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《櫻井ジャーナル》

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2016.01.10
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 年明け後、世界的に株式相場が大きく値下がりしている。日本の場合、12月9日に下降相場入りが決定的になり、中旬には強引に株価を引き上げようとする痕跡もあるが、無駄だったようだ。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)やETF(上場投資信託)で買い上がろうという安倍晋三政権の仕手戦は破綻したと言えるかもしれない。

 相場の動きを見ると、アメリカでは12月29日に17720.98だったダウ工業株30種平均が1月8日には16346.45、つまり1374.53下落。日経平均は12月1日に20012.40だったものが12月30日に19033.71、1月8日には17697.96。12月1日から2314.44、12月30日からでも1335.75の値下がりということになる。

 相場が大きく動くとマスコミは理由をもっともらしく語るが、証券会社なり銀行なり商社なり、その相場に関係した仕事をしている企業からレクチャーを受け、それを垂れ流しているだけ。政府の意向に従い、企業にとって都合良く作られたストーリーにすぎない。資金の流れを決めた本当の理由は自分で考えるしかない。

 配当を期待して株式を購入するという教科書的な前提に立てば業績や景気と株価は連動するということになるが、投機家は値上がりを期待して買っている。配当期待で買っている人は多くないだろう。日本では昔から「不景気の株高」ということわざがあるが、これは実際の生産活動が低迷、資金を流す先が株式市場しかないという状況で相場が上昇するからだ。アメリカ支配層は戦争の道具としても相場操縦を利用している。

 相場との関係はともかく、ドルを基軸通貨とする仕組みが崩壊しはじめ、世界規模で経済システムが大きく揺れ動いていることは確かだ。アメリカの支配層は自分たちの欲望を満たすために社会システムを破壊、生産能力も放棄してしまった。社会の基盤を作る教育の仕組みも壊されたが、それでも支配層は満足できないようで、さらなる破壊を目論んでいる。要するに、日本やアメリカは破綻国家に向かって驀進中。そうした実態を庶民は肌で感じているはずだが、マスコミが写し出す幻影に惑わされて危機感はないようだ。

 庶民を騙すため、「失業率」が使われることもある。さまざまの条件をつけ、例えば就職を諦めた人を失業者にカウントせず、率を低く見せるのは常套手段。やむなくアルバイトなどで糊塗しても失業者ではなくなる。就業者数が増えたと宣伝しているので中身を見ると、生産活動とは関係のない低賃金のサービス業ということだったりする。こうしたことは多くの人から指摘されてきたが、マスコミは触れたがらないようだ。そうしたアメリカを支えているのは基軸通貨を発行する特権と軍事力だ。

 現在、ロシアや中国はドル離れを明確にしているが、そうした動きは以前からあった。例えば、イラクのサダム・フセイン政権は2000年に石油取引をドルからユーロに変更する姿勢を見せ、その2年後にはマレーシアの首相だったマハティール・ビン・モハマドが金貨ディナールを提唱、リビアのムアンマル・アル・カダフィはアフリカを自立させるために金貨ディナールをアフリカの基軸通貨にし、石油取引の決済に使おうとしていた。ちなみに、アメリカがリビアを攻撃した理由は保有する金143トンと石油利権だったことを暗示するヒラリー・クリントン宛ての電子メールが公表されている。

 リチャード・ニクソン大統領は1971年にドルと金の交換を停止すると発表、ドルを基軸通貨の地位から陥落させないため、産油国に石油取引の決済をドルにするように要求した。集まったドルでアメリカの財務省証券や高額兵器を買わせ、だぶついたドルを還流させようとしたのだ。これがペトロダラーの仕組み。一種のマルチ商法だ。

 その代償としてニクソン政権がサウジアラビアなど産油国に提示したのは、油田地帯だけでなく国の軍事的な保護、必要とする武器の売却、国を支配している人びとの地位を永久に保障するというもの。サウジアラビアとはこうした協定を1974年に結んだという。

 そのサウジアラビアが財政赤字で危機的な状況だ。最大の原因は原油価格の大幅な値下がり。アメリカと手を組み、シリアやイランの後ろ盾になっているロシアにダメージを与えるために自らが仕掛けたとも言われている。技術的に生産を止められなくなっているとする説もあるが、いずれにしろ、石油相場の下落が自らの首を絞めることになった。この相場下落はアメリカのシェール・ガス/オイル業界も揺るがしている。

 債券を発行し、緊縮財政に乗り出すらしいが、生活費の補助が打ち切られたならば、街に溢れる失業者がこれまでと同じように従順でいる保証はない。保有する株式や債券を売却することにもなるはずで、強烈な売り圧力になる。昨年後半から指摘されていたような展開になっている。

 それだけでなく、昨年11月にロシアのエネルギー相は新しいロシア石油の指標を試験的に取り引きすると発表した。ペトロダラーの協定に拘束されない大産油国が独自の取り引きを始めるというわけで、ドル体制を揺るがす要因になるだろう。

 日銀の黒田東彦総裁が推進してきた「量的・質的金融緩和(異次元金融緩和)」は金融/投機市場へ大量の資金を流し込む政策であり、アメリカのマルチ商法が破綻するのを引き延ばしてきたが、限界はある。破綻したとき、日本は大きな損害を受けることになるだろう。安倍晋三政権は日本人を地獄へ突き落とすことになる。株式相場の下落はその兆候かもしれない。





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最終更新日  2016.01.11 03:40:32



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