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テーマ:映画館で観た映画(8348)
カテゴリ:邦画(か行・さ行)
監督・脚本 : SABU 原作 : 小林多喜二 出演 : 松田龍平 、 西島秀俊 、 高良健吾 、 新井浩文 、 柄本時生 、 木下隆之 、 木本武宏 、 手塚とおる 、 皆川猿時 公式サイトはこちら。 <Story> カムチャッカ沖。 蟹を缶詰に加工する蟹工船・博光丸の船内では、出稼ぎ労働者たちが安い賃金で過酷な労働を強いられていた。 少しでも手を抜くと監督・浅川(西島秀俊)の容赦のない暴力に晒されてしまう。 労働者たちは仲間の1人・新庄(松田龍平)の言葉に従って自殺しようとするも、結局死ぬことすらできなかった。 そんなある日、新庄と塩田(新井浩文)は漁の最中に博光丸とはぐれてしまう。 そして冬の海で寒さに凍える彼らを助けたのは、ロシアの船だった……。 蟹工船 - goo 映画 <感想> 意外と上映館が少ないこの映画。 行ける時に行っておかないと見れなくなってしまうので、時間の空いた時に行ってきました。 原作は読んでいます。そんなにページ数もないお話ですし、最近小林多喜二がブームなので入手しやすくなっています。 前に、29歳で特高に殺されてしまった多喜二の母親のお話を読んで、考えさせられてしまうことがたくさんありました。 多喜二が生きたあの時代は、今よりは言論の自由がずっと少なかった。 その中で懸命に訴えたこの本。 文体も鬼気迫るものがある。 予告での首吊りシーンはいささか衝撃的だけど、そこに至るまでの彼らの心情、到底今の日本人には理解できないのではないだろうか。 「赤貧洗うが如し」という言葉がある。 職はなく食べるものもなく、明日生きていられるかという保証もなく。 今の日本の雇用情勢は厳しいけど、あの時代まで追い詰められてはいないだろうと思う。 食い詰めて出稼ぎに行く、このままでは一家飢え死にだから開拓団に応募する、その先に待っているのは苦難の日々なのに。 だけどそうしないと生きられない。 そんな時代があった。
「自分で考えろ」と言う。 しかし、考えた所で制圧されたり、どうしようもない現実だけが立ちはだかっている場合はいったいどうすればよいのか。 「『国家的大事業』のために」という大義名分の下、労働者たちを虐待する監督。 この構図は形を変えて現代に存在する。 人が姿を現して痛めつけるのではない。 法律に姿を変えている。 法律を、経営側に都合のよいように改悪して、労働者に利が薄くなるようにしている。 法を変えないと雇用は変わらない。 だがその法を変えるまでの道のりの長く、苛酷なこと。 絶望的観測の前に、何ができるのだろう。 立ち上がっても、素人の甘さを突っ込まれてしまう。 聞いてももらえないしつぶされる。 それでは団結しよう・・・ となるけど、絶望だけが先にあったら映画として成立しないから、あのラストは致し方ないのだろうか。 でも、その表現が最後に欲しかった。 ここに出てくる「男たち」がよかった。 松田さんも新井さんもTKOも高良くんも。 絶望の中を懸命に生きている。 この世の地獄であってもそこのに一筋の光を見出したい。 そんな切ない気持がいい。 西島さんは、最近観たのが『休暇』 『春よこい』 なので、そこに今回のこういう役だと、自分の中ではすっかり悪いイメージついちゃってるんだけど。。。 苦笑
今日の評価 : ★★★ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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