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テーマ:映画館で観た映画(8350)
カテゴリ:洋画(か行)
原題: CLEAN 監督・脚本 : オリヴィエ・アサイヤス 出演 : マギー・チャン 、 ニック・ノルティ 、 ベアトリス・ダル 、 ジャンヌ・バリバール 、 ジェームズ・デニス 鑑賞劇場 : シアターイメージフォーラム 公式サイトはこちら。 <Story> かつてのロックスター、リーが薬物の過剰摂取で急死し、妻のエミリー(マギー・チャン)は薬物所持で逮捕される。 幼い息子のジェイ(ジェームズ・デニス)は以前からリーの両親に預けっ放しだ。 半年の服役後、ジェイに会うこともままならず、家も仕事も失ったエミリーは再出発の地にリーと出会う前に暮らしたパリを選ぶ。 孤独と挫折感に打ちのめされながらも、なんとか職についた頃、念願の歌手デビューと、ジェイを取り戻すチャンスが舞い込む。 クリーン - goo 映画 <感想> 『夏時間の庭』のオリヴィエ・アサイヤス監督作品ということで鑑賞してきました。 『夏時間の庭』は、美術と家族の絆を融合させたストーリーが、美しい庭の風景とマッチして非常にバランスが取れていた作品。 本作では、母が子に寄せる想いや、自己の弱さから這いあがれない葛藤、そして再生へと踏み出す姿などを描いている。 マギー・チャンは初めての鑑賞かもしれません。 中国語、英語、仏語と、この映画では彼女の語学堪能ぶりが見れます。 ここまで話せるアジア系の女優さんって希少価値なんでしょうか。 語学ができると強いですね。 役の幅も広がりそう。 しかも彼女はこの中で歌まで披露してます。 特徴のある声というか、個性的な声ですけど、音に乗せると聞いていて何故か心地いい。 音楽はブライアン・イーノも参加しています。 ミュージシャンの夫を売り出そうと必死になって、でもうまく行かなくて、彼女自身のキャリアもスムーズじゃなくて。 先が見えない不安、苛立ち。 それが薬に手を出させてしまう。 いい加減にやめたい、もうやめた。 そう思ってもなかなか抜け出せるものではない。 タイトルの「クリーン」、これはまさに身体を浄化させていく過程もそうだけど、今までの暮らしで疲れ切った心もきれいにしていくという想いを込めたもの。 「子どもは繊細で、大人のことをわかっている」という祖父の指摘はまさにその通り。 子どもなんかにわかりっこないと思っても、全てお見通しであることは実は多い。 「大人が薬に手を出すのにはいろいろな事情があるの」という母に対し、 「それは、弱いからだ」と正解をビシっと突きつけてしまう子どもの鋭さと残酷さ。 でもそれが真実であるから大人は耳が痛い。 ジェイを演じたジェームズ・デニスくんのまっすぐにこちらを射るような視線は鋭かった。 いい子役さんです。 ここに出てくるエミリーは、『プール』なんてメじゃないくらいにかなり勝手な母と言えばそうなのかもしれない。 映画には出ては来ないけど、そこまでになってしまうにはそれなりのいきさつも恐らくあるはず。 夫を売り出し、そして自分もチャンスを得たい。。。 幼子がそばにいてはできないことかもしれません。 たぶんこういうキャラクターは、日本ではかなり少数派ではあるけど、外国では珍しくはないような感じがします。 姑に「話題にしないで」と言わしめてしまっているくらいなので、本人たちはそれでいいとおもっているけど、傍から見た場合、かなりいろいろなところで、子を預かって育てるのに生じる軋轢はあったと思う。 そして夫が死んでしまうと「さみしい」となって薬物と手が切れない、だが今まで放っておいた子には逢いたい。。。 正直、あまり共感するのは難しいキャラクターです。 唯一の救いは祖父でしょうか。 彼の考えは至極もっともです。 彼は彼なりに精いっぱいの譲歩があり、そしてエミリーに対しても思いやっている。 そこからどういう風に自分を「クリーン」にしていくかっていうことだと思います。 彼女たちにも新たな未来が開けてくるといいんですけどね。
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