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カテゴリ:坂田 博昭
オーストラリア全土を揺るがした、鞭の使用ルールを巡るジョッキーと競馬運営側の対立。個人のコーナーの方で取り上げたように、ジョッキーの騎乗拒否と開催の途中打ち切りという事件に発展したわけですが、今日の交渉で一応の終息を見たようです。 双方が合意した新ルールは、 「残り100mで7回までOK」 というのが主な内容。 これまでのルールが 「残り200mでは原則連打禁止。連打は3回×1度まで」 ですから、ジョッキー側が求めていた「残り100mでの使用ルールの緩和」はしかるべく果たされた形です。 100mの間の完歩がおよそ12完歩だとのこと。そのうちの7回。しかもその7回の「枠」をどう使うかはジョッキーに委ねられ、「このルールならば」ということになったのでしょう。
もっとも、勝負所のレース最終盤で、鞭を使った回数をいちいちカウントするなどということ自体がジョッキーにとってはそもそも負担だし危険、ということが、ジョッキー側の主張。状況次第ではまたいずれこの問題が取りざたされることになるのかも知れません。 実際のところ、どうなんでしょうかねぇ。この辺は、日本のジョッキーにも聞いてみたいところです。例えば、こういう制限があったらどうなるか、といった観点でですね。
いずれにしても、今回の合意により、この問題がコックスプレートやメルボルンカップを中心とした一連の春のレース「スプリングカーニバル」に影響を与えることは、回避されました。まあこれだけでも、とりあえずはホッと一息というところでしょう。
そのスプリングカーニバルに出走する馬たちも、オーストラリア内外から続々とスタンバイ。先週ご紹介した、シンガポールの日本産馬ジョリーズシンジュは、週末のダトタンチンナムSを3着とまずまずの成績でクリア。勝敗という意味では人気のフービーガットユーに完敗でしたが、陣営のコメントを見ると、初めての国外戦としては十分の内容と手応えを掴んだようです。 繰り返しになりますが、コックスプレートでの好走と、エリザベス女王杯への来日を切に願うものです。
エリザベス女王杯と言えば… それを機に来日する可能性が噂されているイギリスの4歳牝馬ダレミが、牝馬による凱旋門賞の前哨戦ヴェルメイユ賞に出走。前走で英愛オークス馬のサリスカを破ったのに続き、不敗の仏オークス馬スタセリタも撃破! …と思われましたが、ゴール前の斜行により5着に降着。結局スタセリタが繰り上がりで不敗を守りました。 レースの映像を見たのですが、内をついて抜け出そうとする際、内側にいる馬に影響を与えていますが…押圧だし、相手も手綱を控えるシーンは見られなかったし……。意地悪く取れば、「もしかしてスタセリタ負かしちゃったから?」と言えなくもない事象だったようにも思えます。
ダレミも上り調子でここに臨んだ以上、凱旋門賞を目指すつもりだったのでしょう。しかし、少々後味の悪い裁決による敗戦でしたから、それでもそのまま凱旋門賞を使うかどうかは、ちょっと微妙なところも出て来たのかも知れません。そんなことするなら、もう使わねえ、みたいな。 出ないとなれば…もしかして、来日の可能性は高まってません!? 動向に注目したいところです。
当の凱旋門賞は、最後の対抗馬と目されたスタセリタも前哨戦で事実上敗れ、下馬評は完全にシーザスターズ。不敗を保ってその内容も完璧とあって、恐らくもうこの馬一色というムードになっているのではないでしょうか。アンティポストも、ついに2.5倍まで下がり断然の1番人気。 10月4日には、歴史的名馬の歴史的勝利の瞬間を、見ることになるかも知れません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年09月18日 11時40分34秒
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