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テーマ:映画館で観た映画(8350)
カテゴリ:洋画(さ行)
原題: AN EDUCATION 監督 : ロネ・シェルフィグ 出演 : キャリー・マリガン 、 ピーター・サースガード 、 エマ・トンプソン 、 アルフレッド・モリーナ 、 ロザムンド・パイク 、 オリヴィア・ウィリアムズ 、 ドミニク・クーパー 公式サイトはこちら。 <Story> 1961年、ロンドン郊外で両親と暮らす16歳のジェニー(キャリー・マリガン)は、オックスフォード大学入学を目指して勉強に励んでいた。 ある雨の日、ジェニーはデイヴィッド(ピーター・サースガード)という大人の男性と出会い、音楽会や食事に誘われる。 ジェニーの両親をうまく説得し、彼女を連れ出したデイヴィッドは、友人のダニー(ドミニク・クーパー)とその恋人ヘレン(ロザムンド・パイク)らと引き合わせ、ジェニーに大人の世界を教えて行く。 だんだんと彼への恋を募らせていくジェニーだが、学校で噂になり…。 17歳の肖像 - goo 映画 <感想> 今年のアカデミー主演女優賞ノミネート作品。 主演のキャリー・マリガンがこれで一気に注目を集めていて、内容も気になることばかりなんで速攻で鑑賞です。 予告でおおよそのあらすじが分かってしまう感じもするので、それはそれで観ておいて、 なおかつ、人物たちの心情を推し量るのが、この映画の見かたのように思います。 女子高生が年上の男性と出会い、恋に落ち、・・・ という、文字にすると短い展開なんですが、 この短い文章の中に詰まっているたくさんの想いたちに圧倒される。 あの年頃の女の子は綺麗になりたいし、背伸びしたいし、友達よりも早く経験したいし、 自慢したいし。 「先んずればそれでよし」ってところは今も昔も、この年代は変わりない。 しかしながら将来のことを考えるのであれば、本業にも力を入れないといけない。 若さが持つ、エネルギーや美しさが暴走してしまうのを防ぐ意味で、学業が課せられているようにもいつも思います。 若さを制御することは永遠の課題なのだろうか。 成績優秀、容姿端麗、いわゆる「期待されてる子」を演じるジェニーにとって、 退屈な日常に現れたデイヴィッドは、 それまで彼女が見てきた世界を一気に覆す存在になった。 それはそうでしょう。 無理もない。 勉強勉強、チェロでさえも進学の道具にされてしまっている日々で、 全てが大学進学に向かっての手段でしかなく、そこに何の楽しみも感慨もない。 本来は楽しんで物事に臨みたい彼女にとっては、それが叶わないことばかりだったのに、 デイヴィッドは彼女の未知の世界、大人の世界を教えてくれたのだから。 それはそれは周りの言うことなんて耳に入る訳ない。 不完全であるが故に、一気に走って行ってしまうジェニー。 もう周りが何も見えなくなっていってしまう。 そんな彼女を見ていると、あーわかるわかる・・・ って感情移入してしまうんですよね。 自分も通ってきた道でもあるから。 親や学校を疎んじる所までもが、時代を経ても共通項であり、 表面的には従っていたとしても見ていないところでは悪態ついたり。 「大人はどうしてそうなんだ!」っていう若者特有の反抗も登場する。 ただその内容は有能なジェニーにふさわしく、 勉強することと同じくらい、人間として成長することが素晴らしいはずなのに、学校や親はそうなるための「教育」をよしとしない。 それは何故ですか? と尋ねる。 この問いにちゃんと答えられる大人は昔も今もいない。 ジェニーの両親がもう少ししっかりしていたら・・・ と感じるところは十分にあって、 あんなに厳格にしつけているはずなのに、 口車に乗せられて、こんな見え透いた嘘を見破れないほど この両親は世間を知らないのか? と。 でもそれもコンプレックスの裏返しなんでしょうね。 自分たちにないことを子どもに希望する親たち。 目の前に躍り出てきた条件が魅力的に映れば映るほど、本来子どもに必要な教育って何なのかが分からなくなってしまう。 それもこれも、子を愛するが故なのかもしれない。 ただ、それに翻弄されたり矛盾を突きつけられる子どもたちは、親に対して恨みばかりが募って戸惑うばかりになってしまう。 デイヴィッド役のピーター・サースガードが、あまりにもこの役に適している。 これ以上イケメンでもダメだし、オヤジでもダメ。 このくらいのくたびれ具合、無理してる感じ、たるんでる雰囲気がちょうどいい。 彼の正体が明かされると、目に映る印象もまたふさわしい感じに変化していくのも面白い。 ドミニク・クーパーとロザムンド・パイクのカップルが結構普通だったことが意外なような気もして、彼らを少しいじって役割を持たせても面白かったのかもしれない。 だけどこれはあくまで17歳の子に対しての接し方だから、これ以上毒を持たせない選択になったのでしょうか。 そんな彼らの厭世感は程良かった。 そしてオリヴィア・ウィリアムズのクールさ。 すっかり舞い上がって高慢になるジェニーに対しての目線の的確さがいい。 上からでもなく、下過ぎず。 本人が分かるまで待とうという姿勢でした。 学力のためだけの教育だけじゃなくて、 大人になるための、女になるための教育。 どちらも人間にとっては必要なものだけど、あまりにも突然な形でそれは訪れ、 そしてほろ苦い足あとだけを残していく。 傷ついたそれぞれの人生は、この出来事を教訓にして行けるのだろうか。 様々な想いを残した作品でした。 *********************************** 今日の評価 : ★★★★☆ 4.5/5点 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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