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《櫻井ジャーナル》

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2016.05.04
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 アメリカの経済が衰退し続けている最大の理由は支配層が国の経済を衰退させる政策を推進していることにある。同じことが日本でも言える。その政策の基本は国/国民の富を一部の特権グループへ集中させることにあり、圧倒的多数の庶民は貧困化して国は疲弊していく。国外から労働者を入れることで貧困化はさらに進み、国は弱体化する。その弱体化した国という組織を巨大資本が支配する仕組みがTPP(環太平洋連携協定)、TTIP(環大西洋貿易投資協定)、TiSA(新サービス貿易協定)だ。

 この新システムには大きな脅威が存在する。ロシアと中国を中心とする自立した国々である。その象徴がBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)やSCO(中国、ロシア、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタン)。

 経済的な攻撃として利用されたのが原油価格に引き下げで、西側ではロシア経済の破綻を願っていたようだが、そうした事態にはなっていない。大きなダメージを受けたのはベネズエラで、その仲間であるブラジルも大きな影響を受けた。本ブログでもすでに書いたことだが、現在、ブラジルではアメリカ主導のクーデターが進行中だ。4月17日にはブラジルの下院でジルマ・ルセフ大統領の「弾劾」を問う採決が可決された。採決の翌日、反大統領派のアロイジオ・ヌネス議員がワシントンDCへ赴き、アメリカ政府の高官やロビイストと会っている

 今回の弾劾で先導役を務めたひとり、ブルーノ・アラウージョは巨大建設会社から違法な資金を受け取った容疑をかけられ、エドアルド・クーニャ下院議長は最近、スイスの秘密口座に数百万ドルを隠し持っていることが発覚していることもすでに紹介した。

 そうした経済的な腐敗だけでなく、思想的な問題も明らかになっている。2018年の大統領選挙へ出馬するというジャイ・ボウソナル下院議員の場合、弾劾を問う採決の際、軍事政権時代に行った拷問で悪名高いカルロス・アルベルト・ブリリャンテ・ウストラを褒め称えたのだ。政治犯だったルセフも拷問されているが、その責任者でもあった。

 このブラジルでもそうだが、アメリカはターゲット国の体制を倒す際、似た手口を使っている。まず「反体制派」を「親米派」に作り替え、「民主化勢力」と呼んで支援、労働組合やメディアをカネの力で支配する。勿論、各国の資本、軍隊、治安機関にもネットワークを張り巡らせてきた。最近では、体制転覆工作の拠点としてNGOも使われている。

 ラテン・アメリカの場合、各国の軍隊や治安機関を支配するため、1946年にSOAをパナマに創設した。この訓練施設では、反乱鎮圧、狙撃訓練、ゲリラ戦、心理戦、情報活動、尋問テクニックなどが教えられ、卒業生は帰国してから巨大企業のカネ儲けに邪魔な人々を迫害、排除するために拷問、レイプ、暗殺、誘拐、虐殺などを繰り返し、軍事クーデターも実行してきた。1984年にパナマから追い出され、2001年には名称がWHISECへ変更されたが、まだ存続している。

 アメリカの支配層が体制転覆工作で使った集団には、東ヨーロッパのナチス残党や協力者、中東や北アフリカのサラフ主義者/ワッハーブ派、東南アジアの留学生などがある。日本や中国でも留学生が使われているようだ。こうした集団はアメリカの情報機関とつながり、メディアとも連携している。

 アメリカ/NATOはヨーロッパや東アジアで軍事的な圧力を強めているが、戦闘能力はロシアの方が上。これはシリアで明確になった。カネ儲けに目が眩んだアメリカの軍需産業は欠陥兵器を作り出しているのに対し、ロシアは性能の良い兵器を製造している。

 ロシアを追い詰めるはずだった石油価格の下落はアメリカのシェール・ガス/オイル業界に大きなダメージを与え、サウジアラビアも財政赤字に転落した。IMFによると、同国の2016年における財政赤字は19.4%、5年以内に金融資産は底をつくと予測しているようだ。

 サウジアラビアは石油依存から脱却するため、国をヘッジファンド化するつもりのようだが、ドルが基軸通貨から転落すれば、一気に破綻してしまう。本来ならペトロダラーの仕組みを支え、投機市場の収縮を防がねばならないのだが、財政赤字はそうしたことを難しくする。

 アメリカの巨大資本はブラジルなど南アメリカで自立した国を破壊し、ロシアや中国へ圧力を加えているように見えるが、その足下は崩れはじめている。





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最終更新日  2016.05.05 04:46:11



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