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2007.09.02
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カテゴリ:住宅業界の裏話


先月に二度、中越沖地震の災害復興支援として柏崎・西山地区へ出向いたことは前回のブログでもお伝えしました。西山のボランティアセンターも今日のイベントを区切りとして解散しました。残念ながらイベントには参加できなかったのですが、その様子は後日にでもアップいたします。



さて…表題からかなり厳しい言葉ですが…ボクが見た「現実」をお話ししたいと思います。
とある被災者からのニーズで現地へ調査に。住宅の際に20cmほどの溝が出来ているので埋めて欲しいとのこと。調べてみると…反対側の犬走りに同程度の亀裂がありました。と言うことは20cm以上も家がずれたことになります。現場は斜面を切り崩した土地で、確かに地山ではあるが多少の軟弱さは見て取れる。が…家はしっかりしているのです。

お聞きしたところ、2003年の地震で以前の家屋は残念ながら倒壊したそうです… 
現在の家は少し周囲の家とはディテールが違います。建て替えの時、大工さんが「ここらの家の昔風の建て方は地震に弱い」との意見でこうなったらしいのですが…大正解!家の四隅にしっかりと壁を起こした頑強な構造。二階の乗りに関しても、重量を均一に分散させる構造になっています。基礎もベースの厚いベタ基礎で、そんなに高くはしてありませんでした。結果として「耐震構造」となり、住宅は軟弱な地盤を横滑りして「免震効果」を生んだのでしょう。



センターに戻り状況を報告、スタッフの動員数や施工法、日時を決めていると…「駅前の住宅のこと、知ってる?」との話が。そう言えば外壁のきれいな家が損壊していたな…「リフォームしたばかりだったんですか?」「いや、2003年に倒壊して、つい先日に建て直したらしい。費用を工務店に全て払った直後に…可哀想だね。」…え?新築だったのか…

駅近くの家は敷地に制限があるため、一階部分を駐車場や農機具倉庫にする場合が多いのです。住宅には「耐力壁」と呼ばれる変形を抑制するための頑強な壁を、その住宅の床面積に応じて充分な枚数をバランスよく配置することが建築基準法で決められています。大きな地震が起きるごとにその内容は厳しくなり、現在では阪神大震災のレベルでも充分に倒壊を防げる計算値となっているはず…なのに、なぜ…



この「バランス良く」というのが問題なのです。間取り図の上下左右に均一に耐力壁を配置することが必要で、基本的には建物の外周と角の部分を重視します。が…これを逆手に取れば住宅の中心あたりに耐力壁を集中させてもバランスは取れてしまう。計算上が法律に沿えば建築士は書類を作成して役所に提出。建築主事(といっても担当者扱いだが)も法に合致してはいるので判を押します。これで建物が倒壊しても「法律通りですからねぇ~」と逃げてしまうのでしょう。そんなもんでしょう…

今回の件、誰が悪かったのか?クライアントは自身の望みを工務店に伝えます。当然に建築知識は持っていないので耐震性なんて事は業者にお任せ。工務店は…やはり大して勉強はしてないでしょう。建築士に手書き図面を渡して「こんな感じで頼みますわ」と。建築士は当然に強度不足を感じるだろうが、そこはお仕事。小細工して基準法のレベルをクリアすればOKなんてね。あれ…それでは建築士が悪いのか?

過日の偽装事件で世間を騒がせた建築士。もちろん問題はあったが「可哀想」とさえ思えた。依頼者はコストダウンに執念を燃やし、施工者は利益確保に躍起。金と権力、義理で不道理を押し通した結果でしょう。だから今回の件も一概に「建築士が悪い」とは言えないのではないでしょうか?



クライアントは「オレが金を払うんだぞ!お施主様だ!」なんて気持ちになってなかったのでしょうか?金さえ払えばどんな無理も聞いてくれると。施主が一番偉いなんて思ってなかったのかな?

工務店は「へいへい、そうでございますねぇ~♪」と何でも聞いてたんじゃない?下手に意見をすると仕事が流れるから。で、設計士に「何とかこの間取りで頼みますわ」なんて… また、今までの「勘」で事を進めていたのでは?しっかりとした知識や裏付けも無しに人の命を預かるなんて…あまりにも無責任。

建築士は…これも工務店と同じ。「仕事ですからねぇ」と、自身の持っている知識や経験を「悪い使い方」してませんか?法例をクリアすることが仕事じゃない!人の命を守ることが一番大切な仕事なんです。もちろん生活もあるが、社会的な責任をもっと感じて欲しいね…



こんな辛口の文章を書くつもりもなかったのですが… 見方によれば非難中傷ですよね。ただ、現実の被災地を見た人にはボクの気持ちがわかると思います。赤紙(立ち入り禁止)が貼られた倒壊寸前の住宅に、それでも生活を続けている爺ちゃん、仕方なくガレージで寝泊まりする婆ちゃん。親戚の家に預けられたままの子供達や、片付けに憔悴しきった人々… あまりにも悲しく辛い現実…

「人の命を守る」こと。これが大前提であると…建築に携わる方々の再認識を心から願います。。。







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最終更新日  2007.09.03 10:24:52
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