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ここまできたら、一気に書き上げてしまわないと気がすまないので(汗)
前回ご紹介した、六甲山の現地古称「譲葉峰(岳)」ですが、現代でも全く滅びてしまったわけではない、ということが、次第にわかってきました。若いころから六甲のあちこちを歩き回っていて、とくに最高峰から東側で、今なお最高峰を「譲葉岳」の名で呼んでいる登山者に何人も出くわしたことがあります。訊いてみると「地図にはないけど親の代からそう聞いているから」といったような答えが返ってきて、地名というものの生命力を強く感じたものです。 前々回、最高峰には別の名をあてるべきだという意見がある、と書きましたが、そういった声が出てくる背景には、実はこういう「有力候補」の存在があるからなんですね。事実、山岳ガイドブックの中で、一冊だけですが「六甲山地は・・・その最高峰は譲葉ガ岳(931m)。」と堂々と明記したものがあって、それを読んだときには目が点になりましたが。 生命力、といいましたけど、まさしく地名も生きているんですね。それ自体がその土地の人々の生活や歴史に支えられてきた文化遺産であり、遺伝子を持った生命体として、その文化を世代を超えて引き継いでいくものだと思います。 前回は「六甲山」という名を、まるで生態系を破壊してしまった悪玉みたいな書き方しましたが(爆)・・・私は別に「六甲山」の名に異論をとなえる気はありません。出自はどうであれ現在ここまで定着し、全国区のポピュラリティをもった名前ですし、地元市民が親しみをこめて「六甲山」と呼ぶときには、それは山の名前というよりむしろ「六甲さん」と擬人化しているような趣もあります。アルプスの山々のように大きくはなくても、六甲の身近な自然がかけがえのない市民の宝であるように、その名前もまた山の一部として、市民の貴重な文化遺産なんですから。 最近の市町村合併で、ずいぶん多くの貴重な地名がまた消えていこうとしています。それらは先刻のたとえでいうなら絶滅危惧種みたいなものですね。いまのうちに何らかの手を打って保護し、遺伝子の多様性を保つ努力が必要ではないでしょうか。・・・神戸や阪神間の市民にとって「守護の山」ともいうべき六甲山の最高点を「六甲最高峰」などと無機的な呼び方をするぐらいなら、古い歴史をもち、響きも床しい「譲葉」の名をそこに残すべきではないかと、私もいまはそう考えています。 芦屋浜から最高峰方面 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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