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テーマ:映画館で観た映画(8350)
カテゴリ:邦画(は行・ま行)
監督・脚本 : 坪田義史 出演 : 水橋研二 、 町田マリー 、 本多章一 、 松浦裕也 、 あんじ 、佐野史郎 鑑賞劇場 : シアターイメージフォーラム 公式サイトはこちら。 <Story> 1970年代初頭。 漫画家の安部愼一(水橋研二)とその恋人、美代子(町田マリー)は、東京・阿佐ヶ谷で同棲生活を送っていた。 自らの体験をもとに漫画を書くという信念のもと、安部が美代子をモデルとして「月刊漫画ガロ」に発表した「美代子阿佐ヶ谷気分」は彼の代表作となる。 しかし次第に答えのない疑念に引きずり込まれていった安部は、故郷・福岡県の炭坑の記憶を辿るが、やがて、作品と私生活の境界線を見失っていく…。 美代子阿佐ヶ谷気分 - goo 映画 <感想> この日試写会があったので、その前にチョイスした1本。 実は町田マリーさんの舞台を観に行くことになっており、映画になっているこちらも鑑賞しておいた方が、より彼女を知ることが出来そうと思ったので。 舞台は思いっきり70年代色に染まってます。 「ガロ」とか、思いっきり知らない世代。 もちろん安部愼一さんの漫画すらも全然わかりません。 そして、あの頃の阿佐ヶ谷のイメージと言えば、「喫茶店」って感じなんですよね。 カップル(この言葉も死語?)が裸電球のアパートで同棲して神田川。。。 みたいな。 まさに映像はその世界です。 「阿佐ヶ谷の 彼の部屋でわたし 平和よ」 安部愼一の、「美代子阿佐ヶ谷気分」のコマ割りと全く同じカットで、映画は撮影されていく。 その様子はどこか自堕落であり、頽廃的。 安部はドキュメント的手法でないと漫画が描けないため、ネタ元が日常生活の範囲内にしかなく、必然的にその対象は美代子となる。 絵に自信がないから、一度美代子の裸を写真に撮ってから漫画に描く。 だけどそんな手法は行き詰って・・・。 安部が行き詰まる気配を感じ取る美代子の微妙な表情がよく出ている。 買いもの1つするのでも、自分たちの生活の空気を滲ませているのがわかる。 部屋で1人で過ごす美代子の気だるさ、外に出るとそれを隠すように生きているけど、本当は安部を求めていることは隠しきれない。 実生活がそのまま漫画になってしまうというのは、描かれる方としてはかなり厳しいだろうけど、それも安部を愛したからこそ。 それに比べて安部はどこか落ち着かない印象を受ける。 美代子の気持ちを知ってか知らずか、無茶苦茶な要求や意味不明の行動をする。 それも彼の作品の将来への不安から来ているものなのだろうけど。 旧友の川本の気持ちを薄々わかりつつ、彼を結局自分の作品を生み出すために利用してしまうところなんかはかなりキツいだろうし、自己中かなとも思うんだけど。 でも、そこには男と女の違いっていうのも思いっきりあるんだろうなとも思う。 待っていたいのが女、そして求めていきたいのが男。 このバランスを保つために美代子が支える形となっている。 昔の女、昭和の女。 美代子を見ているとそんな言葉が浮かんでくる。 何と言っても町田マリーの存在に圧倒される。 何となく予想はしてたけどここまで脱いじゃうとは。。。 という感じで(苦笑) でもそこには美代子という人間を思いっきり理解して演じるという度胸がある。 安部のためなら、ということ。 彼をわかりたい、時にはわからない振りもして。 痛々しいほどの演技に、この役にかける意気込みが十分込められていた。 翻って安部役の水橋研二。 町田マリーに押されっぱなしという感じもする。 でもそれが安部夫妻のあり方だとすれば、この配分でもいいのかもしれない。 むしろ印象に残ったのは、川本役の本多章一。 モデル出身という経歴を見て納得。 何となく気になる、惹かれる、そういう要素を持っている。 そして真知子役のあんじ。 彼女の役も本当に嫌な女の予感がたくさんして、またそうだったんだけど(笑)、真知子にどっぷりとはまっていた。 いますねえ、こういう女友達。。。 とうなずく人も多いのでは? ちなみに私にはこんな友達はいないけど。 ポンキッキーズ以来どうしてるのかなと気になったけど、こんな形でお目にかかれるとは。 ある意味感激。 そしてこの映画の佐野史郎はいいなあと思う。 いつも彼の役にはどこか「冬彦さん」っぽい部分が要求されるのだろうか、という感じの役をたくさん見てきただけに、そういう要素が一切ない演技がよかった。 何かのイメージを固定されることはきっと役者さんとしては嫌だろうし、編集者の松田は安部をリスペクトしている訳で、そこがちゃんとしていたのはよかった。 かなり観る人を限定するタイプの映画だし、導入部分で「大丈夫?」とも思ってしまうんだけど、観終わってみると、それぞれの演技がとても深かったと思わせた。 この映画の役に対してすごくそれぞれ分析したんだろうなという足跡が感じられる。
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