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《櫻井ジャーナル》

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2016.09.02
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トルコはアメリカの戦略にとって重要な位置にあり、シリア侵略の拠点としても使われてきた。そのトルコとアメリカとの関係が揺らいでいる。背景には長引く対シリア侵略戦争によるトルコ経済の疲弊、直接的には7月15日のクーデター未遂がある。

 日本でもアメリカの好戦派に従属している一派が田中角栄時代から続く中国との友好的な関係を破壊、経済に大きなダメージを与えた。ロシアからエネルギー源を購入すればコスト的にも大きなメリットがあるが、アメリカの巨大資本が怖くてできていない。そのアメリカの好戦派は中東で戦乱を拡大しようとしているわけで、そうなると日本は完全に破綻する。本来なら中東に平和をもたらし、ロシアや中国との交易を拡大する必要があるのだが、安倍晋三政権も直前の民主党政権と同じように、やっていることは逆だ。

 経済の破綻を避けるため、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は6月下旬にロシアのウラジミル・プーチン大統領に対してロシア軍機の撃墜を謝罪し、7月13日にはトルコの首相がシリアとの関係正常化を望んでいることを示唆、その2日後の武装蜂起だった。

 シリアの体制転覆を目的とした侵略で重要な拠点として機能した来たのがトルコにあるインシルリク基地。主な利用者はアメリカ空軍とトルコ空軍で、イギリス空軍やサウジアラビア空軍も使っているとされている。クーデター未遂後、その基地を約7000名の武装警官隊が取り囲んだと伝えられ、基地の司令官が拘束されたと伝えられている。7月31日にはアメリカのジョセフ・ダンフォード統合参謀本部議長が急遽、トルコを訪問した。

 このインシルリク基地には戦闘機や爆撃機に搭載できる核爆弾B61が50発から80発ほど保管されていると言われていたが、それらをルーマニアの基地へ移動させつつあるという。トルコを信頼できなくなったことが理由だとされているが、ルーマニアは大きな問題を抱えている。新たなミサイル基地の建設だ。

 防衛が目的だとしても、先制核攻撃で破壊し損なったミサイルの報復に対応するために使えることは明らかだが、攻撃的なミサイルの切り替えることも難しくない。ロシアのウラジミル・プーチン大統領はこうしたミサイルに関し、今は射程500キロメートルでもすぐに1000キロメートルへ伸ばすことができ、2400キロメートルの攻撃的なミサイルへ切り替えることができると批判している。そうしたミサイル発射施設のある国へ大量の核兵器をアメリカは持ち込みつつあるわけだ。

 現在、ヒラリー・クリントンを担いでいる勢力は核戦争でロシアや中国を脅しているのだが、アメリカ支配層の内部には別の流れもある。それが顕在化した一例が、ネルソン・ロックフェラーと親しいヘンリー・キッシンジャーのロシア訪問。2月10日にキッシンジャーはロシアでウラジミル・プーチン露大統領と会談、22日にはシリアで停戦の合意が成立した。

 デイビッド・ロックフェラーと親しいズビグネフ・ブレジンスキーもアメリカが地球規模の帝国ではなくなったと認めている。1992年の初め、国防総省のDPGという形で作成された世界制覇プランに執着できる状況ではないと認識しているのだが、ヒラリー・クリントンを担いでいる勢力は核戦争の脅しでロシアや中国を屈服させるという凶人理論、狂犬戦術をあくまでも推進しようとしている。

 キッシンジャーがロシアを訪問した直後に成立した合意では「テロリスト」を除外しているが、アメリカの好戦派はアル・カイダ系武装集団を「自由の戦士」に仕立て上げようとしている。

 8月16日には、アメリカ軍の広報担当のクリストファー・ガーバー大佐が記者会見で、自分たちが戦っている相手はダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)だけであり、アル・ヌスラではないと明言している。最近、アメリカはダーイッシュを悪役として残す一方、アル・ヌスラなどのタグを「ファテー・アル・シャム(レバント征服戦線)」という新しいタグに付け替え、「善玉」に仕立て上げようとしている。

 武装蜂起が鎮圧され、アメリカとトルコとの関係は悪化したが、トルコを手放すことのできないはアメリカは8月24日にジョー・バイデン副大統領をトルコへ派遣するが、副大統領がトルコへ到着する数時間前、トルコ政府は特殊部隊を含む戦車部隊をシリアへ侵攻させた。その際、アメリカ軍が主導する連合軍が空爆で支援したようだ。

 ダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)やクルド人勢力(民主統一党)を攻撃し、ジャラブルスなどを制圧することが目的だというが、戦闘らしい戦闘はなかったとも伝えられている。「テロリスト」を攻撃するという名目でシリアの一部を制圧しようとした野ではないかとも言われている。

 こうした軍事侵攻に対し、シリア政府は侵略行為だと非難、ロシア政府も両国の合意に違反していると怒っている。そこでトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は27日にロシアのウラジミル・プーチン大統領へ電話して話し合ったという。エルドアン大統領は窮地を利用して国内の反対勢力に対する弾圧を強化、ロシアとアメリカを手玉にとって自らの利益を図ろうとしているのかもしれないが、それが命取りになる可能性もある。

 アメリカ支配層の内部で、キッシンジャーやブレジンスキーのようにネオコンの戦略が破綻していることを認識している人も出たきた。マイケル・フリン元DIA局長のように、シリアで政府軍と戦っているのはサラフ主義者/ワッハーブ派、ムスリム同胞団、そしてアル・カイダ系武装集団だとし、バラク・オバマ政権が宣伝してきた「穏健派」は存在しないと考え、ダーイッシュの勢力を拡大させたのはオバマ政権の決定が原因だと指摘する人もいる。最近、ハッキングされた電子メールが公表されているが、これはアメリカの情報機関の内部からリークされていると推測する元NSA幹部もいる。

 大統領選の投票日が近づいているが、アメリカ支配層の内部で対立が激しくなる可能性があり、劣勢の勢力が何らかの事件を仕掛ける可能性もあるだろう。2001年9月11日の前、ネオコンは決して圧倒的な力を持っていたわけではない。





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最終更新日  2016.09.03 04:09:43



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