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《櫻井ジャーナル》

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2016.05.25
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 日本から資金がケイマン諸島へ流れていても不思議ではない。安倍晋三政権が黒田東彦を総裁とする日本銀行を使って進めてきた「量的・質的金融緩和」は日本経済を回復させず、投機市場を膨らませるだけだと最初から明白だった。政治家はともかく、官僚たちは端からわかっていただろう。日本人、あるいは日本企業が国外で稼いだカネもタックス・ヘイブンへ流れているはずだ。

 かつてはスイス、ルクセンブルグ、オランダ、オーストリア、ベルギー、モナコなどがタックス・ヘイブン(租税回避地)として有名だったが、1970年代からイギリスのロンドン(シティ)を中心とするオフショア市場のネットワークが人気を博したことは本ブログで何度も紹介してきた。ロンドンのほか、ジャージー島、ガーンジー島、マン島、ケイマン諸島、バミューダ、英領バージン諸島、タークス・アンド・カイコス諸島、ジブラルタル、バハマ、香港、シンガポール、ドバイ、アイルランドなどが結びつき、信託の仕組みを利用して資金を闇の中に沈めている。

 しかし、ここ数年で状況は大きく変化した。租税を回避し、表にできない資金をロンダリングするために巨大企業や富豪たちは資金をアメリカへ持ち込んでいる。ロスチャイルド家の金融持株会社であるロスチャイルド社のアンドリュー・ペニーは昨年9月、サンフランシスコ湾を望む法律事務所で講演した中で、税金を払いたくない富豪は財産をアメリカへ移すように顧客へアドバイスするべきだと語ったということも本ブログでは紹介済みだ。

 現在、最大のタックス・ヘイブンはアメリカだが、これは政策の結果。つまり、2010年にアメリカではFATCA(外国口座税務コンプライアンス法)が発効、アメリカ以外の国の金融機関はアメリカ人の租税や資産に関する情報をアメリカ側へ提供する義務を課されたのだが、その一方でアメリカは自分たちが保有する同種の情報を外国へは提供しないことになっている。アメリカはFATCAによってタックス・ヘイブンになった。アメリカ支配層がアメリカをタックスヘイブンにしたひとつの理由はドルの回収にあるだろう。

 1971年8月にリチャード・ニクソン大統領はドルと金の交換を停止すると発表、ブレトン・ウッズ体制は崩壊、1973年から世界の主要国は変動相場制へ移行する。その時点でアメリカ経済は破綻していたと言えるだろう。

 ベトナム戦争で疲弊、生産能力が落ちたアメリカはドルを発行して必要なものを買うしかない状況。そうしたシステムの中でもドルを基軸通貨として維持するため、ニクソン政権は産油国との連携した。

 石油の取り引きをドル決済に限定することでドルの需要を維持、産油国にはアメリカの財務省証券や高額兵器を買わせてドルを回収するという循環を作り出すことが目的。その際、アメリカ側はサウジアラビアに対し、油田地帯の軍事的な保護、国の防衛、武器の売却、そしてサウジアラビアを支配する一族の地位を永久に保証するという交換条件を提示している。この協定は1974年に調印され、これと基本的に同じ内容の取り決めを他のOPEC諸国とも結んだという。(Marin Katusa, “The Colder War,” John Wiley & Sons, 2015)

 これがペトロダラーだが、ここにきてサウジアラビアをはじめとするペルシャ湾岸の産油国では財政赤字が深刻化、この仕組みに暗雲が漂っている。投機市場にも限界があることを2008年9月のリーマン・ブラザーズ倒産が示している。

 この大手投資銀行の倒産は「サブプライムローン」の焦げ付きが原因だというが、これは金融界全体の問題。破綻した大手金融機関を「大きすぎて潰せない」として庶民のカネで救済、犯罪行為が発覚しても幹部は「大きすぎて処罰できない」ということで自由を謳歌している。

 挙げ句の果て、アメリカの支配層はTPP(環太平洋連携協定)、TTIP(環大西洋貿易投資協定)、TiSA(新サービス貿易協定)で私的権力が国を支配する仕組みを築き上げようとしている。99.99%が0.01%に奉仕するシステムだ。





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最終更新日  2016.05.25 17:53:28



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