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《櫻井ジャーナル》

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2018.11.12
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 イギリスやアメリカ、つまりアングロ・サクソン系国の基本戦略は遅くとも20世紀の初頭から変化していない。1904年にイギリスの地理学者で地政学の父とも呼ばれているハルフォード・マッキンダーが発表した戦略で、ユーラシア大陸の周辺を支配し、内陸部を締め上げていくというもの。最終的にはロシア/ソ連を制圧することが目標だった。

 マッキンダーは内陸部を締め上げるために「三日月地帯」を想定する。西ヨーロッパ、パレスチナ、サウジアラビア、インド、東南アジア諸国、朝鮮半島をつなぐ「内部三日月帯」とその外側の「外部三日月地帯」だ。内部三日月帯の上にイギリスはサウジアラビアとイスラエルを作り上げた。この内部三日月帯の西端にイギリスがあり、東端には日本。イギリスが長州と薩摩を支援して徳川体制を倒し、中国(清)やロシアへの軍事侵攻を支援したのは、それが自分たちの戦略だからだ。勿論、日本が好きだったわけではない。

 ジョージ・ケナンの封じ込めもズビグネフ・ブレジンスキーのグランド・チェスボードもマッキンダーの戦略がベースになっている。現在、その戦略に基づいて動いているのはネオコンをはじめとするアメリカの好戦派だが、そのネオコンを育て、送り出したのはヘンリー・ジャクソン上院議員(1953年~83年)の事務所。

 ヘンリー・ジャクソンの師と言われているバーナード・ルイスはイギリスの生まれで、第2次世界大戦ではイギリス軍の情報機関で活動していた。戦後、ロンドン大学とプリンストン大学で教えている。サミュエル・ハンチントンと同じようにルイスは「文明の衝突」を主張、シオニストを支持し、反イスラムということでも有名だ。(Robert Dreyfuss, “Devil’s Game”, Henry Holt, 2005)ブレジンスキーは「危機の弧」という概念を使い、ソ連の脅威を煽っていたが、この概念を考え出したのはルイスである。

 冷戦時代にはソ連脅威論、ソ連消滅後は中国脅威論を宣伝していたのはアンドリュー・マーシャルONA(国防総省内部のシンクタンク)室長だが、この人物もルイスから世界観を学んでいた。ドナルド・ラムズフェルドはこのマーシャルを信奉している。

 アメリカ支配層はバーナード・ルイスから大きな影響を受けているのだが、この人物には大きな問題があったと言われている。軍事力を重視、経済を軽視していたのだ。ネオコンは暴力的な手段を前面に出し、ターゲットを脅して屈服させようとしている。

 圧倒的な力の差があれば機能するやり方だが、相手がロシアや中国では無理。そこで脅しはエスカレートし、全面核戦争の段階まで来てしまった。ヒラリー・クリントンはその戦術を実行するために選ばれた人物だ。

 しかし、経済を軽視したネオコンの戦術はアメリカ支配層に従うメリットと経済破綻のデメリットの矛盾を拡大、支配システムを揺るがしている。日本も数年前からその矛盾に耐えられなくなりつつある。

 アメリカとの取り引きで儲けてもドルをアメリカへ還流させなけらばならず、手元には高額兵器と財務省証券がたまるばかり。高額兵器を使う事態になれば日本は破滅であり、財務省証券は単なる紙切れだ。日本の大企業がロシアや中国との取り引きをしたがるのは当然である。そうした流れの中、日本で大企業のスキャンダルが頻発している事実は興味深い。

 軍事面や情報面でアメリカに支配されている韓国だが、ロシアや中国との関係を着実に強化している。そうした器用な外交を安倍晋三政権ができるとは考えにくいが、状況がそうした行動を強いている。アメリカ支配層に従属することを優先すればロシアや中国を侵略し、略奪する道を進むしかない。当然、両国からは反撃があり、日本は滅びる。ロシアや中国とのビジネスを優先したなら、アメリカ支配層は日本をイラク、シリア、リビア、あるいはインドネシアのように破壊しようとするだろう。

 日本では政治家や官僚だけでなく、自衛隊、警察、検察もアメリカのコントロール下にある。そうした人びとの周辺にいる学者やマスコミ関係者も似たようなもの。目先の利益を考えれば、こうした集団の「お告げ」を信じる、あるいは信じた振りをするべきなのだろうが、その先に未来はない。

 近い将来、アメリカ本体がドル体制の崩壊で潰れる可能性がある。そうした展開になれば日本が独立する展開もありえるが、その準備をする動きは一部を除いて見られない。その一部とは沖縄だ。(了)






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最終更新日  2018.11.12 00:00:18



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