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《櫻井ジャーナル》

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2016.06.18
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 EUへ残留するか離脱するかを問う国民投票がイギリスでは6月23日に予定され、残留派と離脱派がキャンペーンを続けている。その最中、残留派の下院議員ジョー・コックスが射殺された。5月下旬から離脱を支持する人の率が一気に高まり、残留派を上回る中での出来事だ。

 日本のマスコミは今回の事件が国民投票に影響を与えるのは必至だと宣伝しているが、今のところ影響は見られない。例えば、オンライン調査会社によると、事件直前の13日から16日に行った調査では残留39.7%、離脱51.7%だったのに対し、直後の17日には残留32.4%、離脱51.5%。残留派の率が低下しているが、その分「わからない」が増えている。事件直前に実施された他の調査では残留と離脱の差がこれほど大きくないが、それでも離脱派が残留派を上回る傾向はある。

 現在、EUはアメリカ支配層にコントロールされているが、この関係は意図的に作り出された。その歴史をさかのぼると1922年に創設されたPEU(汎ヨーロッパ連合)が現れる。その中心にはオットー・フォン・ハプスブルク大公やウィンストン・チャーチルがいた。こうした動きに同調していたカトリック教徒はバルト海からエーゲ海までを統一し、ハプスブルク家が支配する現代版「神聖ローマ帝国」を建設しようと考えていた。いわゆる「インターマリウム」だ。(Stephen Dorril, “MI6”, Fourth Estate, 2000)これはハートランド理論と矛盾しない。

 インターマリウムはイギリスの情報機関MI6と結びつき、第2次世界大戦が始まるとドイツ情報機関の支配下に入る。それでもイギリスとの関係は切れなかった。大戦の終盤になると、MI6はインターマリウムをソ連と戦わせる組織として育成していく。

 アメリカはイギリスの支援で戦時情報機関OSSを設置、その長官にウォール街の弁護士だったウィリアム・ドノバンが就任する。その友人でやはりウォール街の弁護士だったアレン・ダレスもOSSの幹部になり、スイスで秘密工作を指揮し始めた。大戦後、ダレスたちはナチスの元高官や協力者の逃走を助け、保護、雇用しているが、これは必然だった。バチカンがこうしたアメリカの工作に手を貸した理由もここにある。

 大戦後、ダレスやチャーチルはヨーロッパを統合するためにACUE(ヨーロッパ連合に関するアメリカ委員会)を設立している。その翌年、NATO(北大西洋条約機構)も創設され、すでに存在していた秘密部隊を吸収した。その当時、ヨーロッパ統一運動を指導していたグループにはユセフ・レッティンゲルも含まれている。

 NATOはソ連の軍事侵攻に備えるというより、ヨーロッパを支配するための仕掛け。そうしたこともあり、ソ連の消滅が視野に入った1991年にフランスのフランソワ・ミッテラン大統領とドイツのヘルムート・コール首相は「ヨーロッパ軍」を創設しようとしたのだが、この目論見はアメリカに潰された。

 ACUEはヨーロッパ統一運動の資金源だが、ACUEへ資金を提供していたのはフォード財団やロックフェラー財団など。ACUEには下部組織があり、ヨーロッパ運動、ビルダーバーグ・グループ、そしてヨーロッパ合州国を目指す行動委員会が含まれている。(Richard J. Aldrich, “The Hidden Hand”, John Murray, 2001)

 昨年6月11日から14日かけてオーストリアで開かれたビルダーバーグ・グループの会合にヒラリー・クリントンの旧友、ジム・メッシナが参加したことから、欧米の支配層はアメリカの次期大統領としてクリントンを考えていると言われたことは本ブログでも紹介した事実。ビルダーバーグ・グループの創設者はユセフ・レッティンゲルとオランダ女王の夫であるベルンハルト殿下だ。

 もし、自立した形でヨーロッパが統一されたなら意味はあるだろうが、実態はアメリカ支配層がヨーロッパを支配する仕組みにすぎない。EUの前身、EC(欧州共同体)について堀田善衛はその「幹部たちのほとんどは旧貴族です。つまり、旧貴族の子弟たちが、今ではECをすべて取り仕切っているということになります。」(堀田善衛著『めぐりあいし人びと』集英社、1993年)と語っている。その旧貴族をカネと暴力で支配しているのが米英の支配層だ。





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最終更新日  2016.06.18 15:09:59



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