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龍と三匹の子羊

龍と三匹の子羊

愛の虜~a captive of love~・本編

          「愛の虜~a captive of love~」


Rrrrr...Rrrrr...

「はい、もしもし・・・」
亮太は面倒くさそうに電話に出た。
『もしもし~、亮太?』
相手はどうやら瞳・亮太の彼女らしい
「おぅ!瞳か!」
亮太は急に明るくなった・・・だがどこかぎこちない。

  そして1時間後・・・

『んで~それでね・・・亮太・・・聞いてる?』
少し不服そうに瞳が聞いた。
「ぉ・・ぉう!聞ぃてるぞ!」
半分寝ぼけながら聞いていた亮太は不意を突かれて少し驚いた様子で答えた。
『また寝てたでしょ!もう知らない!お風呂入ってくるから、じゃあね』
瞳は怒って電話を切ってしまった。

「さて・・どうしたものか・・・また怒らせちまったなぁ・・・まぁどうせ明日になったら機嫌直ってるだろう・・俺も風呂でも入るかな~っと♪」
亮太はそう言って風呂に入っていった・・・

「まったく、女ってのはどうしてあぁ長電話が好きなのかねぇ・・・面倒くさいったらありゃしない」
亮太はぶつくさ言いながら風呂に入っていた・・・すると・・・
(・・・太・・・亮太・・・)
どこからともなく亮太を呼ぶ声が聞こえた気がした
「??・・・今誰かが呼んだような・・・気のせいか・・・」
「まぁいいか、どうせ暇つぶしで付き合ってるだけだしな、適当に話作って別れてやるか」
そんな事を考えながら風呂を出た亮太に1本の電話が入った。

Rrrrr...Rrr

「もしもし?」
どうせ瞳だろうと思っていた・・・だが
『あ・・あの、榊 亮太さん・・・ですか?』
少し年配の女性の声だがなぜかあせっているようだ
「はい、そうですが・・・」
知り合いに年配の女性はいないはず・・・と思いつつ亮太は恐る恐る返事をした。
『あああ・・あの・・病院が娘で・・倒れて・・◎×☆○※』
かなり混乱しているらしく話している意味もわからず、最後の方は言葉にすらなっていなかった。
「あ~・・・まずは落ち着いて下さい・・それで、あなたは誰ですか?」
亮太はとりあえずまともに話が出来るように相手を落ち着かせることにした。
『え・・えぇ・・そうですね・・スー、ハー(深呼吸しているようだ)・・えっと・・私は香坂 瞳の母です・・・それで娘が・・・瞳がお風呂で倒れて・・今病院に・・』
途切れ途切れにだがやっと意味が通じる言葉になった・・・
「え・・・ちょ・・ちょっと!どういうことですか?!どうして倒れたんですか?今どこに?」
混乱したのは今度は亮太の方だった・・・
『えっと・・瞳はお風呂に入ってたんですが・・2時間しても出てこなかったから心配して見に行ったら倒れてて・・・うわ言のように亮太・・亮太・・と言ってました・・・それで病院は・・・』
まともに頭に入ったのはここまでと病院の名前だけ・・・だが亮太は居ても立ってもいられなくなり家を飛び出して行った。

亮太は車の中でなぜ自分がこんなに必死になって瞳のもとへ向かっているのかわからなくて悩んでいた・・暇つぶしで付き合ってたはずなのに・・・
そして瞳を失いたくないという思いだけが強くなっていく。

  そして3時間後・・・

亮太は病院に着き、急いで中へと・・瞳の所へと走って行った・・・すると・・・
「お大事に~」
扉の向こうで声がした・・・そして扉が開いたその先には・・・
「あ~!亮太~♪」
倒れたとは思えない程元気な瞳の姿が・・・
そこで瞳が母親と何やら話していてその後母親が1人で外へと向かっていった・・・
「とりあえず・・座ろっか」
そう言うと瞳は待合室のベンチ腰を下ろした。

少しの間2人は沈黙して時間だけが過ぎていった・・・そして亮太が口を開いた。
「それで?・・・説明してくれるか?」
亮太は静かにそう言った・・だが・・・
「・・・・・・ヤダ・・」
瞳はそう言うと下を向いて口をつぐんでしまった。
「な?!・・・何言ってるんだ!説明してくれないとわかんないだろう!」
少し怒り気味に亮太は言った。
「・・・ヤダ!言わない!だって・・・だって・・・言ったら亮太怒るもん・・・」
今にも泣き出しそうな表情で瞳は叫んだ・・・その声が誰もいないホールに少しだけこだまして消えた。
「・・・大丈夫・・・怒らないから話してみな」
亮太は落ち着いてそう言った・・・話を聞いてから怒ればいいと思ったようだ
「じゃあ・・・その・・・私・・・あなたの気持ちを知りたかったの・・・だって・・あなたいつも私と話しててもつまらなそうにしてるし・・・だから・・・私が倒れたら少しは心配して来てくれるかなって思って・・・わざと・・」
最後は消え入りそうな声で話しそのまま泣き出してしまった。
「・・・そうか・・・それでこんなことを・・・・すまなかったな」
そう言うと亮太は瞳をそっと抱きしめた、そして2人の鼓動がはっきりわかるくらいにしっかりと抱きしめていった。
「亮太・・・私あなたの事愛してる・・・・」
そう瞳はつぶやいた。
「俺も愛してるよ」
そう亮太は答え、そのままゆっくりと時は流れた・・・

「じゃぁ俺行くよ、大学あるし」
そう言うと亮太は満足そうに車の方へと向かって行った。
「うん、またね亮太」
瞳は顔中で笑顔を作って答えた。
そして亮太が少し離れると瞳の後ろで声がした。
「瞳、どうだった?」
瞳の母親だった・・・だが少し雰囲気が違う・・・
「ふふっ、上出来よ。あれで彼は私の愛の虜ね♪」
そう言って瞳は怪しげに笑みを浮かべて去っていった・・・・


                              fin.

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