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《櫻井ジャーナル》

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2015.06.01
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 言うまでもなく、日本の進む方向はアメリカの戦略次第であり、日本の「エリート」はアメリカの支配層に従うだけである。4月27日に外務大臣の岸田文雄と防衛大臣の中谷元はニューヨークでアメリカのジョン・ケリー国務長官やアシュトン・カーター国防長官と会談して新しい「日米防衛協力指針(ガイドライン)」を発表したが、これもアメリカ側の命令に基づくもの。「安全保障法制」に関する国会の議論は儀式にすぎない。少なくとも安倍晋三政権はそう考えているだろう。

 現在、アメリカを動かしている戦略は1992年に作成されたDPG(国防計画指針)の草案がベースで、アメリカを「唯一の超大国」と位置づけ、潜在的ライバル、つまり西ヨーロッパ、東アジア、旧ソ連圏、南西アジアを潰すという方針を示している。

 この指針の基本的な考え方は、国防総省のシンクタンクONA(ネット評価室)で室長を務めてきたアンドリュー・マーシャルのもの。それに基づき、リチャード・チェイニー国防長官の下、ポール・ウォルフォウィッツ国防次官、I・ルイス・リビー、ザルメイ・ハリルザドといったネオコン人脈で作成したもので、「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。このウォルフォウィッツは1991年にシリア、イラン、イラクを殲滅すると話していたとウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官は語っている。

 1993年から2001年にかけてのビル・クリントン政権でネオコンは主導権を握ることができなかったが、大統領は個人的なスキャンダルに忙殺され、好戦的な方向へ政策が向かう。キーパーソンはマデリーン・オルブライトだと言えるだろう。

 オルブライトは1997年にウォーレン・クリストファーから引き継ぐ形で国務長官に就任した。オルブライトはアフガニスタンで戦争を仕掛けたズビグネフ・ブレジンスキーの教え子で、バラク・オバマ政権で国家安全保障問題担当の大統領補佐官に指名されたスーザン・ライスの師でもある。また、オバマ大統領はブレジンスキーの教え子。

 ブレジンスキーは1970年代後半、ジミー・カーター大統領の補佐官だった時、ソ連をアフガニスタンへ誘い込み、そこでイスラム武装勢力と戦わせるという秘密工作を考えた人物。ロシア制圧が目標で、そのカギを握る国がウクライナだと考えていた。この工作ではCIAが戦闘員を育成、支援しているが、その登録リストがアル・カイダと呼ばれ、そのスポンサーがサウジアラビアだ。

 クリストファー長官の時代から「人権擁護団体」がユーゴスラビア政府の「人権侵害」を宣伝していたが、これらは間違った、あるいは不公正な情報。アメリカ政府も軍事介入には踏み切らなかった。状況が変わったのは、オルブライトがユーゴスラビア空爆を支持すると表明した1998年だ。1999年3月にNATOはユーゴスラビアを先制攻撃、5月には中国大使館を爆撃した。アメリカ政府は「誤爆」だとしているが、状況から考えて意図的な攻撃だった可能性はきわめて高い。

 2000年にネオコン系シンクタンクのPNACは1992年のDPG草稿をベースにして「米国防の再構築」という報告書を公表、その中では東アジアを重要視している。この段階ではウラジミル・プーチンがロシア大統領になったばかりで、アメリカの傀儡だったボリス・エリツィンの路線を引き継ぐ、つまり属国の地位に留まると見られていた。中国も若手エリートを懐柔、洗脳することで傀儡化に成功したとアメリカ支配層は考えていたように見える。

 そして2001年、ニューヨークの世界貿易センターとワシントンDCの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃される。多くの人びとが茫然自失になる中、アメリカ支配層は「アル・カイダ」を「テロリストの象徴」にし、あたかもイラクがアメリカをすぐにでも核攻撃するかのような宣伝を始め、2003年にはイラクを先制攻撃した。1991年にウォルフォウィッツが口にしたとおりの展開だ。

 その後、アメリカはアル・カイダ/IS(イラクとレバントのイスラム首長国。ISIS、ISIL、IEIL、ダーイシュとも表記)を使ってリビアやシリアの体制転覆プロジェクトを始めた。リビアは既に成功したが、シリアの場合はロシアがNATOの直接介入を阻止したことで目的は達成できていない。イエメンでもアル・カイダを投入していたが、ここでも思惑通りに進まず、ここにきてサウジアラビアが直接介入、サウジアラビアを装ってイスラエルも攻撃に参加し、中性子爆弾を使用したとも言われている。この推測が正しく、ロシアや中国に対する「警告」のつもりなら、逆効果になるだろう。

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 昨年2月にネオコン/シオニストはウクライナの合法政権を暴力的に、憲法を無視したプロセスで倒したが、その時に使った武装集団はネオ・ナチ。NATOが連動してロシアと戦争する姿勢を見せてきたが、5月12日にはアメリカのジョン・ケリー国務長官がロシアのソチでウラジミル・プーチン大統領らと会談、ウクライナでの戦闘を終わらせるためにミンスク合意を支持する姿勢を明確にした。流れに変化が見られる。ネオコンの「ヨーダ」とも呼ばれるマーシャルが今年1月、92歳でONA室長を退任したことも戦争を遠ざける要素ではある。

 しかし、ロシアの周辺で軍事力を増強している状況に変化はなく、戦争に前向きのフィリップ・ブリードラブは今でもNATO欧州連合軍最高司令官/在欧米空軍司令官の職にあり、今年2月には戦争に消極的なチャック・ヘーゲルから好戦的なアシュトン・カーターに交代、アメリカはミサイル巡洋艦のベラ・ガルフ、ミサイル駆逐艦のロス、トラクストン、フリゲート艦のテイラーなどを黒海に入れ、ロシア領海の間際を航行させるなど挑発している。

 東アジアでの軍事的な緊張も高まり、日米に対抗するため、中国はロシアと軍事的な連携を強めている。カーター長官は2011年から13年にかけて国防副長官を務めた人物で、06年にはハーバード大学で朝鮮空爆を主張するなど、好戦的な姿勢を見せてきた。安倍首相を高揚させるタイプの人物だと言えるだろう。

 その安倍首相は「安全保障法制」を推進、全世界で侵略戦争を始め、全面核戦争も辞さない姿勢を見せているアメリカの戦いに参加しようとしている。ネオコンと同じように、安倍政権も正気ではない。






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最終更新日  2015.06.01 21:11:41



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