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くれーじーくえいる ぶろぐ

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2009.02.28
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テーマ:ゴルゴ13(71)
 先日、アメリカ・ハリウッド恒例の第81回アカデミー賞授賞式にて日本からノミネートされた『おくりびと』(滝田洋二郎監督)が外国語映画賞、『つみきのいえ』(加藤久仁生監督)が短編アニメーション賞をそれぞれ受賞する快挙を成し遂げました。権威あるアカデミー賞において日本映画の底力を見せ付けたといえるこの話題ですが、奇しくもハリウッドの映画産業をテーマにした今週の『ゴルゴ13』アニメ版に先駆けて絶妙なタイミングでの出来事となりました。

〔Target.46:世紀末ハリウッド〕  原作:リイド社SPコミックス第120巻収録(1996年初出)

CAST  リー:三木眞一郎  ロイ:樋浦勉  ジミー:原康義  アラン:佐々木敏  クー:室園丈裕  デイブ・マッカートニー:千田光男

 アメリカ・ハリウッドへの進出を目指す香港の映画スター・リーは、マネージャーのロイたちと共にニューヨークに乗り込んで新作映画の撮影準備に取りかかっていた。だが、ブロンクス地区を訪れた彼らをストリートバスケットのプレイヤーに扮した刺客たちが襲撃、ボディガード2人とロイの息子のクーが凶弾に倒れてしまう。
 リーたちを狙ったのは、彼らの映画制作を快く思わないアメリカ国内の勢力である可能性が高かった。こんな状況では映画は作れないと諦めかけるリーに対し、ロイは何としても彼と映画を守り抜くべくゴルゴ13に接触していた。リーたちの前に現れたゴルゴ13はボディガードは引き受けないと依頼を断ろうとするが、ロイは警護ではなくリーを狙う敵の排除とそれを指示する人物の抹殺という形で依頼。香港映画の未来のためなら自分の一族すべての命を差し出しても構わないと言うロイに対し、ゴルゴ13はある条件を提示する・・・

 ニューヨーク・ブロンクスでのリーの映画の撮影が始まった。その最中、建物に潜むスナイパーやエキストラの役者に混じった刺客がリーの命を狙ってくるが、周囲に身を潜めたゴルゴ13の狙撃によって悉く排除され、撮影は順調に進む。
 リーの命を狙う敵を動かしていたのは、米国防総省の諜報部門であるDIA(米国防情報局)のアランとアメリカ映画産業の関係者であった。彼らにとってハリウッドの映画産業は単なる娯楽ではなく、アメリカの価値観を広く世界に喧伝するための重要な国家戦略であり、香港映画等の外国映画のヒットによってハリウッドの映画産業が衰退し、映画による国家戦略に影響を与えることを恐れていた。そのため、彼らは完成すれば大ヒットが予想されるリーの映画の制作を何としても阻止しようとしていた。リー側にゴルゴ13が付いているとの情報を得たアランは怒りを募らせる・・・
 車で移動中のリーは映画の撮影が順調に進んでいることに安堵するが、ゴルゴ13は敵が相応の準備をして仕掛けてくると予測する。と、その時、狭い路地内でリーたちの車が不審な車両に前後を塞がれ、頭上のビルに潜んだ複数の敵から銃撃を受けた。ゴルゴ13は前方の敵の車を強引に押し出させてビルにぶつけて排除し、後ろのバンを手榴弾で足止めすると、車を降りて擱坐したバンの中にいた敵兵たちを射殺する。敵が持っていた武器の中にはMP5SD3があり、相手は高度な訓練を受けた特殊部隊らしい・・・
 ゴルゴ13は更なる敵の攻撃を警戒し、ブロンクスにある華僑のビルにリーたちを移動させる。このビルは窓ガラスがすべて防弾化され、各部屋にカメラが設置されて管制室でモニターできるようになっていた。ゴルゴ13は敵が今夜仕掛けてくると予測し、各階を早く移動できるようエレベーターの稼働速度を調整してリーとロイと共にビルに立て籠もる。
 そしてその夜、トラックと強襲ヘリに分乗したDIAの特殊部隊がニューヨーク市内の停電に紛れてリーたちのいるビルに退去して攻撃を仕掛けてきた。アラン自ら指揮車で陣頭指揮を執る中、敵部隊はビルの正面玄関から突入を試みるが、5階の窓からゴルゴ13の攻撃を受け、周囲に展開していた狙撃班も排除される。敵部隊は強引に玄関を破って突入してくるが、ゴルゴ13はエレベーターで移動して1階の敵部隊を殲滅。1階だけでなくヘリで屋上からも突入してくる敵部隊に対し、ゴルゴ13はフレシェット式徹甲弾にカスタムしたPTRS1941対戦車ライフルを持ち出して9階に到達した敵部隊を床下から狙撃して殲滅するが、敵の指揮官はゴルゴ13も巻き添えにせんと手榴弾を抱えて自爆する。その隙に1階から侵入してきた別部隊が8階の管制室に突入し、リーとロイは追い詰められる。敵指揮官はリーを射殺しようとするが、ロイが盾となって銃弾に斃れる。そこへゴルゴ13が駆け付けて敵兵と銃撃戦を繰り広げるが、多勢の前にゴルゴ13の残弾は銃弾と40mmグレネード弾が1発ずつになってしまう。ゴルゴ13は最後の銃弾で天井のハロゲンガス消火装置のノズルを狙撃して室内にハロゲンガスを放出させ、管制室のシャッターをすべて下ろす。充満するハロゲンガスによって急激に気圧が上がっていく中、ゴルゴ13が窓の一つをグレネード弾で破壊。その途端、室内と外気の気圧差によって室内の高圧ガスが一気に外へと吹き出し、敵兵たちは一人残らずビルの外へ吸い出されていった。
 敵を蹴散らしたものの、ロイはすでに虫の息だった。だが、ロイはどうせこの依頼が成功すれば自分の命はなかったのだとリーに告白する。実は、ゴルゴ13と行動を共にする過程で彼の攻撃の秘密を知ってしまうことになるロイに対し、ゴルゴ13は依頼完了後に彼の命を要求、ロイはそれを承諾して依頼したのだった。ゴルゴ13は敵がDIAであることを知り、依頼の遂行を約束、ロイは安堵して息を引き取る・・・
 指揮車にいたアランはDIAの精鋭部隊が全滅したのを目の当たりにして逃げ出そうとするが、その前に現れたゴルゴ13の銃弾に斃れたのだった。


○○○○○○

 ハリウッド進出を目指す香港の映画スターとその前に立ち塞がるアメリカ映画産業の暗部という構図を描いた本作。結構政治色が強いエピソードのためアニメ化されるとは思ってませんでしたが、政治的な部分をある程度省いてゴルゴ13の人間離れしたアクションに重点を置いた形での映像化となりました。

 原作は香港の中国返還の3年前に描かれただけあって、リーが香港返還後に中国政府の政治的プロパガンダに借り出されるのを嫌って自由の国アメリカへの進出を目指すという理由が語られていますが、この辺は流石にアニメ版では省かれています。また、本作のキモともいえるアメリカ映画産業の政治的意味については、原作ではリーの命を狙うDIAのアランとハリウッドの映画産業の関係者たちがハリウッドの将来戦略について討議するシーンがあり、ハリウッド映画がアメリカの消費文化や価値観を世界に伝播させ、それに関連する様々なアメリカ製品の宣伝と消費拡大をもたらしてきた重要な国家戦略であったが、今やその足下たるアメリカの子供たちの嗜好は日本のアニメ作品に向かいつつあり、このままでは将来ハリウッドは世界を引っ張るソフトコンテンツを持てなくなるという彼らの危機感が描かれているほか、アランも米映画産業を育てたのは自分だと自負し、ついにはDIA長官の指示も仰がずに独断で特殊部隊を指揮してまでリーを消そうとする尊大なキャラクターとして描かれています。アニメ版では原作からは多少端折られているものの物語の基本は押さえた形になっていますが、原作の日本アニメ云々が省かれたのはTVアニメに力を入れてるテレ東だからかなどと勘繰ってみたり(笑)
 最終的にアランはゴルゴ13によって始末されるわけですが、原作では後日リーの一件の報告を受けたDIA長官がアランに対して「バカなことをしてくれたようだ」と呆れ、「アメリカ先住民を殺戮してこの地に乗り込んだ自分たちが許されるとすれば、それは誰にでも成功できるチャンスを与えているからだ」という考えの元、リーたちの方がずっと自分たちの祖先と同じ精神を持っているとして彼らを受け入れる決断を下すラストシーンがあり、アランの行動が結局は彼の独り善がりでしかなかったことが描かれていますが、アニメ版でこのラストシーンが省かれたのは残念・・・

 そんな中、リーの命を狙う敵とその黒幕を排除するという形で実質的にリーを警護する仕事を引き受けたゴルゴ13は、DIAがけしかける特殊部隊を相手に単身で大立ち回りを演じることになりました。原作ではホットドッグ屋のオヤジに化けた刺客まで見抜いて片付け、襲撃に失敗して態勢を立て直そうとする敵兵たちを「襲撃に失敗した場合の最善策は如何に早くその場から離脱するかだ」と容赦なく殲滅するシーンがありますが、尺の問題か省かれたのはちょっと残念。あと、クライマックスの戦いで管制室内をハロゲンガスで高圧状態にして窓を破壊し、内外の気圧差で中の敵兵を吸い出させて殲滅するという結末は流石にリアリティに乏しい気がするのでアニメ版ではやらないかと思ってたのですが、原作そのままに映像化したのでちょっとビックリ(笑)
 銃ヲタ的視点で注目すべきはやはり、クライマックスの大バトルでゴルゴ13が持ち出してきたシモノフPTRS1941。14.5mm×114弾薬を使用するセミ・オートマチック5連発のこの巨大ライフルは、同口径でボルト・アクション単発型のデグチャレフPTRD1941と並んで第2次世界大戦で活躍した旧ソ連の対戦車ライフルで、日本のアニメ作品では映画『ルパン三世 カリオストロの城』で次元大介が.357マグナムの通用しないカゲ軍団相手に撃ちまくったことでお馴染みの銃です。アニメ版ではてっきり現代のアンチ・マテリアル・ライフルの代表格たるバレットM82A1辺りに変わるかと思ってましたよ。ただし、アニメ版では原作では登場しないデイブ・マッカートニーがPTRSのカスタマイズを引き受けたようで、使用する弾も戦車砲のAPFSDS(翼安定サボ分離式徹甲弾)を応用した特製のタングステン合金製徹甲弾になっています。
 あと、本作ではゴルゴ13と共にリーの警護計画を練る中で彼の職業的な秘密を知ることになってしまったロイが自分の命を差し出すという依頼の条件が示され、原作ではロイがまとめた警護プランの書類をリーが覗き見ようとするのを慌てて止めるシーンがありますが、アニメ版ではその辺の描写が省略されたため少々わかりにくくなってしまった感があります。





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Last updated  2009.03.04 19:55:38
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