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tarashiの日記
「シティ・オヴ・グラス」ポール・オースター作、山本楡美子・郷原宏訳(角川文庫)を読みました。
柴田元幸の訳で知られるポール・オースターですが、彼のニューヨーク三部作の第一作である「シティ・オヴ・グラス」は柴田さんによるものではないのですね。僕は「リヴァイアサン」あたりからの柴田=ポール・オースターのファンなので、うかつなことにこの本を読んでいなかったのです。
が、これ、いい本です。読んでいる最中からサミュエル・ベケットの「モロイ」を読んでいるような感覚に襲われました(もう30年くらい前に読んで衝撃を受けた小説です)。自己というものの存在のあやうさ。周りの小さな所有物へのこだわり。崩壊していく身体と精神。つづられていく文章の崩壊(というかdecline)。私立探偵ものとして始まった小説がいつのまにか、なぞはそっちのけで、探偵(もともと小説家なのに、ふとしたはずみ(?)で探偵に間違われ)のよって立つ世界が揺らぎ、自分の存在もあやふやとなり・・・。
この本にあえてよかったと思った稀な部類の一作です。
シティ・オヴ・グラス
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