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《櫻井ジャーナル》

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2015.04.05
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 ウクライナのリビフにある訓練場でアメリカが送り込んだ第173空挺旅団の兵士290名による戦闘訓練が4月20日、つまりアドルフ・ヒトラーの誕生日から始まるようだ。訓練を受けるのはウクライナの正規軍兵士1200名と親衛隊の戦闘員1000名だというが、親衛隊の少なくとも一部はネオ・ナチ(ステファン・バンデラの信奉者)である。東/南部地域に対する戦闘を再開するため、ネオ・ナチを訓練するのだと解釈する人も少なくない。

Azov

アドルフ・ヒトラーの写真を掲げるアメリカの手先、アゾフのメンバー

 第173空挺旅団はイタリアのビチェンツァを拠点にしているが、リビフの訓練場を利用してきたとされている。親衛隊にはアゾフ、ジャガー、オメガの3大隊をはじめ、50大隊ほどが含まれているのだが、その大半が戦闘員を派遣するという。

 親衛隊の中心的な存在と言われるアゾフは昨年4月、アンドレイ・ビレツキーがイゴール・コロモイスキーの資金で設立した武装集団。戦争の継続を主張しているドミトロ・ヤロシュと同様、ビレツキーは右派セクターの幹部。ヤロシュは議員に選ばれたが、議会へは手榴弾を携帯していうような人物だ。ナチスはカルト的な理由から白人優越を主張していたが、ビレツキーも思想的に似ている。

 また、アゾフの隊員は約半数に犯罪歴があり、昨年6月14日にキエフのロシア大使館を襲撃したグループの中心はこの戦闘集団だったとされている。東部での民族浄化作戦にもアゾフは参加、非武装の住民を殺害している。

 先日、ドニエプロペトロフスク知事を解任されたコロモイスキーはウクライナ、キプロス、イスラエルの三重国籍を持つシオニスト。武装集団を使って略奪を繰り返してきたことでも知られ、アゾフのほかにアイダル、ドンバス、ドニエプルを組織している。アイダルは誘拐、違法な拘束、虐待、窃盗、強奪を実行、処刑の疑いもあると「人権擁護団体」のアムネスティ・インターナショナルにまで批判された。

 昨年2月23日、憲法の規定を全く無視した形でビクトル・ヤヌコビッチ大統領が解任され、このクーデターを経て現在のキエフ政権は誕生した。ヤヌコビッチが西側によって排除されたのは、これが2度目。最初は2004年から05年にかけて「オレンジ革命」だ。この「革命」にも関与したアメリカのビクトリア・ヌランド国務次官補は今回、ジェオフリー・パイアット駐ウクライナ米国大使とクーデターを現場で指揮していた。何度も書いてきたことだが、ヌランドが結婚したロバート・ケーガンはネオコン/シオニストの中核グループの一員。

 ネオコン系シンクタンクのPNACは2000年に「米国防の再構築」という報告書を発表しているが、これは1992年に作成されたDPG(国防計画指針)の草案に基づいている。アメリカを「唯一の超大国」と位置づけて書き上げた世界制覇のプランだが、ケーガンもその報告書の共同執筆者のひとり。ジョージ・W・ブッシュ政権はこの報告書に基づく政策を推進したが、それを可能にしたのが2001年9月11日の出来事だ。

 ヤヌコビッチを追放したクーデターの幕開けは2013年11月21日。約2000名の反ヤヌコビッチ派がユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)に集まったのだが、当初は人びとのEUへの憧れを刺激する「カーニバル」的な雰囲気の集まりにすぎなかった。12月に入ると50万人が集まったとも言われている。

 多くの人が集まるとネオ・ナチが全面に出始め、抗議活動は暴力的になる。2月18日頃からネオ・ナチはチェーン、ナイフ、棍棒を手に、石や火炎瓶を投げ、ブルドーザーなどを持ち出し、中にはピストルやライフルを撃つ人間も出始めた。その翌日、アメリカのバラク・オバマ大統領はウクライナ政府に対し、警官隊を引き揚げさせるべきだと求めている。

 2月21日にヤヌコビッチ大統領と反ヤヌコビッチ派が平和協定に調印したが、22日に狙撃で多くの死者が出始め、議会の議長を務めていたボロディミール・リバクは「EU派」の脅迫で辞任、アレクサンドル・トゥルチノフが後任になる。憲法の規定を無視して新議長を議会が大統領代行に任命したのはこの日だ。

 この狙撃について西側のメディアは政府側の仕業だと宣伝していたが、2月25日にキエフ入りして調査したエストニアのウルマス・パエト外相は翌日、キャサリン・アシュトンEU外務安全保障政策上級代表(外交部門の責任者)に対し、反政府側が実行したと強く示唆している:

 「全ての証拠が示していることは、スナイパーに殺された人びと、つまり警官や街に出ていた人たち双方、そうした人びとを同じスナイパーが殺している。同じ筆跡、同じ銃弾。実際に何が起こったかを新連合(暫定政権)が調査したがらないほど、本当に当惑させるものだ。スナイパーの背後にいるのはヤヌコビッチでなく、新連合の誰かだというきわめて強い理解がある。」そして、「新連合はもはや信用できない。」

 ヌランド次官補は話し合いでの解決を嫌っていた。ヌランドとパイアットが電話で「次期政権」の閣僚人事について話し合っている音声がYouTubeにアップロードされたのだが、その中で話し合いを進めていたEUに対し、「くそくらえ(F*ck the EU)」と口にしている。こうした意向を知っていたのか、イギリス人のアシュトンはクーデターを成功させることを優先させるべきだという意思をパエトに伝えている。

 クーデターで前面に出ていた集団がナチズムの影響を強く受けていることは、早い段階から西側のメディアも知っていた。優秀な人材を抱えているはずの日本のマスコミも知っていなければおかしい。例えば、クーデターの直後、2月下旬にBBCはこの事実を報道し、9月にはガーディアン紙がアゾフの隊員がネオ・ナチだと伝えている。そうしたネオ・ナチに資金を出していたのがシオニストの富豪であり、アメリカ/NATOが後ろ盾になっているわけである。この構図は現在も基本的に変化していない。キエフ政権を正当化するということは、ナチズムを支持しているということを意味する。






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最終更新日  2015.04.06 06:56:48



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