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ダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)の部隊がパルミラを電撃作戦で制圧したと伝えられている。12月11日に約4000名の部隊が攻撃したようだが、政府軍側の偵察が怠慢だったとも言える。現在、政府軍はアレッポをほぼ制圧したが、この作戦に気をとられていたという側面もあるだろう。ロシア軍機の空爆を避けるため、住宅地を通って攻め込んだとも言われている。
イラクのモスルでもダーイッシュは攻撃されたが、アメリカやサウジアラビアは戦闘員がモスルからシリアのデリゾールやパルミラへ安全に移動させることで合意していたとされている。戦闘員はラッカへも向かったようだが、ここへはトルコから武器/兵器が持ち込まれていた。モスルからシリアへ9000人程度が移動すると言われていたが、実際にどの程度が動いたかは明確でない。 兵器/武器を運び込むルートの出発点、トルコでは7月15日に武装蜂起があった。クーデター未遂だが、これはトルコ政府がアメリカから離れ始めたことにあるだろう。トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は6月下旬にイスラエルとの和解を発表、ロシアのウラジミル・プーチン大統領に対してロシア軍機の撃墜を謝罪した。7月13日にはトルコの首相がシリアとの関係正常化を望んでいることを示唆している。その2日後の武装蜂起だ。 トルコからアル・カイダ系武装集団やダーイッシュの部隊へ伸びる兵站線はロシア軍の空爆ですでにダメージを受けていたが、トルコとアメリカとの関係悪化で物資の輸送が少なくなっている可能性がある。 そうした中、アメリカ軍による物資の空中投下が話題だ。現在の技術では約8000メートル上空から100メートルの誤差で物資を投下できるという。アメリカ側が主張する「誤投下」の可能性は低いということだ。 パルミラは紀元前1世紀から紀元後3世紀までシルクロードの中継地として発展した都市で、遺跡は世界遺産に指定されている。そこから盗み出された彫刻などがジュネーブの倉庫で発見されたともいう。現在でもパルミラは交通の要衝であり、制圧する意味は大きいのだが、それだけでなく宣伝効果もある。 しかし、ドナルド・トランプが大統領に就任して物資の供給を止め、シリアやロシアの政府と協力して攻撃を始めたならアル・カイダ系武装集団やダーイッシュは今以上に厳しい状況に陥るだろう。こうした武装勢力を本当に叩こうとしたなら、必然的にサウジアラビアなどペルシャ湾岸産油国とも対峙しなければならなくなる。そこまでやりきれるだろうか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016.12.13 04:04:42
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