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《櫻井ジャーナル》

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2015.12.06
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 アメリカは50日ほど前からシリアの北東部で空軍基地を建設しているとレバノンで伝えられている。2500メートルの滑走路があるというが、基地の建設をシリア政府が許可したわけでも国連が承認したわけでもない。盗掘石油の輸送や反シリア政府武装勢力への兵站ラインを守るためにも使えそうだ。トルコ軍がイラクの主権を無視して戦車部隊を侵攻させたが、これも無関係ではないだろう。その一方、シリア政府の要請でロシア軍が60名程度の軍事顧問団をホムスへ入れたという。

 リビアではNATO軍がアル・カイダ系のLIFGと連携してムアンマル・アル・カダフィを倒したが、シリアではロシア軍が地上部隊のアル・カイダ系武装集団やそこから派生したIS(ISIS、ISIL、ダーイッシュなどとも表記)に大きなダメージを与え、重要拠点をシリア政府軍が奪還している。さらに、トルコが反シリア政府軍の兵站ラインを守っているだけでなく、盗掘石油の取り引きに深く関与している事実も明瞭になった。盗掘石油とトルコとの関係をアメリカ政府は認めようとしていないが、その結果、同政府の信頼度は急速に低下している。

 アメリカ、イギリス、フランス、トルコ、イスラエル、サウジアラビア、カタールなどの国々を支配する勢力はシリアに傀儡政権を樹立しようと考えている。アメリカのネオコンは1991年の段階でイラク、シリア、イランを殲滅すると口にしていたいた

 これは1997年から2000年にかけて欧州連合軍最高司令官を務めたウェズリー・クラークの証言だが、同元最高司令官はCNNの番組で、アメリカの友好国と同盟国がISを作り上げたとも語っている。本ブログでは何度も書いているように、ISの歴史を考えれば明らかな話だが、西側の政府やメディアは気づかない振りをしている。

 ISの歴史は1970年代の後半までさかのぼることができる。1977年にアメリカ大統領となったジミー・カーターはズビグネフ・ブレジンスキーとデイビッド・ロックフェラーに見いだされた人物で、安全保障に関する問題はブレジンスキーに任されていた。

 そのブレジンスキーはソ連を揺さぶるため、アフガニスタンへソ連軍を誘い込む計画を立てる。誘い込んだソ連軍と戦わせるために編成されたのがイスラム(ワッハーブ派/サラフ主義者)武装勢力。この秘密工作をカーター大統領は1979年7月に承認した。

 この月にはエルサレムでアメリカとイスラエルの情報機関に関係した人びとが集まり、「国際テロリズム」に関する会議を開いている。イスラエル側からは軍の情報機関で長官を務めた4名を含む多くの軍や情報機関の関係者が参加、アメリカからはジョージ・H・W・ブッシュ元CIA長官(後の大統領)を含むCIA関係者のほか、クレア・スターリングのような「ジャーナリスト」も参加していた。それ以降、ソ連を「テロの黒幕」だとするプロパガンダが大々的に始まる。

 1979年12月にソ連の機甲部隊がアフガニスタンへ侵攻、戦闘が始まる。この時、西側では「自由の戦士」と呼ばれたイスラム武装勢力の実態はアメリカの傭兵。アメリカの情報機関や軍から兵器を提供され、軍事訓練を受けていた。そうした訓練を受けた戦闘員のコンピュータ・ファイルが「アル・カイダ」だと1997年から2001年までイギリスの外相を務めたロビン・クックは指摘している。ちなみに、「アル・カイダ」はアラビア語で「ベース」を意味し、「データベース」の訳としても使われている。

 この「アル・カイダ」が広く知られるようになったのは2001年9月11日。ニューヨークの世界貿易センターとワシントンDCの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されてから「アル・カイダ」はテロリストの代名詞になり、アメリカ好戦派が軍事侵攻する口実に使われるようになるが、リビアでの体制転覆戦争でNATOとの連携が発覚、その翌年から新たなタグとして宣伝され始めたのがISだ。

 2012年8月にアメリカ軍の情報機関DIAが作成した文書によると、反シリア政府軍の主力はサラフ主義者、ムスリム同胞団、そしてアル・カイダ系武装集団のAQI(イラクのアル・カイダ)で、西側、ペルシャ湾岸諸国、そしてトルコの支援を受けているとしている。アル・ヌスラはAQIがシリアで使っている名称だともいう。

 2006年10月にはAQIが中心になってISI(イラクのイスラム首長国)が編成され、活動範囲をシリアへ広げた13年4月からISと呼ばれるようになった。つまり、AQI/アル・ヌスラもISも本質的に同じだが、アメリカ政府などはISだけを悪役にしようとしている。しかも、そのISでさえ攻撃してこなかった。

 ところが、ロシア軍はAQI/アル・ヌスラやISを本当に攻撃、トルコ軍の攻撃にも厳しく対応してシリアで主導権を握った。イラク政府もロシアとの関係を強化しようとしている。

 そうした中、「軍事力の行使はテロを激しくさせる」と叫んでいる人たちがいる。欧米諸国が軍事侵略、その国民を敵に回した場合には成立するが、シリアなどでは軍事侵略の手先として「テロリスト」は使われている。だからこそ、外部から武器弾薬を含む物資を運び込まなければならないわけだ。ベトナム戦争では農民が支援、それを潰すために住民皆殺し作戦「フェニックス・プログラム」(ソンミ村/ミ・ライの虐殺はその一環)を実行したのである。

 しかし、リビアにしろ、シリアにしろ、外部勢力の侵略戦争であり、その傭兵として使われているのが「テロリスト」。その「テロリスト」が敗走している現在、米英仏が前面に出てシリア政府軍を攻撃しはじめても不思議ではない。ただ、その場合はロシアとの軍事衝突を覚悟しなければならず、世界大戦になるということだ。侵略された側と侵略している側の区別をつけられなければ状況を理解することはできない。区別をつけられない振りをしているメディアは世界大戦を招く手助けをしているということになる。





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最終更新日  2015.12.07 01:50:38



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