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《櫻井ジャーナル》

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2014.07.28
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 アメリカのタイム誌がロシア領からウクライナ領に向けて砲撃している様子だとする衛星写真を載せている。ロシアの反応を見ないと何とも言えないが、いつかの時点でロシア側から砲撃があったように見える。ウクライナ側からキエフ軍が繰り返しロシア領を砲撃し、住民ひとりが殺されている状況から考えれば、撃ち返したとしても不思議ではない。

 この写真公表でアメリカ政府に対する疑惑が深まったことも確かである。ロシア軍がウクライナ領へ侵攻したり、国境近くに集結したりしている写真、あるいはマレーシア航空17便の撃墜に関する写真などをアメリカはなぜ公表できないのか、ということだ。

 アメリカ政府や「西側」メディアはロシアがウクライナを軍事侵攻していると叫んでいるが、実際はアメリカが侵略していることは明白。ペトロ・ポロシェンコ大統領は一応、選挙で選ばれているが、その選挙は東部や南部をキエフのクーデター政権が攻撃する中で実施されたもの。しかも、東部地域の住民はそのクーデター政権を拒否、自主独立の道を歩む姿勢を明確にしていた。

 クーデターの黒幕はアメリカ。その傀儡であるオリガルヒとネオ・ナチが今年2月に実行、合法的に選ばれたビクトル・ヤヌコビッチ大統領から実権を奪ったのだ。その3カ月前、アメリカのビクトリア・ヌランド国務次官補はウクライナの体制をアメリカ支配層にとって都合良く作り替えるため、1991年から50億ドルを投入してきたと米国ウクライナ基金の大会で演説している。

 言うまでもなく1991年とはソ連が消滅した年であり、2004年から05年にかけて「オレンジ革命」が実行され、ビクトル・ユシチェンコが実権を握った。そして新自由主義に基づく政策が導入され、ごく一部の人びとが不公正な手段で巨万の富を築く一方、庶民の貧困化が進んだ。そうした政策への反発が2010年にヤヌコビッチを大統領にした一因である。

 オレンジ革命に同時にアメリカ/NATOはネオ・ナチをバルト3国にあるNATOの訓練施設で軍事訓練を開始、さらに昨年9月、ポーランド外務省はクーデター派の86人を大学の交換学生を装って招待、ワルシャワ郊外にある警察の訓練センターで4週間にわたって暴動の訓練を実施したという。この時点でクーデターは規定の方針だったということだ。

 今年2月4日、ビクトリア・ヌランド米国務次官補とジェオフリー・パイアット駐ウクライナ米国大使との電話会談を盗聴した音声がYouTubeへアップロードされた。その中でふたりは「次期政権」の閣僚人事について話し合い、アルセニー・ヤツェニュクを高く評価、つまりアメリカへ忠誠を誓う傀儡として優秀だとしている。

 YouTubeに音声が流れる以前からヌランドは暴力的に政権を転覆させるつもりで、話し合いで解決しようとするEUに不満を持っていた。そこで「EUなんかくそくらえ(F*ck the EU)」という表現が彼女の口から出てくるわけだ。単に「下品」というだけの話ではない。

 ヌランドの意向通り、2月18日頃から抗議活動が激しくなる。石だけでなく火焔瓶が投げられ、銃やライフルが持ち出される。21日にはヤヌコビッチ大統領と反ヤヌコビッチ派が平和協定に調印するのだが、翌22日には屋上からの狙撃で多くの死者が出始め、協定は実現しなかった。この日、議会は憲法の規定を無視してトゥルチノフを大統領代行に任命した。

 こうした状況の中、エストニアのウルマス・パエト外相が2月25日にキエフ入りして調査、その内容を26日にEUのキャサリン・アシュトン外務安全保障政策上級代表(外交部門の責任者/イギリス人)へ電話で報告している:

 「全ての証拠が示していることは、スナイパーに殺された人びと、つまり警官や街に出ていた人たち双方、そうした人びとを同じスナイパーが殺している。同じ筆跡、同じ銃弾。実際に何が起こったかを新連合(暫定政権)が調査したがらないほど、本当に当惑させるものだ。スナイパーの背後にいるのはヤヌコビッチでなく、新連合の誰かだというきわめて強い理解がある。」「新連合はもはや信用できない。

 警官と市民を狙撃していたのは「西側」が支援するクーデター派だということだが、アシュトンは「議会を機能させなければならない」と応じている。「国境なき巨大資本」のプランを実現するため、事実を隠蔽して嘘をつき通し、議会を守るべきだと言っているわけだ。ネオ・ナチの「ウクライナ社会ナショナル党」を創設したひとり、アンドレイ・パルビーが狙撃を指揮していた可能性が高い。この人物、現在は国家安全保障国防会議(国防省や軍を統括する)の議長を務め、5月2日のオデッサにおける虐殺でも中心的な役割を果たしたひとりである。

 キエフのクーデターを東部や南部の住民は拒否、自主独立への道を歩み始めるが、そうした東部や南部への攻撃が本格化するのは4月12日にジョン・ブレナンCIA長官がキエフを極秘訪問してから。14日にはアレクサンドル・トゥルチノフ大統領代行が制圧作戦を承認、22日にはジョー・バイデン米副大統領がキエフを訪問した。オデッサでの作戦が話し合われたのはこの頃。デレク・チョレット米国防次官補がキエフ入りした6月2日にウクライナ東部にあるルガンスクの住宅街をキエフ軍は空爆、住民が殺されている。キエフ軍による攻撃や虐殺はアメリカ政府の動きと連動している。

 アメリカの傭兵会社「アカデミ(旧社名はブラックウォーター)」の傭兵約400名のほか、ポーランドの軍事会社ASBSオタゴの戦闘員も東部の制圧作戦に参加していると言われている。アカデミの戦闘員は「元特殊部隊員」が多く、事実上、アメリカ軍の特殊部隊が「民間」の衣を着て戦闘に参加しているということ。それ以外にアメリカ政府はCIAやFBIの専門家数十名を顧問として送り込み、さらに国防総省は戦略と政策の専門家チーム、つまり軍事顧問団をキエフへ派遣するのだという。事実上、アメリカ/NATOはウクライナに軍事介入している。





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最終更新日  2014.07.28 13:36:37



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