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《櫻井ジャーナル》

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2014.10.07
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 情報操作のため、CIAがジャーナリストを雇っていることは以前から指摘されているが、この問題に関する新たな告発者が現れた。ドイツの有力紙、フランクフルター・アルゲマイネ紙(FAZ)の元編集者でヘルムート・コール首相の顧問を務めた経験もあるウド・ウルフコテだ。

 ドイツだけでなく多くの国のジャーナリストがCIAに買収され、例えば、人びとがロシアに敵意を持つように誘導するプロパガンダを展開している。そうした仕組みを作り上げるため、アメリカの支配層はドイツの有力な新聞、雑誌、ラジオ、テレビのジャーナリストを顎足つきでアメリカに招待、取り込んでいく。そうして築かれた「交友関係」を通じてジャーナリストは洗脳されるわけだ。

 そうしたジャーナリストへは「スクープ情報」を流し、場合によっては記事を提供するのだが、反抗する者は職を失う。例えば、以前、本ブログで取り上げたロバート・パリーやゲーリー・ウェッブはCIAと麻薬取引の関係にメスを入れた後、メディアの世界から追い出された。ウェッブはワシントン・ポスト紙、ニューヨーク・タイムズ紙、ロサンゼルス・タイムズ紙などから激しい攻撃を受け、自殺に追い込まれている。

 こうした仕組みの中に日本のマスコミも取り込まれているはず(ドイツより状況は悪いだろう)だが、日本の場合、国内でも官庁や大企業では記者クラブを通じて「レクチャー」を実施、警察などは記事自体を提供しているという話を聞く。「足で調べる」のではなく、「餌場」で餌が配られるのを待つわけだ。こうした仕組みの中にどっぷり浸かっている人たちが権力者と対峙できるはずはなく、体制を批判できるはずもない。家畜と同じ。

 アメリカ支配層がメディアをプロパガンダ機関として使い始めたのは第2次世界大戦より前の話で、恐らくメディアの歴史と同じくらい古い。ジャーナリストのデボラ・デイビスによると、大戦後にアレン・ダレス、その側近だったフランク・ウィズナーやリチャード・ヘルムズ、さらにワシントン・ポスト紙のオーナーだったフィリップ・グラハムが中心になって情報操作プロジェクトを展開している。いわゆる「モッキンバード」だ。

 ダレス、ウィズナー、ヘルムズは情報機関の人間だが、金融界の住民でもある。ダレスとウィズナーはウォール街の弁護士、ヘルムズの祖父は国際的な投資家。グラハムは大戦中に陸軍情報部に所属、義理の父は世界銀行の初代総裁、ユージン・メイアーである。

 グラハムの妻 キャサリン・グラハムはウォーターゲート事件でリチャード・ニクソンを辞任に追い込んだことで知られているが、彼女は1988年にCIAの新人に対して次のように語っている:

 「我々は汚く危険な世界に生きている。一般大衆の知る必要がなく、知ってはならない情報がある。政府が合法的に秘密を維持することができ、新聞が知っている事実のうち何を報道するかを決めることができるとき、民主主義が花開くと私は信じている。」

 彼女が考える「民主主義」とは特権階級のものにすぎず、庶民は人間として扱われていない。ウクライナのキエフ政権は東/南部のロシア語を話す住民を「劣等人類」と表現したが、発想は似ている。

 ウォーターゲート事件を調べた記者のひとり、カール・バーンスタインは1977年にワシントン・ポスト紙を辞め、ローリング・ストーン誌に「CIAとメディア」という記事を書いている。(Carl Bernstein, “CIA and the Media”, Rolling Stone, October 20, 1977)

 それによると、まだメディアの統制が緩かった当時でも400名以上のジャーナリストがCIAのために働いていたという。また、1950年から66年にかけて、ニューヨーク・タイムズ紙は少なくとも10名の工作員に架空の肩書きを提供しているとCIAの高官は語ったという。

 今回、ウルフコテが本の中でメディアの腐敗を告発した理由は、アメリカの支配層が望むロシアとの戦争にドイツのメディアが荷担、偽情報を流すことで人びとを戦争へと誘導しているからだという。アメリカ/NATOとロシアの戦争で核兵器が使われる可能性は高い。フランクフルター・アルゲマイネ紙も戦争の旗振り役として偽情報を伝えてきた。

 日本のマスコミもアメリカ支配層の手先になって情報操作に励んでいるが、そうしたことを告発する声は内部から聞こえてこない。それどころか「リベラル派」や「革新勢力」を自称する人びとまでがマスコミに引きずられ、すでに「アメリカの戦争」に荷担している。「特定秘密保護法案」はマスコミ以外の情報発信者に向けられることになり、このような状況で「集団的自衛権」の行使が認められれば、日本は破滅へ突き進むことになるだろう。





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最終更新日  2014.10.08 13:52:58



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