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《櫻井ジャーナル》

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2015.01.16
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 ネオコン/シオニストの戦略に引きずられ、アメリカ政府は無謀な戦いを続けてきた。ペルシャ湾岸の産油国にカネを出させて傭兵を雇って自国や「同盟国」の情報機関や特殊部隊に訓練させ、あるいは投機市場を利用して金融戦争を仕掛け、配下のNGOを動かして服わない国々の体制転覆を図っているが、全て裏目に出ている。かつては世界チャンピオンだった老齢のボクサーがノーガードで打ち合いを始めたようなもので、無謀だったのである。

 この無謀な戦いはソ連消滅時にネオコン/シオニストが抱いた勘違いから始まった。その勘違いに基づいて作成されたのが1992年のDPG(国防計画指針)の草案。アメリカが世界を支配する「千年紀」の幕開けだと考えたのかもしれない。EU、旧ソ連圏、南西アジアを潜在的なライバルと見なし、エネルギー源を支配してその潜在的ライバルを潰そうと計画した。

 手始めに狙われたのがユーゴスラビア。1999年にアメリカ/NATOは偽情報を広めながら先制攻撃、建造物を破壊し、市民を殺害、スロボダン・ミロシェビッチの自宅や中国大使館も攻撃している。この後、NATOは東へ勢力圏を拡大、ロシアに迫っていく。

 2000年には、ネオコン系シンクタンクのPNACがDPGに基づく報告書『米国防の再構築』を発表、この年の大統領選挙で当選したジョージ・W・ブッシュは就任後、この報告書に従った政策を推進していく。そして2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとワシントンDCの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されると、これを利用して国外で軍事侵略を始め、国内では監視システムを増強、警察を軍隊化、つまりファシズム化させていく。

 アフガニスタンやイラクを破壊した後、2011年にリビアを攻撃する。この際、NATOの空爆で支援されて地上で戦っていた部隊の中心はアル・カイダ系のLIFGだった。その年のうちに体制転覆は成功したが、アメリカを中心とするNATO、ペルシャ湾岸のサウジアラビアやカタールなどはアル・カイダと手を組んでいることが発覚してしまう。

 その後も西側やカタールの有力メディアがアメリカの作り出した幻影を維持しようと圧倒的な報道を繰り返すが、その幻影を現実だと錯覚しているのは何も考えない人びと。自分で考える人びとは覚醒したはず。そうしたメディアのプロパガンダをそのまま口にしている「知識人」もいるが、それは考えているようで考えていないのか、西側支配層が配置したエージェントなのだろう。

 ウクライナでアメリカは露骨に乗っ取りを謀っている。2013年12月にビクトリア・ヌランド国務次官補は、1991年からウクライナを支援するために50億ドルを投資したと米国ウクライナ基金の大会で発言、そのヌランドがクーデター前から高く評価し、「次期政権」で入閣させるとしていたアルセニー・ヤツェニュクはクーデター後、首相になっている。こうした状況は西側でも報道されるようになっている。

 昨年末にはシカゴ生まれでアメリカの外交官だったナタリー・ヤレスコが金融大臣に、リトアニアの投資銀行家だったアイバラス・アブロマビチュスが経済大臣に、グルジアで労働社会保護相を務めたことのあるアレキサンドル・クビタシビリが保健大臣に就任している。いずれもウクライナ国籍を取得したのは就任の直前。

 経済大臣は外国投資やビジネス環境の改善などの顧問として「元エストニア人」のヤーニカ・メリロを指名したのだが、この女性はそうした仕事よりファッションの分野に興味があるような人物。

estonia

 外国人ということでは、ドニエプロペトロフスクの知事を務めるイゴール・コロモイスキーも当てはまるだろう。オデッサでの虐殺やウクライナの東部や南部での民族浄化で中心的な役割を果たしていると言われている人物だが、ウクライナ、イスラエル、キプロスの三重国籍を持っている。ウクライナでは二重国籍が禁止されているが、三重国籍なら問題ないのだという。

 コロモイスキーと同様、殺戮と破壊の中心メンバーとして国家安全保障国防会議(国防省や軍を統括する)の議長に就任したアンドレイ・パルビー、右派セクターのリーダーで国家安全保障国防会議の副議長に選ばれたドミトロ・ヤロシュを挙げることができる。ヤロシュは現在、議員だが、議会へは手榴弾を携帯して入るという。3人のうち、コロモイスキーはシオニスト、バルビーとヤロシュはネオ・ナチ(ステファン・バンデラ派)だ。

 アメリカの支配層(ウォール街)がナチスと手を組むことは自然。例えば、1932年の大統領選挙でニューディール派のフランクリン・ルーズベルトがウォール街を後ろ盾にしていた現職のハーバート・フーバーを破ると、JPモルガンを中心とする巨大資本がルーズベルトを排除してファシズム体制の政権を樹立させようとしている。これは海兵隊の伝説的な軍人、スメドリー・バトラー少将が議会で証言して明らかになった。

 そのルーズベルトは1945年4月、ドイツが降伏する前の月に執務室で急死、ホワイトハウスは反ファシズムから反コミュニストへ大きく変化する。ドイツに続いて日本が降伏すると、アメリカ国務省はナチスの残党やソ連の勢力下に入った地域から亡命してきた反コミュニスト勢力を雇い始めた。これが「ブラッドストーン作戦」だ。ソ連消滅後、こうした人びとやその子孫が出身国へ戻り、アメリカの手先として動いている。

 同時にアメリカはヨーロッパに秘密部隊を組織、1949年にNATOが創設されると、その内部に潜り込ませた。その手先として右翼団体が使われ、さまざまな工作に利用されている。中でも有名な作戦がイタリアのグラディオが「極左」を装って1960年代から80年頃にかけて実施した爆弾攻撃。この攻撃を口実にして治安体制を強化、左翼勢力を潰していった。いわゆる「緊張戦略」だ。「NATOの秘密部隊」はフランスのシャルル・ド・ゴール大統領暗殺未遂にも関わったと言われている。つまり、この部隊は自国政府ではなくアメリカ支配層の命令に従っている。

 1990年にイタリアのジュリオ・アンドレオッチ首相がグラディオの存在を公的に認めた後、全NATO加盟国にグラディオのような秘密部隊が存在していることが判明した。建前としてはソ連軍に占領された際のレジスタンス部隊ということになっていたが、実際はアメリカがヨーロッパを支配する仕組みだ。ウクライナはソ連の一部だったが、そうした秘密部隊をアメリカは送り込んでいる。

 外で口にするかどうかはともかく、1990年以降、EUを含む全世界で、政治や経済に興味のある人なら「NATOの秘密部隊」が存在していることは常識。そうした目でウクライナやフランスの状況を見ているはずだ。嘘の上に築かれたアメリカだが、すでに嘘は知られている。事実の報道を「プロパガンダ」だと西側の有力メディアは叫んでいるが、事実を見ている人からは相手にされていないだろう。アメリカへの恐怖心が薄らいだなら、アメリカの支配力は一気に消滅する可能性がある。





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最終更新日  2015.01.17 01:41:37



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