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《櫻井ジャーナル》

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2015.05.28
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 アメリカの司法省がFIFA(国際サッカー連盟)の現役副会長を含む14人を収賄の容疑で起訴、アメリカ側の要請でスイス当局が7名を逮捕したという。FIFAにしろ、IOC(国際オリンピック委員会)にしろ、国連の機関にしろ、そんな話は良く聞く。アメリカは基軸通貨を発行する権利と相場を操縦する能力で維持しているような国。FIFAを摘発するより巨大金融機関にメスを入れるべきだが、勿論、そんなことをするはずはない。現在、FIFAは会長選やイスラエル追放が問題になっているが、今回の摘発は2018年にロシアで開催される予定の大会を揺さぶることも大きな目的なのだろう。

 この司法省も碌な組織ではない。1988年2月にワシントン破産裁判所で出された判決の中で民間企業の開発したソフトウェアを横領したと認められ、翌年の11月にはワシントン連邦地裁でも基本的に同じ内容の判決を言い渡され、1992年9月には下院の司法委員会が破産裁判所の結論を支持する内容の報告書を公表した。判決自体は上級審で翻ったが、圧力で裁判官を屈服されただけだった。(詳細は拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』を)

 司法省が民間企業の開発したソフトウェアーを横領したことを認める判決、あるいは下院の委員会が同じ内容の報告書を出したということ自体、大きなニュースだと思うのだが、この話を日本のメディアが報道したという話は寡聞にして聞かない。アメリカ金融界がフランクリン・ルーズベルト政権を潰してファシズム体制を樹立するためにクーデターを計画したとするスメドリー・バトラー少将の議会証言も触れず、ウィンストン・チャーチル首相がドイツと手を組み、米英独でソ連を奇襲攻撃しようとした作戦の話も知らん振りしている。「すばらしい言論の自由」!

 2014年2月にはロシアのソチでオリンピックが開催されたが、この時はチェチェンの武装勢力が大会襲撃を予告、2013年7月31日にはサウジアラビアの総合情報庁長官だったバンダル・ビン・スルタンがロシアへ乗り込み、ウラジミル・プーチン露大統領を脅したと言われている。

 スルタンはプーチンに対し、チェチェンのグループは自分たちの指揮下にあるので、シリアから手を引けば、冬季オリンピックの安全を保証できると持ちかけたところ、プーチンは「ここ10年の間、チェチェンのテロリスト・グループをあなたたちが支援していることを知っている」と言い放ったという。

 本ブログでは何度も書いているように、サウジアラバイアはアメリカ(ネオコン/シオニスト)やイスラエルと同盟関係にあり、1970年代後半にジミー・カーター米大統領の補佐官だったズビグネフ・ブレジンスキーがイスラム武装勢力をアフガニスタンで編成したころからこの「三国同盟」は成立、その一端は「イラン・コントラ事件」として明るみに出ている。そして遅くとも2007年にはシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラがターゲットにした秘密工作を始めたとシーモア・ハーシュは書いている。

 その後、ロシアは特殊部隊を投入して襲撃グループを殲滅したようだが、ウクライナで別の工作が始まる。2013年11月21日に約2000名の反ヤヌコビッチ派がユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)に集まったのが幕開けで、多くの人が集まったところでアメリカ/NATOの訓練を受けたネオ・ナチが前面に出てくる。

 2014年2月18日頃から彼らはチェーン、ナイフ、棍棒を手に、石や火炎瓶を投げ、ブルドーザーなどを持ち出し、中にはピストルやライフルを撃つ人間も出始めた。その翌日、アメリカのバラク・オバマ大統領はウクライナ政府に対し、警官隊を引き揚げさせるべきだと求めている。オバマ大統領、国内での抗議活動に対しては決してこうしたことを口にしない。

 2月21日にヤヌコビッチ大統領と反ヤヌコビッチ派が平和協定に調印すると、22日に狙撃で多くの死者が出始め、議会の議長を務めていたボロディミール・リバクは「EU派」の脅迫で辞任、アレクサンドル・トゥルチノフが後任になる。憲法の規定を無視して新議長を議会が大統領代行に任命したのはこの日だ。

 狙撃を実行したのは反ヤヌコビッチ派の可能性が高いとエストニアのウルマス・パエト外相も26日にキャサリン・アシュトンEU外務安全保障政策上級代表(外交部門の責任者)へ強く示唆している。反ロシア感情が強いと言われているエストニアの外相がそう報告したことは、それだけ確度の高い情報だということだろうが、それをアシュトン上級代表は無視する。

 2月18日から23日にかけて反ヤヌコビッチ派が暴力をエスカレートさせたわけだが、偶然ではない。ソチ・オリンピックの競技期間は2014年の2月6日から23日まで。大会終了まではロシア政府も動きにくいわけだが、その日程に合わせてアメリカ政府はネオ・ナチを使ってクーデターを仕掛けている。

 このウクライナでのクーデターではネオ・ナチだけでなく、アメリカ政府の息のかかったNGOが重要な役割を果たしている。最近、ロシアではNGOに対する規制を強化する動きを見せているようだが、これも2018年のFIFAワールドカップを念頭に置いてのことだろう。

 ネオコン、イスラエル、サウジアラビアは武力で押し切ろうと必死のようだが、EUやアメリカの内部には戦争を回避しようとする動きも見られる。例えば、アメリカのジョン・ケリー国務長官が5月12日にロシアのソチを訪問、ウラジミル・プーチン大統領らと会談し、ウクライナでの戦闘を終わらせるためにミンスク合意を支持する姿勢を明確にしている。

 しかし、ネオコンがケリー長官と同じ考え方だとは思えず、NATOは軍事的な緊張を高める動きを見せているほか、7月18日から9月15日かけてグリーン・ベレーを中心とするアメリカの特殊部隊がテキサス州、アリゾナ州、ニューメキシコ州、ユタ州、コロラド州を含む南部諸州(9州とも10州とも言われている)で軍事演習を実施するらしい。特殊部隊が軍事演習をアメリカ国内で、これほどの規模で行うのは不自然。何か、国内で大きな出来事が起こると予想しているのだろうか?

 金融界で気になる話が流れていることもあり、ドルを基軸通貨とする体制の崩壊に備えているとする説も囁かれている。1971年にリチャード・ニクソン大統領がドルと金の交換を停止すると発表、73年から世界の主要国は変動相場制へ移行した。

 この制度でドルを守るため、アメリカ政府は産油国に対して決済をドルにするように求め、集まったドルでアメリカの財務省証券などを購入させ、だぶついたドルを還流させる仕組みを作り挙げた。いわゆる「ペトロダラー」。

 その代償としてニクソン政権がサウジアラビアに提示したのは、同国と油田地帯の軍事的な保護、必要とする武器の売却、イスラエルを含む中東諸国からの防衛、そしてサウジアラビアを支配する一族の地位を永久に保障するというもので、1974年に調印され、これと基本的に同じ内容の取り決めを他のOPEC諸国も結んだという。

 このタイミングで石油価格が大幅に上昇する。1973年10月の第4次中東戦争を切っ掛けにして値上がりしたが、その値上げを決めたのは戦争勃発の5カ月前にスウェーデンで開かれた秘密会議で、主導したのはヘンリー・キッシンジャーだったとザキ・ヤマニ元サウジアラビア石油相は話している。イギリスのジャーナリスト、ロビン・ラムゼーによると、その会議を開いたのはビルダーバーグ・グループ。

 ドルが基軸通貨である限り、アメリカはドルを発行することで欲しい物を手に入れられる。そのドルを回収する大きなモーターが石油取引というわけだ。日本や中国が財務省証券を大量に購入してきたのも同じ理由だろう。一種のマルチ商法。それが今、破綻しようとしていることは確かだ。

 その破綻を決定的にしたのは強欲なネオコンが推進してきた好戦的、侵略的な政策。ロシアを攻撃するために仕掛けられたと言われる石油相場の下落もロシアよりアメリカやサウジアラビアにダメージを与えている。

 こうしたネオコンの政策に刺激されてロシアと中国は急速に接近、今では経済面だけでなく軍事面でも緊密度を高めている。この2国を中心としたBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)も結束を強め、影響力を拡大中だ。中国の提唱で設立が予定されているAIIB(アジアインフラ投資銀行)へフランス、ドイツ、イギリスなど西側の国々も参加した大きな理由のひとつは、ドルが基軸通貨としての地位から陥落する可能性があると見ていることにあるだろう。TPPやTTIPも「ドル後」を睨んでのことかもしれない。





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最終更新日  2015.05.29 03:59:48



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