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《櫻井ジャーナル》

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2016.03.14
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 2011年にNATOがLIFGなどアル・カイダ系武装集団と地上軍と利用した破壊したリビアは破綻国家になり、ダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)が影響力を強めている。このダーイッシュを率いているとされているアブ・バクル・アル・バグダディは現在、そのリビアにいるとする情報がある。LIFGのリーダーだったアブデル・ハキム・ベルハジも今ではダーイッシュの一員だという。

 もっとも、アル・カイダにしろダーイッシュにしろ、西側支配層がつけたタグ、あるいは「御札」にすぎず、大した意味はない。アメリカ/NATO、サウジアラビア/ペルシャ湾岸産油国、イスラエルなどが手先として使ってきた武装集団がリビアへ移動しているというだけの話だ。そのリビアを欧米の支配層は支配、略奪しようとしている、つまり植民地化しようとしていると言われている。その手先として働いているとも言える。

 昨年10月に彼を含むダーイッシュのメンバーを乗せた車列をイラク空軍機が爆撃、その際にアル・バグダディも重傷を負ったとされている。ダーイッシュ幹部の会議に出席するためだったという。イランでの報道によると、CIAとMIT(トルコの情報機関)は治療のためにアル・バグダディをラッカからトルコへ運び、そこからリビアのシルテへ運ばれたと報道されている。

 アル・バグダディはリビアにいるとイランでは伝えられているが、ダーイッシュ側は今年2月にイラクのファルージャにいたと主張している。その際の様子だとする写真も公表されているのだが、明確でない。今のところ、彼はリビアにいる可能性が高いだろう。

 そのリビアがアメリカの攻撃対象国になったのは2001年9月11日の後。当時、国防長官だったドナルド・ラムズフェルドの周辺が作成したリストにはイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そしてイランが載っていた。1991年にラムズフェルドと同じネオコン/シオニストのポール・ウォルフォウィッツが5年以内に殲滅するとしていた国はイラク、イラン、シリア。この3カ国もラムズフェルドに含まれているが、リビアをウォルフォウィッツは口にしていない。

 シドニー・ブルメンソールからヒラリー・クリントンへ送られた2013年2月16日付けのメールには、12年9月11日にベンガジの領事館が襲撃されてクリストファー・スティーブンス大使を含むアメリカ人4名が殺された事件に関する情報が含まれている。前にも書いたように、フランスの情報機関からの情報として、その襲撃に必要な資金を提供したのはサウジアラビアの富豪だと書かれていた。攻撃を実行したのはサラフ主義者/ワッハーブ派の武装集団、アンサール・アル・シャリアだと言われている。

 2011年2月にベンガジで戦闘が始まるが、その前からイギリスやフランスも積極的に動いていた。1988年から93年にかけてフランスの外相を務めたロラン・デュマによると、2009年にイギリスでシリア政府の転覆工作に加わらないかと声をかけられたという。声を掛けてきたふたりが誰かは語られていないが、ニコラ・サルコジ政権やフランソワ・オランド政権がシリアでの平和を望んでいないとデュマに判断させるような相手だったという。

 シリア駐在のフランス大使だったエリック・シュバリエによると、西側のメディアやカタールのアル・ジャジーラがシリア政府が暴力的に参加者を弾圧していると伝えていた当時、実際は限られた抗議活動があったものの、すぐに平穏な状況になったことが調査で判明していたという。

 ちなみに、2007年3月5日付けのニューヨーカー誌に掲載されたシーモア・ハーシュのレポートによると、アメリカ、イスラエル、サウジアラビアの3カ国が始めた秘密工作のターゲットはシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラだ。リビアは含まれていない。

 シュバリエが調査結果をパリへ報告すると、アラン・ジュペ外相はそれを無視しただけでなく、シリアのフランス大使館に電話して「流血の弾圧」があったと報告するように命じたという。先に軍事侵略の計画があり、それを正当化するために「流血の弾圧」を宣伝していたのが実態だった。

 リビアの体制転覆作戦は2010年には始動している。この年の10月、リビアで儀典局長を務めていたノウリ・メスマリが機密文書を携え、チュニジアを経由して家族と一緒にパリへ降り立ったのが幕開け。マスマリは治療を受けるという名目で出国、パリではコンコルド・ラファイエット・ホテルに宿泊、そこでフランスの情報機関員やニコラ・サルコジ大統領の側近たちと会談している。

 11月にフランスは「通商代表団」をベンガジに派遣するが、その中には情報機関や軍のスタッフが含まれていた。現地ではメスマリから紹介されたリビア軍の将校と会ったようだ。リビア政府は会談の直後にマスマリに対する逮捕令状を出している。この月にはフランスとイギリスが相互防衛条約を結び、リビアへの軍事介入へ第一歩を踏み出した。

 リビアも産油国であり、こうした動きに石油利権が絡んでいることは間違いないだろうが、それ以上に金も注目されている。2011年3月21日付けのフィナンシャル・タイムズ紙によると、リビアの中央銀行が保有する金の量は少なくとも143.8トン、現在の相場で換算すると65億ドル以上になるという。しかも、通常の国とは違い、その保管場所はリビア国内のようで、これを奪うためには軍事占領しなければならなかった。

 ブルメンソールが2011年4月2日にヒラリーへ送ったメールにも143トンの金について書かれている。相当量の銀も保有、総評価額は70億ドル以上だとされている。ムアンマル・アル・カダフィはアフリカを自立させるために金貨ディナールをアフリカの基軸通貨にしようとしていたが、そのための金や銀だ。ディナールを発行するリビアの中央銀行は国営。私的な金融機関が支配する西側世界とは違い、政府を潰さない限りディナールを止めさせられない。

 アル・カダフィがアフリカを自立させることを西側の支配層が恐れたのは、今でもアフリカを彼らは食い物にしているからだ。歴史的にフランスはアフリカに大きな利権を持っている。表面的には植民地でなくなっているが、実態は植民地だということ。これはアフリカ以外でも言える。アメリカの支配層が自立した国、自立した指導者を憎悪する理由でもある。

 西側の経済システムは資本主義だが、その基本は富の独占。禁欲から変質した強欲が支配するシステムであり、庶民から富を搾り取る仕組みになっている。

 富が偏在すれば社会は崩壊、経済も破綻する。そのシステムを続けるためには外部から略奪してくる必要があり、植民地は建設された。現在、西側の支配層は軍事侵略を本格化させる一方、さらに庶民から搾り取るための仕組みを作り上げ、国内の反対勢力を押さえ込むためにファシズム化を推進している。

 しかし、そうした略奪は限界に近づいている。植民地体制の強化では間に合わず、国内での搾取を進め、そしてロシアや中国を侵略、略奪しようとしてるが、これはきわめて困難で、無理をすれば核戦争になる。ネオコンあたりはロシアや中国は核戦争を恐れて屈服すると思っているようだが、これは妄想だ。この狂った「予定」に危機感を持つ人が支配層にも増えてきている。





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最終更新日  2016.03.15 04:46:42



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