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テーマ:映画館で観た映画(8367)
カテゴリ:洋画(ら行)
原題: REVOLUCION 監督: マリアナ・チェニリョ 、 フェルナンド・エインビッケ 、 アマ・エスカランテ 、 ガエル・ガルシア・ベルナル 、 ロドリゴ・ガルシア 、 ディエゴ・ルナ 、 ヘラルド・ナランホ 、 ロドリゴ・プラ 、 カルロス・レイガダス 、 パトリシア・リヘン 出演: アドリアナ・バラーサ 、 カルメン・コラル 、 ジャンニ・デルベス 鑑賞劇場 : 横浜ブルク13 第7回ラテンビート映画祭 公式サイトはこちら。 <概要> メキシコ革命(1910~17年)をテーマに、10人の気鋭の監督が独自の視点で革命を見つめなおしたオムニバス作品。 ベルリン国際映画祭で特別上映され、世界の注目を集めている。 本国メキシコでは、革命の始まった11月20日に封切り予定である。 (第7回ラテンビート映画祭 公式サイトより) <感想> 先月どうにも身動き取れなくて行けなかったラテンビート映画祭。 新宿分は2本しか行けなかったんですが、今月の横浜分でたくさん観れたらいいなーと 思ってます。 まずは初日。 新宿でも評判が良かったこちらです。 オムニバスということで、監督陣にはメキシコ出身の名だたる俳優もちらほら。 これは必見ですよね。 新宿ではキャスト&監督の来場があり、横浜はないとありましたが、 この日は上映前に企画・プログラミングディレクターの Alberto Calero Lugo(アルベルト・カレロ・ルゴ)氏のご挨拶がありました。 うれしいですよね。 ぜひ横浜でラテンビートをやりたかったと仰せでしたね。 連日会場にはお見えのようです。 さて映画です。 10人の監督が撮ったオムニバス形式です。 今年はメキシコ革命が始まってから100周年ということもあり、「革命」をテーマにした映画を作ったようですね。 それは必ずしもメキシコ革命そのものでなくてもよく、現在のメキシコの世情を描きながらもその中に革命精神を織り交ぜていったり。 一見関係がないように見えて、本質は革命的な作品など、そのアプローチは多種多様である。 ようこそ 監督:フェルナンド・エインビッケ のっけからいきなりラテン気質全開な作品。 この寂寥感、殺伐とした感じ、酷暑、いい加減さ、もう全てが「らしく」って。 何もない、けど独りがっしりとたたずむ主人公は、その存在がそのまま「革命」なんですよね。 自分に対しての。 愛しの美しき故郷 監督:パトリシア・リヘン メキシコ革命からわずか100年しか経っていないということもあり、その名残が 本作中のそこかしこに散見できる。 実際に戦った方が存命しているかどうかはわからないけど、その血を引き継いでいくということですよね。 そのスピリットは不変である。 そんな力強さを感じました。 ルシオ 監督:ガエル・ガルシア・ベルナル この描写を観ていると、ガエルくんって本当に子どもが好きなんだろうなと思います。 大人のなすがままにされていた子ども時代、疑問を持つところから始まるその時代への別れ。 自我に目覚めていく子どもたちは可愛かったし、頼もしかったです。 吊るされた神父、ニコラス 監督:アマ・エスカランテ 過去と現在、空想と現実がクロスオーバーした不思議な作品。 冒頭の神父は見てるだけで痛いですね。 「神」という存在に無関心な人たちの前に、神父の信念もひるんでしまいそうな感じがしました。 俺の王国 監督:カルロス・レイガダス ・・・実は不覚にもここで落ちてしまった(汗) とにかくいっぱい人が出てきて。。。 で、もうダメ、眠くなった。 結末はどうだったんでしょ。 スチールから想像しましょうか。。。 ラヤの店 監督:マリアナ・チェニリョ これは起きてました(笑) メキシコならではの不条理もここには描かれていて、実際にこういうことも起きていそうな気もします。 いつも最下層に来るしわ寄せ。 それに対しての「革命」にも関わらず、 その声は常に権力者たちにつぶされていく現実です。 R-100 監督:ヘラルド・ナランホ これはハードボイルド? 系なのかな。 生き残るためには手段を選ばない。 それも、過酷な土地がもたらしたものなのでしょうか。 30/30 監督:ロドリゴ・プラ メキシコ革命100周年。 しかしながらその精神までもを 引き継ぐことは難しくて、中にはこんな不届き者? もいるんでしょうか。 政治家っていうのはどこの国でも胡散臭さは同じだわ。 太平洋 監督:ディエゴ・ルナ ディエゴくんも監督業にはとても力を入れてるようで、今回の映画祭に出品した長編、『アベルの小さな世界』も鑑賞しました。 かなり監督業に向いていると思います。 彼の演じている役自体は割とシュール系が多いと思うんですが、彼制作の作品はどっちかというとファンタジック。 本編もそうです。 太平洋に向かって走り続ける。 そこで見出したものがある。 そういう感性を、短い時間ながら描いています。 アルバラードと7番街 監督:ロドリゴ・ガルシア このオムニバスのトリにふさわしい作品ですね。 さすがロドリゴ・ガルシアといったところです。 映像が本当に美しいのですね。 静かなるものと動くもの。 過去と現在。 風化されるものと引き継がれるもの。 そういう対比です。 街並みを見つめる馬の瞳に映るもの。 それは、発展したことへの喜びだけではなくて、 かつてこの国に自由をもたらすために戦った人々の悲しみと、それが忘れられてしまうことへの恐れや諦念だってあるに違いない。 どの作品にも感じられるのは力強さなんですよね。 何があったとしても生き抜くこと、前に進むことへの執着です。 100年経ったとしてもその精神は不滅であり、メキシコの人々と大地に沁み込んでいるということです。 これを日本になぞらえて考えてみました。 日本もかつて、150年ほど前にちょんまげの国だったし、 そこから今に至るまでには「革命」があったのですが、 「自分たちで立ちあがって成し遂げたこと」なのか? と問われると、疑問を感じる部分が多いことは事実です。 このあたりが、革命精神が日本では薄い所以なのかもしれません。 そう思うと、メキシコのスピリットを少しばかり日本にも注入してみたくも なってきますね。 11月のメキシコ公開に先駆けて鑑賞させていただいてとても光栄な気分でした。 *********************************** 今日の評価 : ★★★★ 4/5点 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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