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《櫻井ジャーナル》

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2016.04.13
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 パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」の顧客に関する内部文書、いわゆる「パナマ・ペーパーズ」が公表されたのは4月3日。昨年の初め、南ドイツ新聞(SZ)の編集部へ届いたのは1150万通だが、それを渡された国際調査ジャーナリスト協会(ICIJ)はその中の一部を選び出して明らかにし、それを利用して文書に名前の出てこないロシアのウラジミル・プーチンを西側メディアは攻撃した。

 全体の中から公表する文書を選び出したICIJはジョージ・ソロスが関係している基金やCIA系のUSAIDと関係が深い。アメリカの富裕層や巨大企業の名前が出てこないのは当然だろう。このことを考えるだけでも「パナマ・ペーパーズ」の騒動は胡散臭い。

 もっとも、ロンドン(シティ)を中心とするオフショア市場/タックスヘイブンのネットワークでは、口座が明らかにされても実態はわからないような仕組みになっているとも言われている。1970年代、シティを中心に築かれたネットワークでは資金を隠すために信託のシステムが利用され、資金を隠す仕組みは複雑になっているという。

 シティを中心とするネットワークには、ジャージー島、ガーンジー島、マン島、ケイマン諸島、バミューダ、英領バージン諸島、タークス・アンド・カイコス諸島、ジブラルタル、バハマ、香港、シンガポール、ドバイ、アイルランドが含まれ、秘密度の高さから人気を博した。イスラエルも有名なタックスヘイブンだ。そのため、かつては税金避難地として有名だったスイス、ルクセンブルグ、オランダ、オーストリア、ベルギー、モナコなどは影が薄くなったとされている。

 生産能力を大きく低下させたアメリカは基軸通貨であるドルを発行することで生きながらえているのだが、言うまでもなく、単にドルを大量発行するだけならハイパーインフレになってしまう。そこでドルを回収しなければならない。そのためにペトロダラーの仕組みが作られ、金融規制を大幅に緩和させてドルを呑み込む大規模な投機市場が作り出された。そして今、アメリカ政府は自国を巨大なタックスヘイブンにしつつある。日本の「エリート」が保有するアメリカの財務省証券を売った場合、それはこの仕組みに反する行為と見なされ、「エリート」は報復されて資産と地位を失うことになるだろう。

 昨年9月、サンフランシスコ湾を望む法律事務所で、税金を払いたくない富豪は財産をアメリカへ移すように顧客へアドバイスするべきだと語った人物がいる。ロスチャイルド家の金融持株会社であるロスチャイルド社のアンドリュー・ペニーがその人だ。彼によると、アメリカこそが最善のタックス・ヘイブン。ロスチャイルドはネバダのレノへ移しているという。すでに世界の富豪たちはネバダ、ワイオミング、サウスダコタなどに口座を作ったと言われている。

 こうしたタックスヘイブン化政策を始めたのは、2009年1月から10年9月までバラク・オバマ政権の経済諮問会議の議長を務めていたクリスティーナ・ロマーだという。このポストに就く前、彼女はカリフォルニア大学バークレー校で1929年に顕在化した経済危機を専門にしていた。アメリカがこの危機から脱出することができたのは、ヨーロッパが不安定化して1936年から資金が流入してきたからだと彼女は考えている。

 この理論を実践したひとつの結果が2010年に始まったギリシャの危機だと指摘する人がいる。この危機を招いた大きな理由はふたつ。第2次世界世界大戦や軍事クーデターによる国の破壊がひとつであり、もうひとつはギリシャのEU信仰を利用した巨大金融機関のゴールドマン・サックスによるカネ儲け。混乱の切っ掛けは「格付け会社」がギリシャ国債の格付けを引き下げたことにあった。

 2001年にギリシャが通貨をユーロに切り替えた際、ゴールドマン・サックスは財政状況の悪さを隠す手法をギリシャ政府に教え、債務を膨らませたのだが、その際に利用された仕組みがCDS(Credit Default Swap/クレジット・デフォルト・スワップ)。これは債権者が債務不履行のリスクを回避するため、幾ばくかのカネ(保険料)を支払ってリスクを引き受けてもらうという取り引きで、2000年の終わりに「CFMA(商品先物現代化法)」がアメリカ議会を通過し、広まることになった。その法律を推進していたひとりがアラン・グリーンスパン連邦準備制度理事会議長。こうした取り引きが何をもたらすかを理解していた巨大資本や富豪たちは自分たちの資産は国外へ避難させている。

 ギリシャの支配層が外国勢力と手を組んで作りあげた財政赤字のツケを支払わされることになったのが庶民。欧州委員会、IMF、欧州中央銀行は公務員給与の削減、年金のカット、増税、私有化などを強要して社会を破壊することになった。

 トルコ政府の演出で難民が押し寄せたEUは混乱の度合いを強めている。西側諸国がペルシャ湾岸産油国やイスラエルと手を組んでシリアやリビアを侵略して体制転覆作戦を始めた際、ロシア政府が警告していた展開なのだが、アメリカ支配層に買収されていると言われるEUの「エリート」はアメリカの策略にはまった。ギリシャと同じように、EUから資金は逃げ出しているだろう。その行く先として、ロスチャイルド社のアンドリュー・ペニーはアメリカを推奨しているわけだ。

 地下資金がアメリカやシティ、つまりアングロ・サクソン系のタックスヘイブンに集中したなら、世界の資金は表も裏もアングロ・サクソン系富豪に掌握されることになる。中国とロシアが独自の金融システム構築に力を入れ、新開発銀行(NDB)やAIIB(アジアインフラ投資銀行)を始動させるのも当然だろう。





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最終更新日  2016.04.14 12:04:11



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