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《櫻井ジャーナル》

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2015.12.15
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 ロシアを訪問したアメリカのジョン・ケリー国務長官はロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と会談、IS(ISIS、ISIL、ダーイッシュなどとも表記)は全ての国にとって脅威だということで合意したというが、この合意がアメリカ政府とロシア政府との合意なのかどうかは不明だ。例えば、こんなことがあった:

 ケリー長官は5月12日にキエフでペトロ・ポロシェンコ大統領と会い、クリミアやドンバス(ドネツクやルガンスク/ナバロシエ)の奪還を目指す作戦を実行してはならないと言明、その足でロシアのソチを訪問してウラジミル・プーチン大統領らと会談してミンスク合意を支持する姿勢を示した。

 ところが、その直後にキエフ入りしたビクトリア・ヌランド国務次官補は5月14日から16日にかけてポロシェンコ大統領のほかアルセニー・ヤツェニュク首相、アルセン・アバコフ内務相、ボロディミール・グロイスマン最高会議議長らと会談し、ケリー長官に言われたことを無視するように釘を刺したと言われている。アメリカ支配層は割れているのだが、バラク・オバマ米大統領はネオコンに引っ張られている。

 ヌランドはネオコン/シオニストの一員で好戦派。彼女の夫はネオコンの大物として知られているロバート・ケーガンだ。ネオコンは1992年の初めに世界制覇プロジェクトを国防総省のDPG草案という形でまとめたが、それに基づいてネオコン系シンクタンクのPNACが作成、2000年に発表した『米国防の再構築』の執筆者としてロバート・ケーガンも名を連ねている。

 2001年にアメリカ大統領となったジョージ・W・ブッシュはネオコンに担がれていた人物で、その政策は『米国防の再構築』に基づいている。この報告書はアメリカの国防(戦争/侵略)システムを根本的に変更する必要があると主張しているのだが、そのためには「新たな真珠湾」のような衝撃がなければならないともしていた。そして2001年9月11日、「新たな真珠湾」が引き起こされ、アメリカ国内では憲法の機能が停止されてファシズム化が進められ、国外では軍事侵略が始められた。

 DPGが作成される直前、1991年にネオコンのポール・ウォルフォウィッツ国防次官はイラク、イラン、シリアを殲滅すると口にしていたとヨーロッパ連合軍(現在のNATO作戦連合軍)の最高司令官だったウェズリー・クラーク大将が話している。「9-11」の直後、ドナルド・ラムズフェルド国防長官の周辺では攻撃予定国のリストが作成され、そこにはイラク、イラン、シリアのほか、リビア、レバノン、ソマリア、スーダンの名前が載っていたという。

 2011年10月にムアンマル・アル・カダフィ体制は倒され、カダフィ自身は惨殺されている。この時、リビア政府軍を空からNATOが攻撃、地上ではアル・カイダ系のLIFGが戦っていた。イギリスの特殊部隊SASの隊員や情報機関MI6のエージェントがリビアへ潜入していたとも伝えられているが、主力はあくまでもLIFGだ。NATO、つまりアメリカは「テロリスト」だとしていたアル・カイダ系武装集団と手を組んでいたのである。体制転覆に成功した後にベンガジでは裁判所の建物にアル・カイダの旗が掲げられ、その映像がYouTubeにアップロードされ、イギリスのデイリー・メイル紙も伝えていた。

 リビアとほぼ同時にシリアでも体制転覆プロジェクトは進められていたが、リビアのようには進んでいなかった。そこで戦闘員や武器がシリアへ移動するのだが、その際、マークを消したNATOの輸送機が武器をリビアからトルコの基地まで運んだとも伝えられている。リビアから武器を運び出す拠点になっていたと言われているのがベンガジのアメリカ領事館。2012年9月に襲撃され、クリストファー・スティーブンス大使を含むアメリカ人4名が殺された場所だ。

 NATOとアル・カイダ系武装集団との関係が広く知られるようになった2012年、アメリカなどは新たな戦闘集団を編成している。ロビン・クック元英外相も明らかにしたように、「アル・カイダ」とはCIAが雇い、訓練した戦闘員のコンピュータ・ファイル(データベース)にほかならなず、新たなタグをつけたグループを作り、そこへ登録された戦闘員を中核メンバーとして送り込むだけだ。

 ケリーとラブロフが話題にしたISの歴史をさかのぼると2004年に組織されたAQIが現れる。2006年1月にAQIを中心にしてISI(イラクのイスラム国)が編成され、活動範囲をそのシリアへ拡大させてからISIS、あるいはISと呼ばれるようになった。

 その間、2012年にはヨルダン北部に設置された秘密基地でCIAや特殊部隊が反シリア政府軍の戦闘員を育成するために訓練、その中にISのメンバーが含まれていたと言われている。その年の8月にDIA(アメリカ軍の情報機関)が作成した文書によると、反シリア政府軍の主力はサラフ主義者、ムスリム同胞団、そしてAQIであり、アメリカ政府の政策を進めるとシリア北部からイラク北部へかけての地域が武装勢力に支配されることも予想していた。つまりISの勢力拡大はアメリカ政府の政策だった。

 アル・カイダ系の武装集団にしろ、そこから派生したISにしろ、アメリカ、イギリス、フランス、トルコ、イスラエル、サウジアラビア、カタールといった国々は深く関係している。傭兵にすぎないことも事実で、「派遣切り」も可能だが、そうなると切られた戦闘員がどう動くかという問題も出てくる。

 こうした武装集団を生み出し、暴れさせていることだけでもネオコンの犯した罪は重いが、現在、ロシアを挑発して世界大戦、つまり核戦争の危機を高めている。このネオコンを支えている勢力の一角を日本が占めているのだが、「狂犬」と化したアメリカに見切りを付ける動きは世界に広まりつつある。イラク政府もロシアへの接近を図り、ロシア政府は軍事援助をはじめたようだ。アメリカ政府の脅しはきかなかったのだろう。日本は再び孤立への道を歩いている。





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最終更新日  2015.12.16 04:38:14



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