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《櫻井ジャーナル》

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2016.01.20
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 現在、世界を不安定化させている最大の要因はアメリカ、イスラエル、サウジアラビアの三国同盟である。トルコはアメリカが支配するNATOの加盟国であり、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領を中心とする勢力へはサウジアラビアから資金が流れているとも言われ、三国同盟に付随した国だ。

 この同盟をリードしているのはネオコン/シオニスト。その中核グループに属しているポール・ウォルフォウィッツは国防次官だった1991年にシリア、イラン、イラクを5年以内に殲滅すると語ったという。これは欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)の元最高司令官、ウェズリー・クラーク米陸軍大将の話だ。いずれもネオコンの意に従わず、西側巨大資本の利益に反する政策も実行していた国。傀儡政権と入れ替えたいということだ。ウォルフォウィッツの「予言」はビル・クリントンが大統領になったことで実現しなかったが、21世紀に入ってネオコンが実権を握るとイラクは破壊された。

 1991年12月にソ連が消滅、それを受けてネオコンは国防総省のDPG草案という形で世界制覇プロジェクトを92年はじめにまとめた。それをベースにしてネオコン系のシンクタンクPNACが「米国防の再構築」という報告書を作成、2000年に発表する。2001年から始まるジョージ・W・ブッシュ政権の軍事戦略はこの報告書に基づく。

 この戦略は戦乱を旧ソ連圏や中東/北アフリカへ広げることになり、世界を不安定化させた。その戦略が破綻して自分たちの足下が揺らぎはじめたのが昨年。最大の問題はサウジアラビアで、IMFによると、同国の2016年における財政赤字は19.4%、5年以内に金融資産は底をつくと予測しているようだ。

 そうなるとドルを基軸通貨とする体制を支えることが困難になり、投機市場が縮小、アメリカを中心とする金融システムが崩壊する可能性が高まる。ガザ地区からシリアを制圧して地中海東岸で発見された天然ガスを独占、「大イスラエル」を実現して油田を支配できなければイスラエルも存続が困難になる。

 支配システムが揺らぐ中、サウジアラビアのサルマン・ビン・アブドルアジズ・アル・サウド国王はトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領と会談、その数日後、1月2日にシーア派の指導的立場にあったニムル・バキル・アル・ニムル師を処刑してシーア派を挑発して中東の軍事的な緊張を高めた。

 実際、処刑の後、シーア派の信徒は各地で抗議活動を展開し、イランの首都テヘランのサウジアラビア大使館やメシェドのサウジアラビア領事館へは数十本の火炎瓶が投げ込まれる。建物の一部が焼失する事態に発展した。サウジアラビア外相はイランとの外交関係の断絶を宣言したが、イラン政府の対応は冷静で、挑発には乗っていない。

 ニムル師は自由選挙を求め、サウジアラビアにおけるシーア派の権利が尊重されないならば、東部地域を分離すべきだとも主張していた人物。東部地域にはシーア派が多く住んでいるのだが、そこは油田地帯でもある。シーア派に武装蜂起させ、そこを制圧して油田支配を確かなものにしようとしたとする見方もある。

 支配層の利益を守るため、新自由主義は緊縮財政を要求する。支配層へカネをばらまくため、庶民から搾り取ろうとするわけである。もしサウジアラビアもそうした政策を採用し、軍事費が増大する一方で庶民に対する生活費の補助を打ち切ったならば、街に溢れる失業者がこれまでと同じように従順でいる保証はない。

 サウジアラビアはペトロダラーという仕組みを支え、ドルが基軸通貨としての地位から陥落してアメリカの支配システムが崩れることを防いできたが、それだけでなく、エジプトをはじめ多くの国々にカネをばらまくことで国際的な影響力を維持してきた。財政赤字が続くという事態になると、ドルを中心とする経済システムは崩壊、国際的な影響力も失う。

 大量の核兵器を保有するアメリカやイスラエルは最終的に核兵器で脅しをかけ、世界を屈服させようとするかもしれないが、中国やロシアには通じない。それでも脅しをかけ続ければ核戦争が始まるだろう。

 2011年3月8日、東電福島第1原発が3基の原子炉でメルトダウンを起こして膨大な量の放射性物質を地球上に放出しはじめる3日前、都知事だった石原慎太郎の核兵器に関する発言をイギリスのインディペンデント紙は掲載、その中で彼は1年以内に核兵器を作れるとした上で、核兵器があればアメリカに頼らなくても「外交」でき、中国は尖閣諸島に手を出さないだろうと語っている。アメリカ、イスラエル、サウジアラビアの好戦派も似たようなことを考えているように思える。





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最終更新日  2016.01.20 19:05:52



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