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《櫻井ジャーナル》

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2015.10.09
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 ロシア軍がシリアで行っている攻撃でアル・カイダ系のアル・ヌスラやIS(イラクとレバントのイスラム首長国。ISIS、ダーイシュなどとも表記)は大きなダメージを受けているようで、イラク政府もロシア政府に攻撃を要請したいという姿勢を見せている。

 アメリカもISを攻撃しているはずなのだが、効果は見られず、むしろ攻撃開始からISは勢力を広げてきた。ISに蹂躙されている国の人びとが不信感を抱くのは当然だが、それに対してロシアの攻撃が効果的だということになると、人心のアメリカ離れは決定的になるだろう。

 そうした中、CNNは4基のミサイルがイラン領内に墜落したと伝えた。現地にいるアメリカの軍や情報機関の協力者が報告してきたと匿名の高官2名が語ったというのだが、証拠は提示されず、アメリカ国務省の広報担当、ジョン・キルビーは確認できないとしている。ロシア国防省やイラン国防省はCNNの報道を全面否定した。

 勿論、ミサイルが墜落することはありえる話だが、CNNはアメリカの軍事侵略を正当化するために偽情報を流し続けているメディア。シリアで戦闘が始まった直後からBBC、アル・ジャジーラ、フランス24と同じように、「活動家」や「人権団体」の話だとしてアサド政権が暴力的に参加者を弾圧していると伝えていたが、いずれも背景に西側情報機関が存在し、単なるプロパガンダだった。アフガニスタンでアメリカ軍が病院を「誤爆」したことに対する風当たりを弱めたいと思っているのかもしれない。

 今でも情報源として重宝されている「SOHR(シリア人権監視所)」は2006年に創設され、ロンドンを拠点として活動しているのだが、その背後にはCIA、情報機関と緊密な関係にあるブーズ・アレン・ハミルトン(エドワード・スノーデンが所属していた)、プロパガンダ機関のラジオ・リバティが存在していると指摘されている。イギリスの情報機関とも交流がある。

 また、シリア系イギリス人のダニー・デイエムなる人物も西側のメディアへ盛んに登場し、政府の弾圧を訴え、外国勢力の介入を求める発言を続けていた。「西側」のメディアも精力的に彼の「情報」を流している。ところが、2012年3月1日にダニーや彼の仲間が「シリア軍の攻撃」を演出する様子を撮した映像が流出、彼の情報がインチキだということが判明、西側メディアの信頼度は大きく低下したのだが、CNNに限らず、その後も西側メディアは偽情報を大々的に「報道」しつづけている。そのCNNの情報に飛びつく人は事実に興味がないのだろう。あるいは安倍晋三と同じようにアメリカの「権威」を崇拝しているのか・・・。

 もっとも、CNNも事実を伝えようとしていた時期もある。例えば、1998年6月のラオスにおける神経ガス使用に関する報道。1970年にアメリカ軍のMACV-SOV(ベトナム軍事援助司令部・調査偵察グループ)がベトナム戦争で、逃亡兵を殺害するためにサリンを使用したとする内容で、その重要な情報源は70年から74年まで統合参謀本部議長を務めたトーマス・ムーラー提督。

 本ブログでも触れたことがあるが、ベトナム戦争では正規軍と情報機関/特殊部隊が別の指揮系統で戦っていた。この「テールウィンド作戦」は後者のもので、ムーラー提督は直接関係していなかった。部下がその作戦を監視、報告を受けていたのである。

 しかし、報道後、軍から大変な圧力がかかり、CNNは屈服する。CNNの経営陣は、報道内容のチェックを弁護士のフロイド・エイブラムズに依頼し、1カ月にも満たない短期間で報告書を作成させた。報告書の結論は報道内容を否定するものだったのだが、引用に不正確な部分があり、慎重に調べたとは到底言えない代物だった。

 それに対し、番組を担当したプロデューサーのジャック・スミスとエイプリル・オリバーは報道を事実だ主張、オリバーによると、放送では示されなかった重要な情報をCNNは隠していると私の取材に答えている。その後、ふたりは解雇された。

 この後、CNNは軍との関係が緊密化したようで、1999年、コソボ戦争の最中にアメリカ陸軍の第4心理作戦グループの隊員を2週間ほど本部に受け入れている。アメリカ軍の広報担当、トーマス・コリンズ少佐によると、派遣された軍人はCNNの社員と同じように働き、ニュースにも携わったという。(Trouw, 21 February 2000)

 その2年後、ニューヨークの世界貿易センターとワシントンDCの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されて以降、アメリカのメディアは「報道の自由」を放棄して単なるプロパガンダ機関になっている。

 西側メディアに言わせると、1997年にウクライナとロシアが結んだ協定に基づいていクリミアに駐留していたロシア軍1万6000名(協定では2万5000名まで駐留できる)は軍事侵攻してきた部隊になってしまう。

 CNNだけでなく、ニューヨーク・タイムズ紙であろうと、ワシントン・ポスト紙であろうと、ウォール・ストリート・ジャーナル紙であろうと、BBCであろうと、西側の有力メディアの「報道」は眉につばをつけながら見たり読んだりしなければならない。





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最終更新日  2015.10.10 09:57:20



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