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《櫻井ジャーナル》

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2015.02.07
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 「イラクとレバント(エーゲ海や地中海の東岸地方)のイスラム首長国」、いわゆるIS(イスラム国。ISIS、ISIL、IEILとも表記)は湯川遥菜(湯川政行)と後藤健二を殺したと言われている。

 それに対し、10カ月にわたって拘束された後、昨年4月に解放されたジャーナリストがいる。フランス人のディディエ・フランソワだ。彼によると、ISは宗教にほとんど関心を示さず、政治的な話をしただけだという。ISは宗教的な集団でなく、「イスラム」という単語を入れたのも政治的な判断だったということだろう。実際、ISの行うことは「イスラム的」でない。

 すでに書いたことだが、ISは1999年に「一神教聖戦団(JTJ)」として創設され、アメリカがイラクを先制攻撃してサダム・フセイン体制を倒した後、2004年からAQI(イラクのアル・カイダ)としてイラクへ入り、活動を始めた。2006年1月にAQIを中心にしてISI(イラクのイスラム国)が編成され、シリアで政府軍が優勢になると活動範囲をそのシリアへ拡大させて名称もISに変更された。その間、2012年にはヨルダン北部に設置された秘密基地でCIAや特殊部隊がその主要メンバーが訓練を受けたと伝えられている。

 アル・カイダとは統一された戦闘集団でなく、ロビン・クック元英外相も指摘しているように、CIAに雇われて訓練を受けた数千人におよぶ「ムジャヒディン」のコンピュータ・ファイル。「プロジェクト」が企画されると、そのファイルの中から戦闘員が選ばれて派遣されるということだろう。アル・カイダとはアラビア語で「ベース」を意味、「基地」と表現することもできるが、実態は「データベース」だということだ。なお、この記事を書いた翌月、クックは保養先のスコットランドで心臓発作に襲われて死亡してしまった。享年59歳。

 このムジャヒディン、つまりイスラム系武装集団を組織したのはズビグネフ・ブレジンスキーだ。1976年の大統領選挙で当選したジミー・カーターはブレジンスキーとデイビッド・ロックフェラーに選ばれた人物で、大統領に就任したカーターはブレジンスキーを大統領補佐官に据える。ブレジンスキーはポーランド工作を進める一方、1979年4月にCIAのイスラム武装勢力支援プログラムを開始した。

 ブレジンスキーの思惑通り、この年の12月にソ連軍の機甲部隊がアフガニスタンへ軍事侵攻、そのソ連軍とイスラム武装勢力は戦うことになる。CIAは資金や武器を供給し、爆弾製造や破壊工作の方法を教え、都市ゲリラ戦の訓練もしている。そうした訓練を受けた戦闘員のファイルがアル・カイダだとクック元英外相は主張しているのだ。そうした中からオサマ・ビン・ラディンたちも出てきた。

 戦闘員にはさまざまな人が参加しているだろうが、ISにしろ、アル・カイダにしろ、組織なりファイルなりが宗教的だというわけではない。むしろ、宗教的なのはアメリカのジョージ・W・ブッシュ政権だった。その政権を支えたアメリカ国民も宗教的で、全体の40%以上は聖書に書かれた最終戦争の予言を信じているとウィスコンシン大学のポール・ボイヤー教授は書いている。

 ブッシュ・ジュニアたちの信仰をさかのぼるとオリバー・クロムウェルにたどり着く。ジャン・カルバンの主張を信じ、魂の救済は神によって定められていることなので「善行」は意味がないと考える宗派に属していた。

 禁欲を肯定し、金貸しも認めたが、禁欲と強欲は紙一重。不正であろうと何であろうと、カネ儲けに成功すれば、神に選ばれた印だと考えるようになる。これは資本主義の勃興と結びついている。

 そうした考え方をする一派がピューリタンであり、1640年から60年にかけてイギリスでピューリタン革命を成功させる。この革命で議会軍を指揮したのがクロムウェル。その少し前、1620年にメイフラワー号でアメリカへ渡ったのもピューリタンだ。言うまでもなく、その後、アメリカでは先住民が殲滅されている。

 王党派を破った後、小農民や職人層に支持されていた水平派をクロムウェルは弾圧、アイルランドを侵略して住民を虐殺した。こうしたことから、彼は歴史上、最も多くの人間を殺したひとりだとも言われている。

 クロムウェルは宗教的な信念からユダヤ教徒をイングランドへ連れて来るが、その先、パレスチナへ移住させることを想定していたようだ。その考え方は20世紀に入っても消えなかった。そこにユダヤ系の大富豪が絡む。

 カルバン派も含め、福音主義者と呼ばれる人びとがパレスチナにイスラエルを建国させたがった理由は、最終戦争(全面核戦争)を起こし、キリストが再臨して自分たちが救われるための前段階として必要だと考えたからにほかならない。

 こうしたことを信じているのは一部の狂信的な信者だけだろうと考える人が少なくないだろうが、アメリカには相当数の信者がいるようで、ボイヤー教授は国民の40%以上が信じているとしているわけだ。

 彼らにとって「自分たちの軍隊」は「神の軍隊」で無敵のはずなのだが、ベトナム戦争でもたつき、失望した。そうしたときに引き起こされた1967年の第3次中東戦争で圧勝したのがイスラエル軍。そこに新たな「神の軍隊」を見いだし、イスラエルの好戦派(ウラジミール・ジャボチンスキー派)に接近していった。それをネオコン/シオニストは利用し、1970年代からアメリカで影響力を強めている。アメリカでは核戦争を夢想する宗教と軍事力が結びつき、人類の存続を危うくしている。





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最終更新日  2015.02.08 15:07:03



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