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confuoco Dalnara

HERO

映画『英雄』について
風!風!と叫ぶシーンと
吹き荒れる風、
風になびく布がすべて結びついている。
天下をとる時はこんなにも風が吹くものか、と思った。
何かを変えようとし、何かが変わろうとしていたから...。

無名、飛雪、残剣、長空、秦王みな選択を迫られている。
天下と剣という文字の間を行きつ戻りつし
戦争と平和について大局的に考えることを促されていた。
剣と書は相通ずるものがある、
という奥義が私には真に理解されていないが...
ペンは剣を制する、という言葉や臨済録を思い出した。
The pen is mightier than the sword. Calamus Gladio Fortior.

武力で天下をとるのでなく、殺すのでなく生かすこと
言葉をつくすこと、対話が必要というメッセージも読み取れる。
ただし、これは第2Phase。
第3Phaseでは心で通じ合えるはず。
秦王は言う。「私は知己を得た」

選択と決断の困難さが描かれている。
王の心、民の心。
人殺しでも英雄になり、天下をとれば英雄になる。
信念と立場の違いによって世界と天下を意識できず
決心できないこともある。
残剣は書を通じて殺意を消し去り迷いを捨て去り
客観的、相対的なものの観方の境地に至ったのだろうか。

秦王が「字体が19もあるのか、めんどうだ1つに統一する」
とあっさり言い放った時、無名の顔色が少し変わった。
少数民族や文化の多様性を考慮しない
支配者と被支配者の感覚の違いが象徴されているようだ。
モンゴルやチベットを支配した時もあり
トンパ文字のナシ族も抱える多民族多言語国家ならではのシーンではないだろうか。
それは、もちろん当時の中国国内だけでなくそのまま現代世界にスライドできる。

多様な価値観を飲み込んで、天下取りは奔流のようにすすんだ。
黒い矢が、最後には赤、青、白、緑の世界を吹き飛ばした。
趙客縵胡纓 呉鉤霜雪明
銀鞍照白馬 颯沓如流星
十歩殺一人 千里不留行
... ...
「十歩に一人を殺し、千里 行を留めず」の殺気さえ捨てた侠客たちを後に残し、
王は歩みつづけていた。

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