本日は空中給油機に関連する日米ネタを一席・・・
去る2月25日、航空自衛隊のロッキード・マーチンC-130Hハーキュリーズ戦術輸送機に空中受給油機能を付与する試改修を受けた第1号機が空自小牧基地の第404飛行隊に配備されました。
この改修は空自のシコルスキーUH-60Jブラックホーク救難ヘリコプターの航続能力強化の一環として行われるもので、空自が保有するC-130Hの一部にプローブ&ドローグ方式の空中給油装置等を装備して空中受油機能を付加されたUH-60Jに空中給油を行い、ヘリの航続距離や航続時間を延伸して航空救難活動の強化を図ると共に、C-130H自体にもボーイングKC-767空中給油輸送機から給油を受けるための受油装置を備えて輸送機としての能力強化を図っています。なお、空中受油装置を搭載したUH-60Jは一足先に航空救難団那覇救難隊に配備されてアメリカ海兵隊のKC-130との共同試験を実施しています。
一昔前まで、空自が空中給油機を保有するというだけで近隣諸国への脅威云々とか騒がれていたのが、今や4機のKC-767を自前で保有するだけでなくC-130H輸送機のタンカー化にまで着手するようになったのだから、世の中変わるもんですなぁ(笑)
ちなみに、現在開発中のXC-2次期戦術輸送機も試作2号機で空中受油装置を装備するとの話があるようですが、ターボファンエンジンで飛ぶこちらの方がKC-767には追従しやすいのかなと思ったり。
一方、海の向こうのアメリカでは2年前からすったもんだしている米空軍のKC-X(次期空中給油機)の船底問題に新たな動きが・・・
ボーイング社が提案するKC-767と、欧EADS&米ノースロップ・グラマン社が共同提案するKC-30(エアバスA330MRTT)の争いとなっていたKC-X計画は、2008年2月に一旦KC-30が選定されたものの、ボーイング社が選定経緯に疑義があるとして米連邦会計検査院に異議を申し立てたため一旦白紙に戻されて再検討が行われていました。そして、最近になって米国防総省がKC-Xの再入札について新たな選定評価基準を決定しましたが、ノースロップ・グラマン社は今月8日にKC-Xの再入札への参加を断念することを発表しました。
同社によれば、国防総省の新しい選定基準が自社案に比べて若干小型であるボーイング案に有利な内容であり、自社案の性能が公平に評価される機会がない状況で参加するのは意味がないというのが入札断念の理由とのことです。12日に行われた英仏首脳会談でもこの話が取り上げられて英仏両首脳が「アメリカは保護主義的」と批判するに至り、ドイツやEU欧州委員会も遺憾の意を表明しているとのこと。
アメリカでは軍需を含む政府の公共事業に際して自国製品を優先的に購入すると定めるバイ・アメリカン法があるため、ヨーロッパのEADSが米軍の装備選定に参加するには米側企業との連携が事実上必須になりますが、現状ではノースロップ・グラマン以外にEADSと組んで米国内で空中給油機の製造インフラを整えられるメーカーがあるとも思えないので、このまま進めばKC-Xはボーイング社が逆転受注する可能性が高くなってきました。
最初にKC-Xの選定やり直しという話が出たとき、こりゃボーイングが政治力駆使して逆転受注とか可能性大だなと思ったりしたのですが、本当に予想を裏切らない展開になりそうで・・・(笑)そういえば、日本の空自のKC-767はいよいよ本格稼働に移行するようですが、今後空自がKC-767を追加導入する可能性を考えると、米空軍でKC-767が導入されるのは機体の生産継続という意味ではプラスに働くとも考えられます。まぁ空自向けと米空軍向けの機体は別仕様ではありますけどね(笑)
ただ、導入数100機以上、総額が日本円にして3兆円超という空前の軍用機調達ビジネスをみすみす手放すというのはEADSとしては忸怩たるものがあるだろうなとは思います。