テーマ:野良猫の糞被害(14)
カテゴリ:ニュース
自民党に牧原秀樹という議員がいる。
動物愛護センターを視察する牧原秀樹議員。 この人はTPP推進のようで、正直、私は支持したくない政治家だが、一つ注目するに値する政策を掲げている。 牧原秀樹は自民党政権になってから環境大臣政務官に就任した。 そこで、犬猫の殺処分ゼロを目指す環境省「人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト」=「牧原プラン」という政策にかなり本気で取り組んでいるらしい。 環境省「人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト 概要とご挨拶」 この人のブログを読むと、好感が持てるかどうかは別としてかなりの行動派、実力派であることがわかる。 全国的には無名(だと思う)なのに40代前半の若さで政務官に抜擢されるわけだ。 もともと、動物問題に関心があったようだが、殺処分ゼロというとてつもない目標を掲げたのは、これを実績として今後のステップアップにつなげたいからだろう。 大変けっこうなことだ。 国民が望んでいる政策を実現して、支持を高めるという正攻法であれば、魂胆がどうあれ政治家として非常に正しい。 さて、実行力が持ち味の牧原政務官であるが、殺処分ゼロを目指すのであれば、決して避けられない、避けてはいけない問題に解決策を打ち出さなくてはならない。 環境省によると、平成24年度、全国の保健所で殺処分または死亡した犬猫は16万頭。 そのうち、子猫が7万5千頭にのぼる。 地元の保健所によると、保健所に入る猫の98%は雑種で、ただの野良猫(の子供)だという。 私の地元の保健所職員は言う 「野良猫は普通、問題になるほど増えることはない」 「異常に野良猫が増える地域には必ず餌やりがいる」と。 殺処分ゼロを全国に先駆けて達成したことで有名な熊本市動物愛護センターですら、新聞のインタビューに「餌やりが殺処分を増やす、やめて」と語っている。 ここでいう「餌やり」とは、徹底的に管理された「地域猫」とは異なる、いわゆる無責任または無知な餌やりをいう。 さて、餌やりの問題点はこうだ ・餌やりの近くに来た猫はにおいで集まる。 ・猫はもらった餌は忘れない。何度でも来る。 ・普通、猫はなわばり(=餌場)を争うが、餌が豊富であれば争わない。 ・結果、多くのオス・メス猫が一か所につぎつぎと集まる。 ・オス・メスが餌場で繁殖する。子猫が生まれる。 ・子猫は成長し、また繁殖する。以下、くりかえし。 ・だが、無限に増える猫に足りる餌はない。 ・子猫は衰弱、病気、けが、外敵により次々と死ぬ。 ・このうち多くの子猫が関係のない近所の他人の家で生まれ、保健所に持ち込まれる。 ・子猫は体力がないのですぐ死ぬ。(死亡数↑) ・運よく生き延びた子猫も、すべてに里親が見つかるわけもなく処分される。(殺処分↑) 実は、保健所で死んでいるのは生まれた子猫のほんの数分の1で、ほとんどは野外でひっそりと死んでいる。 餌やりは7万頭どころでなく、おそらく数十万頭の子猫を無為に産ませ、死に追いやっている。 私が、餌やりは野良猫虐待者だと主張するのはそういった理由による。 さて、猫の個体群をすべて避妊・去勢して、徹底的に管理する「地域猫」という野良猫対策がある。 地域猫の本来の目的は「野良猫を計画的に減らすこと」である。 決して「野良猫に餌をあたえてもいいように避妊すること」ではない。 しかし、餌をあたえる快感を求める免罪符として(それでも、なにもしない無責任よりは100倍ましだが・・・)避妊をしている「ちょっとマシな餌やり」は猫の数を減らすという結果を出せない。 それどころか、逆に猫が増えてしまうこともある。 なぜだろうか? 国内外の研究者によると、原因は「移民ネコ」のようである。 餌やり場は野良猫に嗅ぎつけられ、周囲からどんどん避妊していない野良猫が移住してくる。 猫は本能として、餌場(=なわばり)を守るために戦うが、餌が豊富であれば特に争わず、共存してゆく。 (家で複数の猫を飼っても上手くゆくのはこのためである) このため、移民ネコが餌やり場にどんどん増え、それらの猫が繁殖することによって数が増えてしまうのだ。 地域猫は「餌やりをするための」免罪符ではない。 「猫を減らすための」対策だ。 管理している猫に餌をあたえるのは、生ごみをあらすのを防いだり、猫の居住地を限定して管理しやすくするための、一つのツールにすぎない。 極端に言えば、生ごみがしっかり管理されている地域では、地域猫に餌やりは必要ない。 避妊手術だけして、餌を一切あたえない(自活にまかせる)のが、野良猫を計画的に、ゆるやかに減らすという本来の目的にもっともかなっている。 地域猫で、もっとも愛護団体を悩ませるのは、こういった移民ネコを招き入れないよう、協力者が餌をあたえる猫を限定しているのに、勝手に猫に餌を与える住民が出てくることだという。 そういった無責任餌やり人に愛護団体が注意すると 「だって、避妊しているから餌をあげても増えないでしょう」 と手術費の1円も出していないのに平然とのたまう。 そうやって、移民ネコを集め、猫を繁殖させ、愛護団体の血のにじむような努力を踏みにじる。 それが「餌やり」という憎むべき問題だ。 この政策で、牧原政務官が、たとえば「里親制度の活用」や「ペットショップの規制」や、確かに大事だろうし、国民うけも良いが、殺処分問題の根幹とは外れている対策に熱を入れるのならば、凡庸な政治家だったということだろう。 しかし、このプランが殺処分される犬猫の半数を占める「野良猫の子猫」の問題の背景にある「餌やり」にメスを入れるとすれば本物だ。 餌やりの規制は、ニセモノの愛誤からの反発が非常に大きい。 全国の自治体で「ごみ(残り餌)は片付けましょう」「野良猫を増やすような餌やりのやり方はやめましょう(地域猫はむしろ歓迎)」というだけの餌やり規制条例を制定しようとすると、かならず愛誤が騒ぎ出し、住民でもないのに圧力をかけてつぶしている。 しかし、保健所で死んでゆく子猫たちを減らすには、愛誤の感情論やトンデモ理論と正面から戦い、国民の間で「餌やりは野良猫の子猫を増やし、殺処分の原因となる」という当たり前の認識を定着させなければならない。 牧原プランの試金石は「餌やりをどう位置づけるか」だ。 牧原政務官は大変エネルギーがある人のようだ。 そのエネルギー、TPPからは離れて、ぜひ餌やり規制→殺処分ゼロにむけてほしい。 牧原プランの今後を期待して見守りたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014/06/08 02:09:14 AM
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