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2011年07月26日 楽天プロフィール Add to Google XML

競馬場の中に「クラブ」
[ 坂田 博昭 ]    

 先週の続き。オーストラリアのペンリスという街にあるハーネスレースの競馬場に来ております。

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 地方の小さな競馬場ですが、勿論観戦するためのスタンドなんかはちゃんとあって、だいたいこんな感じ。

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 スタンド自体は、とても小規模で、とてもシンプルです。スタンドの中にはボールルームみたいな食事をするスペース(ビュッフェ形式の食事を提供中)があり、外でレースを見るスペースもあるのですが、ハッキリ言ってそれだけ。あとは業務エリアとして使っている部分が僅かにある程度です。このスタンド、見た目にも小さいでしょ?

 実際、スタンドやトラックサイドでレースを見ているお客さんって、入れ替わり立ち替わりになっているとはいえ、全体としては数えるほどしかいません。

 そんな中、この競馬場の中でレースをやっている夜じゅう非常に賑わっている場所が、ここです。

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 「クラブ」と呼ばれる、会員制のラウンジのような場所。

 「クラブ」というのは、実は法律に基づき設置されている遊興・供食を中心とした施設。その法律により、賭け事やお酒を提供していいことになっていまして、要するに大人の遊び場ですね。レース場だけではなく、街中にもいくつも存在します。前段で訪れたアルバリーにも、小さな街なのにちょっとしたショッピングセンターぐらいの規模の大きなクラブが2カ所もありました。

 そういった施設が競馬場の中に設置されているというのは、非常に興味深いものです。ちょっと中に入ってみましょう。

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 入り口にまずあるのは、登録カウンター。地元の方でこのクラブの会員ならば、そのまま中へ入れるのですが、ビジターは登録が必要。登録と言っても、氏名と住所なんかの連絡先を登録用紙に記入して、それを提出するだけです。「日本から来た旅行者だが」と尋ねたところ、パスポートを見せるだけで(恐らく身分証明として確認しただけ)入れてくれました。

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 中はご覧のように、絨毯張りでとってもきれいなスペース。レース場の暗い感じは一切ない(そもそもオーストラリアのレース場に暗い雰囲気のところなどありませんが)ですし、むしろとても明るく、快適な場所です。

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 まだ夜と言うには少々早い時間なんですが、早くもビールグラスを傾けながら楽しんでいる方々もいらっしゃいますね。

 落ち着いたサロンとかラウンジという雰囲気を感じる一方、堅苦しさが一切ない場所になっています。

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 写真は、夕方のまだ早い時間帯に撮影したので、お客さんの入りもこの程度。しかしこのあと夜になると、これらのテーブルが殆ど全て埋まって、あちこちでわいわいがやがやとおしゃべりに興じています。

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 食事はこのようにカフェテリア形式。やっぱり、大人の楽しみに、美味しい食事とお酒は欠かせないですよね。
 看板にあるように、レギュラーのメニューも豊富ですし...

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 こんな感じで、日替わりで食事のスペシャル企画もあります。

 食事は「遊び」の重要な要素。その食事自体を存分に楽しめて、しかもそれも毎日来ても飽きさせない工夫が、ちゃんとされているんですね。
 仲間で時を忘れて語り合うのも、楽しい時間。こうして「集まる場所」がきちんと整備されているから、折に触れてこうして集まり、楽しむことが出来るわけです。

 勿論、食事以外にもアクティビティは色々用意されていまして...

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 スペースの一角には、オーストラリアではおなじみのTAB。オーストラリア全土のあらゆるレースを放映するスカイチャンネルを見ながら、馬券犬券を買って楽しむことが出来ます。

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 そして、クラブの最大の特徴がこれ。法律により特別に許可されてゲーミングマシーンが設置されていることです。カジノにあるのと同じように、現金を入れて現金が返ってくる、文字通りの賭け事。機種もカジノにあるのと全く同じスロットやポーカーゲームの機械が並んでいました。

 このクラブでは、ゲームで時間を過ごすお客さんはそれほど多くないように見えましたが、街中のもっと規模の大きいクラブなんかも見てみると、このゲームのエリアが巨大で、年配の方中心に機械に向かってじっくりと時間を過ごしているような場所もありました。

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 そのほかにも、まるでパーティ会場のように様々なアクティビティが用意されていまして、夜遅くまで大いに盛り上がります。ビンゴやテーブルゲームが開催されたり、私が出かけた日には、豪華景品をかけての大抽選会が行われていました。

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 これは、クラブメンバーの中のフィッシングクラブの告知掲示板。人が集まれば、色んなことで楽しめる。このクラブのアクティビティはこのスペースを飛び出して、様々な場所、様々なお楽しみへと広がっているようです。

 

 いま、日本に欠けていて、実は多くの人々がこれから必要とするはずのことって、こういうことなんじゃないかと思うんです。

 とりわけ地方にとっては、高齢化や人口の減少、それに伴う衰退が懸念される中で、具体的な問題はこれからもっと色んな局面で目に見えて表れてくるでしょう。そうした問題の多くは、「人々の孤立化」というキーワードで説明出来ることだと思います。

 集まる場所があるからこそ、みんながそこに集う。集まれば、必ず楽しい何かが産まれますし、活力も湧く。顔を合わせれば、互いに助け合い支え合うことが出来る。都会にはそういう場所はいくらでもあるでしょうけど、地方には恐らく殆どない...というか、どんどんなくなっていっているのではないでしょうか。

 ハッキリ言って、今日ご紹介したペンリスクラブにも、若い客なんか一人もおりません。年齢層としては完全に働き盛り世代より上のみ。ただ、男女は問わず集まっていましたし、それらの人々が互いの仲間と、あるいはそうした仲間の枠を超えて楽しんでいる姿は、とても印象的でした。

 

 このレース場には、じっとレースを見て、券を買って遊んでいる人なんて、殆どおりません。レース場本場の券の売り上げなんて恐らく雀の涙にもならないぐらいのはずですし、レース場もそれで儲けるつもりなど毛頭感じられません。
、しかし、このレース場には人がこうして集まってくる。それが全てではないけれど、でもレースや賭け事がそんな人たちを繋ぐとても大きな役割を、確実に果たしていることがわかります。

 

 例えば、日本で(とりわけ地方に)場外発売所を作ろうとすると必ず、発券機能と、レース放映機能、この2点「だけ」しか持たせない施設を作ってしまいます。これは、せっかく人が集まる要素がある、具体的に言うとレースに興味のある人は少なくとも集まる可能性がある場所を、わざわざその要素・可能性の限度までで自ら限定してしまう行為に他なりません。

 ファンが集まる場所、ではなく、その地域の人々が集まる場所になれるかどうかが、とりわけ地方のレース場なり場外発売所のこれからの存在意義になることは、ほぼ間違いない。ならば、やるべきことの一つのアイディアは、今回私が写真で紹介したようなことなんじゃないかと思うのです。

 私が、地方の小規模な場外発売所に

「一角に畳部屋を作って、将棋盤と碁盤と湯飲みを置くべし。」

と説くのは、その方向性を意識するからです。

 

 勿論、レースを開催することによる券の売り上げというのは、とても大事な要素です。それで生計を立てるという大きなテーマがなければ、そもそも民法の枠を超えてまで公営競技をやらせてもらう意味がありませんから。ご紹介したオーストラリアのケースでは、レース開催自体の経済を、全国的に馬券を発売するTABのシステムとか全土のレースをくまなく放映するスカイチャンネルが支えているということも、とても重要な背景要因になっています。この点も、日本において例えば他のレジャーとか他の消費経済に比べて公営競技が不利な競争を強いられている要因になっています。

 この点は、それこそ楽天競馬などのネット系発売チャネルが整備されてから、地方競馬における世の中の様相は劇的に変化したはずです。
 しかしそれは、まだネット上のヴァーチャル(カネの流れだけリアル)な中の話でしかありません。それこそTABが果たしているように「リアルな」人々の繋がり、そしてその媒介に競馬が、あるいは公営競技がなっていくという役割には、まだ少し距離がありそうです。
 理想は、そういうことでしょう、恐らく。

 

 イメージするのは、レースを楽しむ人たちだけではなく、その地域の多くの人たちの「井戸端」になれる場所。何はなくても、そこに行けばとりあえず誰かいて、時を過ごせる。ついでにお金も使って楽しめる。何となく、そこに足を運ばないと寂しく感じる。そういう場所作りに公営競技がきちんと貢献できれば、少なくとも私たちの世代が生きている間は(笑)公営競技も大丈夫でしょう。
 逆に、そういうことが意識できないと、存続するのはとても厳しい。これは、このぎょうかいだけではなく、個人を相手にするあらゆる商売・業界に共通に言えることなんだと思います。

 

 今回の取材で、公営競技にそういう可能性は十分あるということを確信しました。ただし、その一方で「やりよう」というものがとても大事だということも感じました。

 もしもWIN5で2億とか当たっちゃったら、そのお金でこういう場所を作って運営できたらいいなぁ~と本気で考えています。
 そんな夢を抱きながら、来週以降も頑張って馬券を買い続けよう、ウン。




最終更新日  2011年07月26日 12時34分19秒

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