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カテゴリ:第10話 遥かなる虹の民
瞑目したまま、コイユールは、己の意識を、さらに深くアレッチェの全身に同化させていく。 アレッチェの身体内部の未知なる空間で、親指姫さながらの小さな姿に変わったコイユールは――それは、あくまでイメージ上の幻想の姿だが――、半ば歩き、半ば泳ぐような状態で、初めて到達したその場所を懸命に感じ、観察しようと努めていた。 (ここは、アレッチェ様の体の中? ここまで来ることができたのは、治療を開始してから、初めてだわ) コイユールは、いっそう身の引き締まる思いと共に、ある種の高揚感を覚えながら、黒曜石の瞳を大きく見開いて、周りを見回す。 辺り一帯は鮮やかな赤や朱色の光に照らし出され、熱気やエネルギーに満ち、多分、それらは淀みない血流や筋肉の強靭さを示唆しており、また、鼓動は猛々しいほど強く、逞しく、脈打っている。 (なんという力強さなのかしら) これほどの重症を負いながらも、アレッチェの肉体には、今でも頑強な軍人としての卓越したパワーが漲っていることに、コイユールは驚嘆しつつ、生命への畏敬の念さえ覚えずにはいられなかった。 しかし、体内の深部から表層の方へ移動するにつれ、辺りの様相が次第に変わっていく。 【登場人物のご紹介】 ☆その他の登場人物はこちらです☆ ≪トゥパク・アマル≫(インカ軍) ≪コイユール≫(インカ軍) ≪ホセ・アントニオ・アレッチェ≫(スペイン軍) ◆◇◆はじめて、または、久々の読者様へ◆◇◆ 目次 現在のストーリーの概略はこちら HPの現在連載シーンはこちら ★いつも温かく応援してくださいまして、本当にありがとうございます! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2017.02.21 00:02:24
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