テーマ:ならず者国家・中国(10)
カテゴリ:水のメモ
○中国のGDPは粉飾決済
中国経済の失速がいよいよ隠しきれないレベルになった。 これまで中国経済の強さを示していたGDP成長は8%台を切り7%台に落ちると中国政府は認めた。 7%成長とは日欧米には夢のような数字だが、成熟国と成長国では成長率は当然違う。 日本は高度成長期には平均してGDPが9%成長した。 しかも7%台というのもあやしい。 実際のGDPはおそらく6%台か?悪くするとさらに低い。 一般的に各国のGDPは「93SNA」などの国際基準で算出されるが、中国の場合独自のGDP算出法を採用して、実際よりGDPを大きく発表する「粉飾決済」だ。 「中国政府が発表する数字は信用するな!」は国際常識だ。 ○中国株式市場はこの10年、アジアで唯一間成長していない!? この10年のアジア主要経済国(日本除く)の株価指数の動きを見てほしい 000001.SS 中国・上海総合 ^JKSE インドネシア・ジャカルタ総合 ^BSESN インド・SENSEX30 ^KS11 韓国総合 ^TWII 台湾加権 インドネシア(10倍↑)、インド(6倍↑)の躍進がめざましい。 韓国(3倍↑)と台湾(2倍↑)は経済的にはほぼ成熟して日欧米に近いので伸びが悪いのは仕方ない。 ちなみに同じ10年でタイ(9倍↑)、フィリピン(8倍↑)、マレーシア(2.5倍↑)、ベトナム(2倍↑)、シンガポール(2倍↑)、オーストラリア(1.5倍↑) だが、中国だけは10年前と株価が変わっていない(1.2倍)!? 意外に知られていないが、アジア諸国の中で最悪の市場が上海市場なのだ! この事実が意味するところは「中国の企業は(まだ成熟もしていないのに)10年間まったく成長していない」ということである。 ○中国は世界の「下請け」工場 中国のGDP(生産)は10年で10兆元→47兆元と5倍近く伸びた(と中国政府は発表している)。 しかし、この間、中国株は伸びていない。 なぜか? 単純だ。中国企業が利益を上げられないからだ。 中国企業が利益を出していない(出せない)端的な例を挙げよう。 既に普及型パソコンはパーツを組み立てるだけのローテク産業になりつつあるが、こういった分野は中国が強い。 世界2位のPCシェアを誇るのは中国レノボだ。(1位ヒューレットパッカード、3位DELL) 〔2011年度決済〕 ・米HP(PC部門) 売上高295億ドル、営業利益17.7億ドル(営業利益率6%) ・米DELL 売上高157億ドル、営業利益11.5億ドル(営業利益率7%) ・中国レノボ 売上高296億ドル、営業利益5.8億ドル(営業利益率2%) レノボはDELLの倍の売上げで、営業利益は半分という薄利多売の見本のような会社であることが分かる。 投資家ならどちらの会社の株を買うべきかは一目瞭然。 しかしレノボとHP、DELLのPCが同じ価格だったら信頼性が低くブランド力もないレノボを買う人はいない。 レノボは利益がでなくてもバーゲンセールを続けるしかないのだ。 上海市場にはレノボのようなローテク薄利多売企業しかない。 (私は「100円ショップ市場」と呼んでいる)これでは10年間株価が上がらないわけだ。 中国は「世界の工場」といわれている。 これは間違っていないが、誤解を与える表現だ 正確には、中国は「世界の下請け工場」と表現すべきだろう。 下請け業者にすぎない中国企業は、大きな利益は発注会社である日欧米に持っていかれ、わずかな工賃しか受け取れない。 中国でモノを作って儲けているのは中国企業ではない。 アップルであり、P&Gであり、トヨタであり、キャノンなのだ。 ○何を作っても100円ショップの中国企業 通常、途上国は外資の力を得ているうちに自国の企業を成長させる。 もちろん中国政府もそうしようとした。 しかし、中国企業は低すぎる文化度、民度、政治制限(後述する)により成長できなかった。 世界2位のパソコンシェアを誇る中国レノボは米IBMのPC部門を丸ごと買い取ってブランドを得た。 だが、今やっているのは粗悪なパソコンの安売りだ。 中国人には「ブランド=信頼性、優位性」ということが分からないらしい。 中国家電最大手ハイアールは、日本の三洋電機の家電部門を買収した際「SANYO」ロゴを使う契約を盛り込んだ。 5年、10年使い続ける家電を日欧米で売るのに「ハイアール」では信用されない。 だから日本企業のロゴを付けたい。そういうことだ。 中国人はブランドをロゴマークのことと勘違いしているようである。 これから先、中国にブランドが誕生する可能性は低い。 ブランドの意味を、理解できなければ・・・フェラガモやカルティエ、ハーレーダビットソンやアップルが小さな工房からいかにして今の地位を築いたのか理解できなければ、中国人はいつまでもロゴマークを買おうとするだろう。 そして、すぐにロゴの価値を落とし、また下請け工場に戻って100円ショップに並べるニセ物を作り続けるしかないだろう。 ○中国が輸出できるのは「貧しさ」だけ 今、中国経済が向き合っている現実は非常に残酷で深刻だ。 それは中国が輸出できる唯一の商品は『貧しさ』という現実だ。 イギリスの経済学者は「中国はデフレを輸出している」と断じた。 (そして、中国デフレを大喜びで買っているのは日本だ。日本が長すぎるデフレから脱却できない理由の一つは「100円ショップ」「プライベートブランド」「ユニクロ」などのMade in Chinaにある) しかし、中国が安物・・・労働者の貧しさを売れなくなったら何か買う物があるだろうか? ・まず、中国には技術はない。 他国の技術を盗んだり、買ったりすることはある。 しかし、急速に進化する技術は自分で育てなければ、早々に陳腐化する。 ・そして、中国には資源がない。 中国の土地は広大だが、石油も石炭も、金属も、農地も、水すらない。 十分でないのだ。どれも中国13億人にはあまりに足りない。 2010年、尖閣諸島沖で中国漁船が海保巡視船に体当たりして船長が逮捕された際、中国政府はレアアースを輸出規制した。 逆に言えば日本にダメージを与えられる輸出品がレアアースぐらいしか無かったのだ。 ○IMFに「内需強化しろ」と言われてもできない中国 国際通貨基金(IMF)は中国経済の減速を心配して「内需に力を入れなさい」と諭した。 この忠告は『貧しさ』を失ったとき、中国経済は死ぬというジレンマを無視している。 中国は「世界の下請け工場」であり、株価を見る限り少なくとも10年間、中国企業は下請けと安物売りしかしてこなかった。 下請けも安売りも低コスト・・・つまり中国人労働者の低賃金によって成り立っている。 日欧米の高級財を買っているのは中国のわずか2500万人の超富裕層(年収35000ドル超)である。 日本にツアーで来て、温泉を楽しみ、家電を買いまくるのはこの2500万人である。 (この2500万人のうち90%が中国共産党の関係者だという) さらに、中級財を買えるのは9000万人の中所得層(年収15000ドル超)だろう。 中国に進出している日欧米の企業はこの1.3億人(中国人口の10%)をターゲットにしている。 残る12億人は低所得層であり、そのうち7億人は5000ドル以下(年収40万円以下)の超貧困にあえいでいる。 そして、この超貧困層7億人が中国の目玉商品「安物」の作り手であり、中国経済の屋台骨なのだ。 中国政府がIMFが言うように内需に舵を切りたいのであれば、この7億人の所得を倍増しなければならない。 しかし、彼らの所得を上げるということは企業に「賃金を今までの倍払え」と言っているようなものである。 東南アジアに工場を移転できる国がいくらでもあるのに、どの外国企業が中国などに工場を残すだろう。 安物しか作れない中国企業が、どうやって賃金を上げられるというのだろう。 中国労働者はいつまでも貧困層でなければなく、ゆえに中国企業は安物しか作れない、そして労働者の賃金は上がらない・・・ この貧しさのスパイラルの中でしか中国は生き延びられない。 中国が直面している現実であり、限界だ。 【送料無料】ケン・フィッシャ-のPSR株分析 [ ケネス・L.フィッシャ- ] ウォーレン・バフェットの投資法に多大な影響を与えた「"超"成長株投資」で有名なフィリップ・A・フィッシャーの息子であるケン・フィッシャーが父の理念を実践するための具体的な方法を確立。3~5年で3~10倍になるスーパー株式をPSRやPPRからスクリーニングする。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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