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テーマ:映画館で観た映画(8310)
カテゴリ:洋画(さ行)
原題: LE SCAPHANDRE ET LE PAPILLON/THE DIVING BELL AND THE BUTTERFLY 監督 : ジュリアン・シュナーベル 原作 : ジャン=ドミニク・ボービー 脚本 : ロナルド・ハーウッド 出演 : マチュー・アマルリック 、 マリー=ジョゼ・クローズ 、 マックス・フォン・シドー 公式サイトはこちら。 <Story> 病院のベッドで目を開けたジャン=ドーは、自分が何週間も昏睡状態だった事を知る。 そして身体がまったく動かず、唯一動かすことができるのは左目だけだという事も。 ジャン=ドーは雑誌「ELLE」の編集者で、三人の子どもの父親だった。 彼は言語療法士の導きにより、目のまばたきによって意思を伝える事を学ぶ。 やがて彼はそのまばたきで自伝を書き始めた。 その時、彼の記憶と想像力は、動かない体から蝶のように飛び立った…。 潜水服は蝶の夢を見る - goo 映画 <感想> 実話を基にしたドキュメンタリー。 「ELLE」編集長だったジャン=ドーが42歳にして突然脳梗塞に見舞われて、 ロックト・イン・シンドローム(閉じ込め症候群) ~身体の運動および感覚器官のほぼすべてが麻痺していながらも、意識は健康時と変わらず鮮明に保たれている状態~ に陥る。 意識が鮮明なので思考は発症前と何ら変わらない。 なので、肉体ががっちりと動かず、想いだけが漂っている状態を「潜水服」のイメージとして捉えているところは切実なものがある。
これが邦画だったら、闘病記&自伝を書いた、というところがクローズアップされて、 涙を誘うパターンになりがちだけど、 それだけでは終わらないのがこの映画。 何せ世界的なファッション誌の編集長にして、注目されつつある作家だったのだから、 並の生活ではないわけで。 3人の子がいながら愛人もおり、妻とは関係が冷え切っている。 そんな複雑な人間関係も次第に明らかになってくる。 思考はしっかりしているジャン=ドーの独り語りから、我々は彼と見舞い客との関係を把握することができる。 妻を介して愛人へ想いを伝える場面、これはフランス映画らしいシチュエーション。 そしてそんな酷な場面も容赦なくさらけ出している。
何とかして自分の想いを伝えたい、 自分は本を出版する予定だったから、自伝を書けないかと、限られたコミュニケーションの中で格闘するジャン=ドー。 コミュニケーションの手段を考えてくれる療法士、協力者たちのもと、 途方もない時間と労力をかけて、まばたきだけで彼は自伝を書き上げる。 その作業を支えたものに感服させられる。 実際に若くして脳血管系の疾患を発症する人が多いからこそ、 この話は切実なものがある。 身体だけが自由にならないもどかしさ、自分だけが世界に漂っている虚しさ。 そんな状態でも自分らしく生きたいという想いを感じました。 今日の評価 : ★★★★★ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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