾフスキーの名前が挙がっている。

 ユシチェンコ政権は「西側」の巨大資本にとって都合の良い、つまり新自由主義に基づく政策を推進し、「オリガルヒ」が登場した一方、貧困化が進んで「革命」は失速してしまう。そして今年2月のクーデターだ。今回はナチスの末裔たちを使って前政権を倒している。

 革命の2カ月前、2013年12月の中旬にネオコン(親イスラエル派)のジョン・マケインとジョー・リーバーマン、ふたりのアメリカ上院の議員がキエフへ乗り込んで体制転覆を煽る演説をした。同じ頃、やはりネオコンのビクトリア・ヌランド国務次官補は米国ウクライナ基金の大会で演壇に登場、1991年からウクライナを支援するため、50億ドルを投資したと発言している。その際、彼女の背後には巨大石油企業シェブロンのマークが飾られていた。

 1991年と言えば、ネオコンのポール・ウォルフォウィッツ国防次官がシリア、イラン、イラクを殲滅すると語っていた年。その翌年には国防総省のネオコンがアメリカの潜在的ライバルを潰すとするDPG(国防計画指針)の草案を作成している。この段階でネオコンは自分たちが「唯一の超大国」だと認識、その後に世界情勢が大きく変化したことを受け入れず、軍事力で脅せば思い通りになると信じ続けている。

 キエフでネオ・ナチがクーデターを始める直前、2月4日にヌランド米国務次官補とジェオフリー・パイアット駐ウクライナ米国大使との電話会談を盗聴した音声がYouTubeにアップロードされ、「次期政権」の閣僚人事について話し合っている。その中でヌランドが高く評価していたのが銀行出身のアルセニー・ヤツェニュク。クーデター後、首相として活動している。

 そのヤツェニュクを中心とする政権を樹立するためにはビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒す必要があるのだが、EUは非暴力を望んでいた。それが気に入らなかったらしいヌランドの口から「EUなんかくそくらえ(F*ck the EU)」という表現が出てくる。

 実際、体制転覆はネオ・ナチを使った暴力的なもの。その引き金になった警官隊や市民に対する狙撃がヌランドたちの傀儡勢力だったことはEUも認識している。現地を調査したエストニアのウルマス・パエト外相がEUのキャサリン・アシュトン外務安全保障政策上級代表(外交部門の責任者)へ次のように報告しているのだ:

 「全ての証拠が示していることは、スナイパーに殺された人びと、つまり警官や街に出ていた人たち双方、そうした人びとを同じスナイパーが殺している。同じ筆跡、同じ銃弾。実際に何が起こったかを新連合(暫定政権)が調査したがらないほど、本当に当惑させるものだ。スナイパーの背後にいるのはヤヌコビッチでなく、新連合の誰かだというきわめて強い理解がある。」「新連合はもはや信用できない。

 パエト大使は「新連合の誰か」が狙撃の黒幕だとしているが、クーデターの前までウクライナの治安機関SBUの長官だったアレクサンドル・ヤキメンコはアンドレイ・パルビーという名前を出した。バルビーはキエフ政権で軍と治安機関を統轄している。

 この報告を聞いたアシュトンは「議会を機能させなければならない」と応じる。「もし議会が機能しないと、完全なカオスになる。」と続けている。オリガルヒとネオ・ナチで成立している暫定政権を潰せば、ネオコンの世界制覇プランや巨大資本の利権が崩れてしまうというわけだろう。

 その後、巨大資本の代弁者でもあるIMFは融資の条件として、東部や南部を制圧するように命じている。ウクライナに限らず、IMFやIBRD(世界銀行)は巨大資本の略奪を支援してきた。

 その略奪システムに反旗を翻したのがBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)。ブラジルで首脳会議が開かれているが、IMFに替わる「開発銀行」を設立する動きを見せているのだ。すでに「ドル離れ」も始めているわけで、アメリカにとっては深刻な事態。あらゆる手段を講じて潰しに来るだろうが、そうした傲慢な強硬手段がBRICSなどの結束を強めている。アメリカが最後に頼るのは核兵器かもしれない。





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最終更新日  2014.07.16 20:54:02



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