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今週のゲストは国際政治学者でさらに東大名誉教授でもある「英語は道具力」の著者、猪口孝さんです。
紹介されてすぐに、もしやあの……と思ったら、竹村さんが「猪口さんと言えば、言われて嫌かもしれませんが、奥さんがあの少子化担当大臣をされた猪口邦子さんです。この頃よく僕の事務所に来られて、ああいう人を思い切ってボンと総理大臣か副総理にでもしたらワッと湧き上がって、と思ったりもしたけど」と言われました。やはりそうでした。 続けて「そんなこととは関係なしに猪口さんは国際政治学者としてちゃんとやられている方で、その先生が最近「英語は道具だ。この力をもっとつけないといかん」という本を出されたので、僕も英語の本をいろいろ書いてきただけに、さっそく読んだのですが、今日は英語というのはどういう意味で必要なのかということを話してもらおうと思ってお呼びしました」と丁寧に紹介されました。 ・英語は道具力; http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000032107012&Action_id=121&Sza_id=GG 猪口邦子さんについてはその見識、発言など保守派からはいろいろ言われていて僕も疑問符つきですが、その方を竹村さんは「総理大臣にしたら」と仰います。リップサービスでしょうか。 猪口孝さんに戻って、竹村さんの問いかけに「留学したこともあるのですが、そこでは英語ができないとダメ(40年前の話)。現代はグローバル化の時代、いろいろなものが移動し結びつきますが、そのなかで英語は普通語。政治をやりたい人もビジネスをやりたい人も研究をやりたい人にも不可欠。21世紀のラテン語になっている。 日本には優れた人がたくさんいるのに、国際社会ではその力が0.3掛けくらいでしか評価されていない。それは英語ができないからです」と答えます。 ここで言われている意味は、中世ヨーロッパではラテン語が政治、経済、学術関係の共通語として知識階級に使われていたことを指しているようです。 ただ当時、ラテン語が共通語になったのは、各国の言葉がまだ発展途上で専門的な知識を表わすことができなかったという理由もあると思います。 「僕は最近、金融力という言葉を使って、日本人が貯めた1500兆円のお金を世界で動かさないとダメと言っているが、そのためにも英語力がないとだめ。 猪口さんは、国民のせめて3%くらいは自在に英語を喋れる人が必要と言っているが、現実には0.1%もいない。国民全員がやる必要はないが、どうしますかね。 東京がロンドン、ニューヨークに並ぶ金融センターになるかと思っていたがそうならなかった。その理由の一つは英語を喋る人が少ないから」 「実際は0.01%もできる人はいないと思います。何をするにも英語が自由に使えないということで、外国人からすると効率的でない、意思が通じているという自信が持てないということになり、結局、信頼がもてないので商売もできなくなる。すべて英語ができないから」 「なぜ日本人は英語ができないかというと結局、英語を道具としてよく使える人は日本社会では出世しないからなのです」 ここからしばらく「英語使い迫害の恨み言」が続きます。 日本では英語のできるのは出世の邪魔になる。政治家も官僚も学者も同じ。大部分の人は自分が英語ができないからできる人間に嫉妬して正当に能力を評価しない。せいぜいその人を道具として使って雑用(翻訳、通訳)をやらせるだけ。 または海外の出先で働かせるばかりで本国の主要ポストは与えない。日本はこれで非常に損をしている、と語ります。 「竹村さんが仰るようにこれからは金融力の時代ですがそこが最も弱い。ここは信頼と口の世界で、瞬時に反応しないといけないがそれができない」 猪口さんは本の中で日本を「英語失敗国家」と呼んでいるそうです。その証拠としてTOEFLの成績が世界の最下位付近に位置していることをあげますが、これは番組でも言われたように「できる人間もできない人間もとにかく受けろ、いい点が取れなければ何度でも受けろ」というわけで低いレベルの人が累乗で増加した結果です。他の多くの国では限られたエリートだけが受験しているので同列には比較できないと思います。 また渡部昇一さんも言われるように、世界中の文献が母国語で読めるということ自体、日本の外国語教育の成功例なのではないでしょうか。 「せめて3%か5%くらいは英語を道具として使える人を育てないとダメなのでは」 「しかしそれをやろうとするとエリート主義と非難されるし、全員に英語教育を徹底しようとするとものすごくお金がかかる、と言って進みません」 ここで竹村さんは「実際、やろうと思えばできるのです」と言って以前も話のあった、英語で授業をする学校の紹介をされました。 これは竹村さんが名目上の理事長をされているというAICJ鴎州学園のことですね。英語で授業をしていると1年で聴いて話すことができるようになるそうです。「英語を勉強するのではなく、英語で勉強をする、というのが大事」というのはそのとおり。 ・AICJ鴎州学園;http://www.aicj.ed.jp/index.html 学園についてネットには「虚偽の広告あり」との書き込みもありましたが、よく分かりません。僕は竹村さんを信じたいと思います。 ここで猪口さんは「来年の春から新潟県立大学の学長になる予定、関係者に授業を全部英語でやれ、と言っているが抵抗勢力が強くて」とこぼします。 突然の愚痴にビックリ、こんなことを公の席で言ってはなおさら学内の反発を招くのではないでしょうか。 竹村さんもこの話に大いに乗って明治維新のお雇い外国人教師を話題にします。 当時は全部英語の授業だったので、新渡戸稲造や岡倉天心など日本の心を英語で発信できる人材が育ったのだ、と語ります。 当時は先端である外国の学問を学ぶのに日本語の教科書はなく、やむなくということでしょう。先人の苦労で今では日本語で最先端教育ができるようになったのですから、それを評価しないのはおかしいと思います。 現在、途上国に英語を道具とする人材が揃っている、というのはようやく明治時代のレベルということではないでしょうか。そこからいかに母国語で近代国家を維持できる人材、学問図書を整備できるかが自立できる国家かどうかの分かれ目です。 ただ、日本も優秀なトップ5%、10%は世界を相手に堂々と議論できる人材に育てるべきだとは思います。日本の歴史、立場を充分学んだ国を愛する人材、まさに和魂洋才のエリートは必要だと思います。 ここで中間です。 後半はほとんど前半の繰り返し、猪口さんの愚痴、極論のオンパレードでしたが、竹村さんもそれに安易に乗っているようで、少々残念でした。以下、愚痴の項目だけ列挙します。 新潟県立大学では英語で授業をやって、奨学金も充実させて外国人留学生を増やしたい。10%にもなれば、教師も替わらざるを得ないでしょう。(猪) 新設の大学は英語で授業をすること、と法律で決めたらどうか。(竹) 日本の義務教育での必須英単語は1000語、中国、韓国は進んでいて3000語。(猪) 日本は全員を教育しようとするから大変。小学校から教えるとなると今の教師は役に立たなくなるので反対する。(猪) できない人には別の仕事をやってもらわざるを得ないでしょう(竹) 高等教育をするところは英語で授業をするように法律で決めるか。(竹) 外国で授業を受けても単位が認められない。アジア太平洋で大学の単位の互換制度をつくればいい。(猪) 僕もこれはいい制度だと思います。 猪口さんは二言目には「アジアでは、ヨーロッパでは」とよそを持ち上げ「日本だけが遅れている、通じない、話が始まらない」と文句ばかり。この人の態度は最初から最後まで好きになれませんでした。 明治時代の文部大臣、森有礼が英語でやろうとしたのにそれも反対された。(猪) 不満そうに言われますが、確かこれは、日本語を廃止して英語国民になろうという話ですから恐ろしいことです。日本人が日本人でなくなります。 福沢諭吉は漢文からスタートして、オランダ語をやり、英語に変わり、10年でマスターした。(猪) だからどうだというのでしょうか。個人的に努力して語学をマスターした人はたくさんいます。その人たちは愚痴など言う暇はなかったはずです。 英語が必要なのは東京だけで田舎は関係ないと言いますが、勤勉で技術のある会社は田舎にあっても海外から買収されますよ。そのときは英語ができると出世できます。だから英語を勉強しなさい。(猪、竹) これは余りにひど過ぎます。奴隷根性的な発言でした。 占領時代、英語を話せる人が憎らしいと思った気持ちが今でも続いています。(猪) そのとき英語のできた似非エリートが、同胞である日本人にどんな態度で接したか、それを皆知っているからでしょう。 ・その他、猪口孝さんの発言;http://job.yomiuri.co.jp/afterfive/jo_af_07030701.cfm 何となく欲求不満で今週は終了です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.11.09 20:43:22
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