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《櫻井ジャーナル》

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2016.11.12
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 ドナルド・トランプを次期大統領にしたエネルギーは、新自由主義に基づく政策に対する庶民の怒りだと言えるだろう。すでにこのイデオロギーに基づく政策は破綻状態で、それを取り繕うとして核戦争の可能性を高めている。そうした勢力に担がれた候補者がヒラリー・クリントンだった。核戦争が現実性を帯びてきたこともあり、軍の上層部や情報機関の内部にはそうした勢力を危険視する人も現れていた。

 アメリカの巨大資本は生産拠点を低賃金で劣悪な労働環境で労働者を働かせることのできる国へ移動させ、アメリカ国内の生産力を大幅に低下させている。その一方、基軸通貨のドルを発行するという特権を利用し、裏付けのないドルという通貨と製品を交換、発行したドルはペトロダラーの仕組み(財務省証券や高額兵器の購入という形でアメリカへ還流させる)、あるいは投機市場への流入という形で現実社会での通貨流通量を減らしてドルの評価を維持してきた。この仕組みが現在、揺らいでいる。

 巨大資本の利権を守るためには傀儡体制を樹立、軍隊を駐留させるだけでは不十分。巨大資本が支配する統一されたシステムがどうしても必要であり、そのためにTPP(環太平洋連携協定)、TTIP(環大西洋貿易投資協定)、そしてTiSA(新サービス貿易協定)が推進されたわけだ。

 このシステムはアメリカの生産力をさらに低下させ、アメリカを含む参加国の政府、議会、司法はアメリカの巨大資本に支配されることになる。

 イタリアでファシスタ党を結成したベニト・ムッソリーニは1933年11月、「資本主義と企業国家」の中で巨大資本が国を支配するシステムを企業主義と呼び、資本主義や社会主義を上回ると主張している。これがムッソリーニの考えるファシズムだ。

 ファシズムに反対、アメリカの巨大金融資本と対立していたニューディール派のフランクリン・ルーズベルト大統領は1938年4月29日、ファシズムについて次のように定義している。

「もし、私的権力が自分たちの民主的国家より強くなるまで強大化することを人びとが許すなら、民主主義の権利は危うくなる。本質的に、個人、あるいは私的権力をコントロールするグループ、あるいはそれに類する何らかの存在による政府の所有こそがファシズムだ。」

 TPP、TTIP、TiSAの3点セットは世界をファシズム体制にするための協定であり、それを目指す動きは遅くとも1930年代に始まっている。通貨発行権を民間の金融機関が奪う目的で開かれたジキル島の秘密会談がそうした目論見のはじめだと考えると1910年までさかのぼることができ、いわば「100年計画」。彼らがファシズム化を簡単に諦めるとは思えず、TPP、TTIP、TiSAを放棄することもないだろう。

 ドルが世界の基軸通貨になったとき、アメリカの巨大資本は世界に君臨する力を得たと言えるだろうが、それが揺らいでいる。生産手段を放棄したことで足腰が弱まってしまったのだ。ドルからの離脱しようとしたイラクのサダム・フセイン政権やリビアのムハンマド・アル・カダフィ政権は軍事的に破壊したが、中国やロシアを倒すことは容易でない。そのため核戦争の危険性が高まっているのだが、それが原因でアメリカ離れも起こっているようだ。アメリカ支配層の内部での対立もある。

 日本の支配層はアメリカの好戦派に従い、中国との間で軍事的な緊張を高めてきたのだが、トランプは軍事的な対応を日本に求めそうだ。好戦派の指示通りに東アジアの軍事的な緊張を高めれば、それだけ日本は重い負担を強いられる。日中関係の破壊は2010年、菅直人政権の時から始まったことを忘れてはならない。





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最終更新日  2016.11.12 10:34:35



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