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《櫻井ジャーナル》

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2015.03.03
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 アメリカ政府はウクライナへの軍事介入を本格化しようとしている。アカデミ(旧社名はブラックウォーター)系列のグレイストーンに所属していると言われる戦闘員は昨年3月以降、数百名の単位でウクライナ入りしているが、それだけでなく、CIAやFBIの要員に加え、軍事顧問も派遣していると報道されている。そして今回、米第173空挺旅団のマイケル・フォスター司令官はCSIS(戦略国際問題研究所)で大隊をウクライナへ8日までに送り込むと発言している。また、イギリスのデイビッド・キャメロン首相は75名の軍人を「ロシアの軍事侵略」との戦いを支援するために派遣する。こうしたことが本当に実行されたなら、ロシアから戦争行為と見られても仕方がない。

 1月21日にはアメリカ欧州陸軍司令官のフレデリック・ベン・ホッジス中将を中心とする代表団がキエフ入りし、国務省の計画に基づき、キエフ政権の親衛隊を訓練するためにアメリカ軍の部隊を派遣する意向を示したので、予想された展開ではある。

 CSISは1962年にジョージタウン大学の付属機関として設立されたシンクタンクで、その創設にはCIAの副長官も経験したレイ・クラインが関与している。CSISとCIAの緊密な関係が一般に知られるようになった1987年、大学はCSISとの関わりを解消した。

 このシンクタンクは日本とも関係が深い。1996年にCSISが最初の会合をメリーランド州で開いた「日米21世紀委員会」は98年に報告書を発表、その中に日本が目指すべきだという方向が示されている。

 それによると、(1) 小さく権力が集中しない政府(巨大資本に権力が集中する国)、(2) 均一タイプの税金導入(累進課税を否定、消費税の依存度を高める)、そして(3) 教育の全面的な規制緩和と自由化(公教育の破壊)が目標。

 TPPなどで国から政策決定権を奪い、巨大資本や富裕層がオフショア市場/タックス・ヘイブンを利用して資産を隠し、課税を回避できる状況を放置する一方、消費税率のアップや保険料の引き上げなどで庶民への負担を重くし、教育に必要な金額を引き上げて庶民から学ぶ権利を奪い、思考力をなくすという政策につながる。

 なお、日本側の委員は次のようになっている。

【日本】
名誉委員長:宮沢喜一元首相
委 員 長:堺屋太一(後に経済企画庁長官)
副 委 員 長:田中直毅
委   員:土井定包(大和証券)、福川伸次(電通、元通産事務次官)、稲盛和夫(京セラ)、猪口邦子(上智大学教授、防衛問題懇談会委員)、小林陽太郎(富士ゼロックス)、中谷巌(竹中平蔵の『兄貴分」)、奥山雄材(第二電電、元郵政事務次官)、山本貞雄(京セラ・マルチメディア)、速水優(後に日銀総裁)

顧   問:小島明(日本経済新聞)

 フォスター司令官は、今年の夏にアメリカの6社にウクライナの6社を訓練させる計画だともしているが、すでに昨年3月からアカデミ(旧社名はブラックウォーター)系列のグレイストーンに所属していると言われる戦闘員が数百名の単位でウクライナへ入り、戦闘に参加していると言われている。

 ホッジス中将らがキエフ入りした翌日、キエフ軍はドネツクの市街を攻撃、30名以上の市民が殺されたと伝えられた。その際、現場を取材しているカメラの前を通り過ぎた兵士が流暢な英語で「顔を写すな」と口にしていているので、「英語を母国語とする国」の戦闘員が現場にいた可能性が高い。

 キエフ政権が行った民族浄化作戦でポーランド人のイエルジ・ドボルスキが注目されていた。1995年から2005年までポーランド大統領を務めたアレクサンデル・クファシニェフスキの治安担当顧問だった人物で、スラビヤンスクでアレクサンドル・トゥルチノフ大統領代行と並んで座っているところを写真に撮られている。

 最近では、ポロシェンコ大統領の顧問に就任したミヘイル・サーカシビリ元グルジア大統領の軍事的な役割が噂されている。2003年に実行された「バラ革命」でグルジア駐在アメリカ大使だったリチャード・マイルズに操られ、傀儡として大統領に就任した人物がサーカシビリ。

 サーカシビリ政権の前、2001年からイスラエルはガル・ヒルシュ准将が経営する「防衛の盾」が予備役の将校2名と数百名の元兵士を教官としてグルジアへ送り込み、無人飛行機、暗視装置、対航空機装置、砲弾、ロケット、電子システムなども提供07年からイスラエルの専門家はグルジアの特殊部隊を訓練し、重火器や電子兵器のほか、戦車などを供給する計画を立てていたという。

 2008年8月、サーカシビリは南オセチアを奇襲攻撃させる。南オセチアの分離独立派に対して対話を訴えた約8時間後の攻撃だった。サーカシビリが独断で軍事作戦を行うとは考えられず、イスラエルが作戦を立てたとも推測されている。ロシア軍の反撃でグルジア軍は惨敗したことでアメリカやイスラエルの好戦派はショックを受けたはずだ。

 奇襲攻撃の2年前、2006年にフォーリン・アフェアーズ誌が掲載したキール・リーバーとダリル・プレスの論文によると、アメリカが核兵器のシステムを向上させているのに対し、ロシアの武器は急激に衰え、中国は核兵器の近代化に手間取り、相対的にバランスが大きく変化、アメリカはロシアと中国の長距離核兵器を第1撃で破壊できるとしている。南オセチアでも簡単に勝てると好戦派は考えていただろう。

 これ以降、「過激派」の非正規戦の比重が高まったように見える。IS(イラクとレバントのイスラム首長国。ISIS、ISIL、IEIL、ダーイシュとも表記)を含むアル・カイダ系の武装勢力やネオ・ナチなどを戦闘の中心に使うということだ。ロシアを揺さぶるためにアメリカはチェチェンの武装勢力を使っていたが、それもイスラム武装勢力とつながる。ウクライナのネオ・ナチの中にはチェチェンで戦った経験を持つ者もいる。

 現在、チェチェンの反ロシア派はグルジアのパンキシ渓谷を拠点にしている。そこでCIAは戦闘員の候補者をリクルート、訓練して戦闘地域に送り出している。シリアへ200名から1000名が入ったと言われているのだが、昨年2月のウクライナにおけるクーデターにも戦闘員が参加していた疑いがある。今後、キエフ軍を立て直すため、ここから戦闘員を補充する可能性がある。そのためのサーカシビリだろうというわけだ。

 ネオ・ナチを率いているひとりで、広場での狙撃を指揮していたと言われるアンドレイ・パルビーは議会の第1副議長としてアメリカやカナダを訪問、ジョン・マケイン上院議員らにも会い、武器を調達しようとしている。アメリカの好戦派は戦争を諦めてはいない。





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最終更新日  2015.03.03 19:44:41



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