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スウェーデンの動きにアメリカの支配層が神経を尖らせている。9月14日の総選挙で社会民主労働党が第1党になり、10月2日に同党のステファン・ロベーン党首が首相に就任することを議会が承認、政策が大きく変化しそうだからだ。
日本のマスコミは原発依存を見直しに注目するかもしれないが、世界的にはパレスチナを国家として承認する方針を打ち出していることが話題になっている。イスラエル政府は激しく反発し、4日にはアビグドル・リーバーマン外相がスウェーデン大使を召還すると語った。また、アメリカにとってスウェーデンはロシアを封じ込めるために重要な国で、NATOへ引き込もうとしてきたが、新政権はその意思もないようだ。 ロシアや中国を封じ込める戦略を1990年代に打ち出したのはズビグネフ・ブレジンスキー。その息子であるマーク・ブレジンスキーは現在、スウェーデン駐在のアメリカ大使だ。2011年9月にバラク・オバマ大統領が指名、10月に承認されている。アメリカは各国に対する工作を行う場合、大使館を拠点にする。少なからぬ場合、大使がその責任者だ。 大使就任の前年4月、内部告発の支援を行っていたWikiLeaksはアメリカ政府にとって都合の悪い情報を流し始める。まず米軍のアパッチ・ヘリコプターが非武装の人間、十数名を殺害する場面を撮影した映像を公開、それに続いてさまざまな資料を公表していくのだ。最初に公表された映像に記録された犠牲者の中には通信社ロイターのスタッフ2名も含まれていた。そのWikiLeaksの象徴的な存在がジュリアン・アッサンジだ。 この内部告発に怒った勢力はアッサンジへの攻撃を開始、8月には警察が検事に逮捕令状を出させ、同時にタブロイド紙エクスプレッセンへリーク、同紙はセンセーショナルに報道し、アッサンジは指名手配されたが、翌日になると証拠不十分だとして主任検事が令状を取り消す。その決定をさらに検事局長が取り消して捜査が再開され、全ての捜査資料がメディアに流されている。アッサンジは逮捕令状が出る前にスウェーデンを出国、イギリスへ向かった。 容疑は「レイプ」だとされたが、実際は合意の上でセックスを始めたが最終的には合意でなくなったという微妙な話だった。訴えたのはふたりの女性で、ひとりはアッサンジがコンドームが破れた後もセックスを続けたと主張、もうひとりはコンドームが使用できる状態でなくなったので止めるように言ったが、止めなかったとしている。アッサンジはこうした訴えを正確でないと主張している。 「被害者」のひとりは男に「二股」を許さず、「法的な復讐」を主張するフェミニストだと言われ、そのいとこはスウェーデン軍の中佐。しかも、彼女はCIA系の「自由キューバ同盟」と関係があり、彼女自身も国家転覆活動を理由にしてキューバを追放された過去があるという。 ところで、マーク・ブレジンスキーの父、ズビグネフ・ブレジンスキーはCIAと関係が深く、デイビッド・ロックフェラーと親しいことで知られている。このふたりにピックアップされて大統領になったのがジミー・カーターだ。 ズビグネフの長男であるイアンはジョージ・W・ブッシュ政権で国防副次官補を務めた経験があり、現在は父親の戦略を反映した団体、大西洋会議のメンバー。専門とする分野にはNATOやウクライナの問題も含まれている。妹のミカはMSNBCで父親の戦略を宣伝してきた。 ブレジンスキーは政府の仕事をする一方、1960年から89年までコロンビア大学で教授を務めていた。その間、バラク・オバマも同大学へ通っていたとされ、接触していたとする噂も流れている。 ビル・クリントン政権で国務長官を務め、ユーゴスラビアへの先制攻撃を扇動したひとりのマデリーン・オルブライトがズビグネフ・ブレジンスキーの教え子だということは広く知られている。 マデリーン・オルブライトの父、ジョセフ・コーベルがデンバー大学で教えた学生のひとりがブッシュ・ジュニア政権で国務長官を務めたコンドリーサ・ライス。娘のマデリーン・オルブライトの教え子にはオバマ政権で国家安全保障問題の補佐官を務めているスーザン・ライスがいる。 ユーゴスラビアへの先制攻撃を実現するため、アメリカの支配層は「人道」という看板を掲げ、それに沿った作り話を流して攻撃を正当化しようとした。そうした宣伝はメディアが行ったわけだが、1993年から96年までユーゴスラビアに関する「記事」を書いていたひとりがサマンサ・パワー国連大使だ。この時の「報道」が評価され、ピューリッツァー賞が授与されている。 これまでアメリカの支配層は自分たちの意に沿わない政権、体制は破壊してきた。スウェーデンの新政府に対してブレジンスキー人脈が何かを仕掛けてくる可能性は小さくない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014.10.06 13:45:20
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