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《櫻井ジャーナル》

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2015.06.12
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 労働者派遣法を安倍晋三政権は「改正」しようとしている。企業がカネ儲けやすいようにし、労働者の働く環境をさらに劣悪化させようというわけだ。私的な組織である巨大資本を政府、議会、司法の上に置き、民主主義を破壊する協定、つまりTPP/TTIP/TISAを先取りしているとも言えるだろう。先取りしないと因果関係がばれてしまう。

 1932年の大統領選挙でウォール街を後ろ盾にしていた現職のハーバート・フーバーを破って当選、大企業の活動を規制し、労働者の権利を拡大しようとしたフランクリン・ルーズベルトは1938年4月29日、ファシズムについて次のように定義している。

 「もし、私的権力が自分たちの民主的国家より強くなるまで強大化することを人びとが許すなら、民主主義の権利は危うくなる。本質的に、個人、あるいは私的権力をコントロールするグループ、あるいはそれに類する何らかの存在による政府の所有こそがファシズムだ。」

 今、ここに書かれていることが日米欧で引き起こされつつある。ルーズベルトの定義にしたがうと、TPP/TTIP/TISAは世界のファシズム化を目指す協定だと言える。だからこそ推進派は交渉の内容を秘密にしているわけだ。

 イスラエル・ロビーや巨大資本に買収/脅迫され、操り人形になっているアメリカ議会にも強く反対している議員がいる。その代表格がシェロード・ブラウン上院議員やエリザベス・ウォーレン上院議員。両議員によると、アメリカ政府が設置しているTPPに関する28の諮問委員会には566名の委員がいるが、そのうち480名、つまり85%が大手企業の重役か業界のロビイスト。

 TPPの交渉を担当しているのは大手企業の「元重役」、例えばバンク・オブ・アメリカのステファン・セリグ商務省次官補やシティ・グループのマイケル・フロマン通商代表。セリグはバラク・オバマ政権へ入ることが決まった際、銀行から900万ドル以上をボーナスとして受け取り、フロマンは銀行からホワイトハウスへ移動するときに400万ドル以上を貰っていると報道されている。こうした人たちが誰のために交渉しているかは明白だ。

 こうした交渉では、ウォーレン議員が言うように、労働者に対する強力な保護などは空約束にすぎず、協定は巨大資本にとって有利、労働者にとって不利なものになる。つまり富が巨大資本に集中、そこに巣くう支配層だけが裕福になり、庶民は貧困化していく。貧困化した庶民には考える余裕はなくなり、声を上げる力もなくなる。

 1929年に誕生した浜口雄幸内閣はJPモルガンを中心とするウォール街の命令に従って新自由主義的な政策を推進、その結果、東北地方では娘の身売りが増え、欠食児童、争議などが問題になった。言うまでもなく、当時のアメリカ大統領はフーバーだ。こうしたことは庶民の貧困化が進んだ社会で共通して起こること。売春問題とは貧困問題だということである。

 アメリカでは1929年に「バブル」が破裂し、株価が暴落している。これが人為的なものかどうかはともかく、暴落を引き起こすエネルギーがたまっていたことは間違いない。つまり、アメリカ経済は破綻していた。その破綻をファシズム化で乗り切ろうとしていたことは、1933年から34年にかけてJPモルガンを中心とする勢力がルーズベルト大統領が率いるニューディール派を排除し、ファシズム政権を樹立しようとしたことでも推測できる。

 第2次世界大戦でアメリカのライバルだったソ連とヨーロッパは疲弊、日本に侵略された中国も破壊、殺戮、略奪で無惨なことになった。その結果、領土が戦場にならなかったうえ、ドイツや日本が占領地で略奪した財宝を一部支配層が奪ったアメリカは相対的に大きな力を得て「世界の支配者」として振る舞う。

 そうした経済的な優位も1971年には怪しくなり、リチャード・ニクソン大統領はドルと金の交換を停止すると発表している。ブレトン・ウッズ体制は崩壊、1973年から世界の主要国は変動相場制へ移行するのだが、その中でドルの基軸通貨としての地位を維持するため、産油国に対して決済をドルにするように求めている。

 石油の時代には大多数の国が石油の取り引きに参加、貿易のドル決済を維持させるために産油国がドル決済する意味は大きい。ドルが基軸通貨である限り、アメリカは通貨を発行することで外国から物を買うことができるのだが、国外へ流れ出たドルを放置しておくとインフレ状態になり、破綻する。

 そこで、産油国には集まったドルでアメリカの財務省証券などを購入させ、ドルをアメリカへ還流させようとした。その代償としてニクソン政権は産油国に対し、国と油田地帯の軍事的な保護、武器の売却、支配勢力の地位保証などが提示されたという。まずサウジアラビアと1974年に協定を結び、これと基本的に同じ内容の取り決めを他のOPEC諸国とも結んだ。

 この協定ではイスラエルからの攻撃にもアメリカは対応しなければならない。当時のサウジアラビア国王ファイサルはエジプトのガマール・ナセル大統領(1970年に52歳で急死)に替わるヤセル・アラファトPLO議長の後ろ盾。アメリカとも一線を画していた。こうした体制ではペトロダラーの仕組みがイスラエルにとって都合の悪いことになりかねない。

 そうしたとき、アメリカの親イスラエル派やイスラエルにとって好都合な出来事が起こる。1975年にファイサル国王が甥に射殺されたのだ。その甥はクウェートのアブドル・ムタレブ・カジミ石油相の随行員として現場にいた。

 事件前、甥は博奕で多額の借金を抱えていた。そうしたときに女性が近づき、その借金を清算するのだが、その女性はモサドのエージェントだということが判明している。博奕で大損する原因をモサドが作った可能性もあるだろう。甥は女性から麻薬漬けにされていたとも言われている。

 ファイサル国王が暗殺された後、当初は第1副首相として、1982年から2005年まで国王としてサウジアラビアを統治したファハド・ビン・アブドル・アジズは親米派として知られている。

 好戦派がホワイトハウスで主導権を握り、ネオコンが台頭した1970年代にミルトン・フリードマンの新自由主義が世界へ広がり、富は一部の巨大資本や富豪へ集中、そこから金融/投機/博奕市場へ流れるという回路ができた。生身の人間が住む世界でハイパーインフレが起こる代わりに金融/投機/博奕市場でハイパーバブルが発生、富裕層は「評価額」に満足するわけだが、このマルチ商法的な仕組みはドルが基軸通貨だという前提で成り立っている。ドルがその地位から陥落すると、全てが崩壊する。

 ネオコン/シオニストなどアメリカの好戦派は現在、ロシアを軍事的に制圧しようとしているが、思惑通りには進まず、ロシアと中国の関係を緊密化させることになった。今では経済的にも軍事的にも同盟関係に入り、ドル決済と決別する動きを見せ、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)なども同調する姿勢を見せている。

 つまり、アメリカの支配層は追い詰められている。勝てば官軍、負ければ賊軍。いかなる手段を使っても負けるわけには行かない状況になってしまった。日本が中国を攻撃させられる可能性は決して小さくない。安全保障関連法案(戦争法案)、TPP、そして労働者派遣法は密接に関係していということでもある。





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最終更新日  2015.06.13 12:29:15



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