不思議の旅の終わりに(2008年11月15日)
2年2ヶ月前、初めて徳島へ来てお遍路初日、【2番:極楽寺】門前の『長寿庵』のおばちゃんが紹介してくれた宿【越久田屋】に最後にまた宿泊しました。部屋まで同じA号室。前と同じように車で“御所の里(温泉施設)”に送迎してもらい、帰りにスーパーに寄って食料の買出し。唯一変わったといえば、宿代が値上がりして4,500円(素泊)になってたこと。あと、卓球の四元さんのサインが増えていたこと。リビングで今日から遍路を始めた大阪の24歳の女の子とわいわい夕食を済ませ、以前泊まった時の落書きノートに書いていた自分の遍路への意気込みを読んでげらげらと笑い、Yさんや宿の大将と一緒に談笑していたら・・・。 その宿では歩き遍路が結願したら、宿の白衣に名前と一言をマジックで書き込んでいるのですが、Yさんと私が書き込みをした後で、大阪の女の子が「道に迷ったらどうしよう」と言い出しそんな話題になったころ。 宿の大将が「こんな人もおるんや」と去年の結願した人の白衣を見ながら「レスキューをされて命の大切さがわかりました。色んなことがあったけど皆さんのおかげで無事結願できました」と読み上げる。 ふと名前を見ると○○○○!!! その見覚えのある名前は、去年の秋に膝を傷めながら越えた山中で拾った財布の持ち主でした。 「わ、私この人の財布を窪川の山の中で拾いました!」 一同びっくり。 大将に詳しい話を聞くと、野宿遍路の大学生でやはり遍路で四国へ来て第一日目にこの宿に泊まりスタートしていった。 窪川の五在所の峰を越えようと山に入り、道に迷って斜面を滑落し、動けなくなって自分で携帯電話で110番通報。 警察のヘリコプターで吊り上げられて救助された。 財布をなくしながらも旅を続けて、88番まで到達して、またこの宿に戻り白衣に名前を入れて帰った。 と、こういう話でした。一年間もやもやしていた謎が一気に解決しました。 スッキリ~~~楽しい時間はあっと言う間に過ぎて、寝る時間。そしてなぜか遍路中で初めて、興奮してなかなか寝付かれない夜でした。一夜明け、朝、ゆっくりとリビングで朝食を食べながらくつろぐ。これから旅立つ人、家に帰る人、なんだか切ない。7:40、晴れた朝の空気中みんなで玄関前で記念撮影後、【霊山寺】へ向かって出発。いい朝です。途中の札所はスルーしたところもあって、3番→2番→1番だけ立ち寄ります。金泉寺の黄金の井戸はとりあえず覗く。改修工事中の赤い橋、以前はどうだったかな。2年前の記憶が甦りつつ、霊山寺に到着。にこやかに出迎えてくださるこの方。参拝しながら「どうですか、私。初めより成長してますか?」と心の中で中でお大師様に問いました。納経所兼売店へ入り、「平成18年のノートお願いします」と売店の人にお願いしました。その人は店の奥からノートを出して来てくれて「ハイ、ご苦労さま」と渡してくれました。9月の欄に私の名前がありました。その上には、神奈川のAちゃんの名前。まだ結願日が未記入のままなので、多分彼女の旅は終わっていないのでしょう。元気かなぁ、またどこかで会いたいです。赤ペンで結願日を記入します。これでやっと、私の仕事が終わった・・・・・。JR坂東駅まで歩くと、初めて見る風景。こんな石柱あったんだ。初日の日は、鳴門西のバス停から歩いたもので、こちら側は未開の地だったのです。初めての坂東駅。12:20の電車で一路、徳島へ。クレメント徳島の地下の惣菜屋さんで、久々に『ぼうぜ寿司』を買いました。いつもは切身でしたが、今回はめでたくお頭付きです。ちょっとグロテスクかも。高速バスの時間が少々あったので、さらに高松名物『揚げぴっぴ』や松山で買ったことのある『雲丹海苔』など徳島以外のものも買い込みました。大阪行きのバスに乗り鳴門大橋を渡る頃、四国を去る寂しさがひしひしと感じられました。でも、これで終わりじゃない。きっと、終わりは始まり・・・・・。