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テーマ:韓国!(16898)
カテゴリ:映画
あらすじ
1943年、最後の妓生養成学校大成券番で 美貌と美声を競う無二の親友 ソユル(ハン・ヒョジュ)とヨニ(チョン・ウヒ)。 ソユルと結婚の約束をしていたユヌ(ユ・ヨンソク)は 民衆の心を慰める「朝鮮の心」の歌声を響かせたいと考えていたが... 『ビューティー・インサイド』で共演した ハン・ヒョジュ、チョン・ウヒ、ユン・ヨンソク主演 チャン・ヨンナム、パク・ソンウン、イ・ハヌィ、リュ・ヘヨンら共演 『メモリーズ 追憶の剣』のパク・フンシク監督 『愛を歌う花 해어화(解語花)LOVE, LIES』(2015年) (以下、映画の核心に触れる部分もございます) ミューズとなりながらマドンナ(My lady)にもなることは出来るのか 愛する人のミューズにもなりたいが、なれないマドンナはどうなるのか...など 男女間の永遠のテーマの一つでもあるこの命題(音楽界に多い話かも)が 植民地下の朝鮮を舞台に描かれている趣も。 女性ふたりが主人公の映画は投資を受けにくい、 という話を『私の少女 도희야』のチョン・ジュリ監督から聞いてもいたが、 その後 『コインロッカーの女』や 『ケチュンばあちゃん』 『お嬢さん』 インディー系では『恋物語』など ヒロインふたり(女性ツートップ)の映画はなかなか断続的に!?韓国で製作されて来ている気もする。 また、最近韓国では植民地時代下の映画が多く製作され公開されているが (『暗殺』~おもしろかったけれど、忙しくてまだReview書いていない... 『東柱』『お嬢さん』『徳恵翁主』『密偵』『隻眼の虎』など) 今作は『隻眼の虎』のように象徴されているもの、 メタなものを読み解くと 奥深く興味深い面が表れてくる、という特徴が共通してありそう。 ヨニは近代化の象徴、あるいは近代化の波に乗ることや奪い尽くす日本の象徴である一方 (『隻眼の虎』で虎を狩り尽くす人々等にも相当) ソユルは前近代的、伝統的価値観、おせっかい親切にも与え尽くす朝鮮の象徴 (マンドク=チェ・ミンシクに相当)と対比も出来るから。 この二者のぶつかり合いと葛藤は 泥の中から花を咲かせる蓮の花のように、 最後の最後に苦難の果てにカタルシスを得る。 それは1991年になってソユルが私がヨニであると名乗り出た時 TV局のプロデューサーが ソユルの出した最後の歌「愛、嘘」が(今聴けば) 歌唱も発声法も素晴らしいと称える。 その時代の花にはなれなくとも 時を経て価値が認められる、芸の真髄が評価される... まるで世阿弥「風姿花伝」のような (古今東西の真理でもある)真理を明らかにもするようなエンディングが印象的。 近代化の波が押し寄せた時代には 同時代では同時代的には肯定も評価もされなかった 音楽や芸が 近代化が行き渡りきった近代化の果ての現代には 古典として王道として価値も認められ評価され 肯定され受け入れられる。 ソユルの音楽がその時代愛する人にも大衆にも受け入れられず 自身を否定されたようにも思っていた時間は遠い過去となり... ソユルの傷ついた心は数十年の時を経て癒しと慰めを得たかのようだった。 大成券番のお母さんサンウォルが「流行」について窘めていたことも 遠い昔のように思い出された。 ヨニの歌と声は、 世阿弥の「時分の花」だったのだろうか... 物数を究めて、工夫をつくして後、花の失せぬところをば知るべし ソユルがヨニになりすまして歌うのは相当後ろめたく また惨めな気持ちだろうと思いつつ... その偽りのヨニではなくソユル自身が肯定されるという 肯定感、最後のプレゼント、ソユルがその時代受け取ることが出来なかったような贈り物を 時を越えてようやく受け取った時 芸の世界の、「花」のアイロニーを感じると同時に ため息のようなカタルシスが余韻を残した。 ソユルが最後に救われてよかった...心の痛みは少し薄れただろう、と... (ソユル本人の、ソユルの胸の裡に秘め あとは観客にしかわからないけれど) 深読みすれば 「愛、嘘 사랑, 거짓말이」と歌われた歌詞などは たやすく心変わりする男、うつろいやすい大衆や流行歌を表しながら メロディと歌唱は変わらぬ古風さや伝統の「正歌(正樂)」を通底させ 対立もする二つの価値観をひとつの音楽の中で調和もさせていた。 そのアンビバレントな調和の価値、真髄が評価されるのは後年、 数十年後で それはソユルが自分以外の他者にようやく認められ、受容された肯定感を得るまでの 長くながい旅のような道程を描いているとも感じられた。 ミューズでありマドンナでもありたいという「朝鮮の心」をめぐる解語花たちの葛藤の末の結実。 愛は成就しなかったけれど...アーティストとしてのささやかな...結晶。 「春のお嬢さん 봄아가씨」は実在のイ・ナニョン 이난영 李蘭影が歌い その頃流行していた曲らしい。 元祖歌王。 AOA の曲のタイトルにもある シムクン 심쿵が歌詞に登場しおどろく。 そんなに昔から使われていた言葉だったのかしら... 「死の賛美 사의 찬미」と「鳳仙花」は旋律が少々似ている(裏メロディのよう)と考えながら聴いていた... (「死の賛美」はヨシフ・イヴァノヴィチ「ドナウ川のさざなみ Valurile Dunării」のメロディ) 1920年代、半島を代表するソプラノのひとりだった 尹心悳 윤심덕 によるレコードがヒットしていたそう。 その他にも近代化への過渡期の、混沌を秘めた音楽たちがなかなか魅力的。 余談ですが 字幕で券番と訳されていた(「大成券番」)のは 日本の花柳界の検番・見番由来かしら。 外地ではそのような表記と内容・内実に変遷、なったものかしら... to be continued...!? buzz KOREA Click... にほんブログ村 韓国映画 にほんブログ村 映画 にほんブログ村 映画評論・レビュー にほんブログ村 韓国情報 にほんブログ村 K-POP にほんブログ村 Copyright 2003-2025 Dalnara, confuoco. All rights reserved. 本ブログ、サイトの全部或いは一部を引用、言及する際は 著作権法に基づき出典(ブログ名とURL)を明記してください。 無断で本ブログ、サイトの全部あるいは一部、 表現や 情報、意見、 解釈、考察、解説 ロジックや発想(アイデア)・ 視点(着眼点)、 写真・画像等も コピー・利用・流用・盗用することは禁止します。 剽窃厳禁。 悪質なキュレーション Curation 型剽窃、 つまみ食い剽窃もお断り。 複製のみならず、 ベース下敷きにし、語尾や文体などを変えた剽窃、 リライト、 切り刻んで翻案等も著作権侵害です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Feb 14, 2024 03:25:12 PM
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