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カテゴリ:能・狂言
昨日、伊豆の伊東温泉に「伊東祐親まつり・弟9回伊東温泉薪能」を観にまいりました。
本来であれば、このプログラムの写真のように、川の上に作られた伊東市松川水上特設能舞台と客席で、月明かりの中で、心地よい風を感じながらの薪能のはずでしたが…。残念ながらの雨模様。で、会場は伊東観光会館に変更になりました。 まずは、「伊東市三曲連盟演奏」ということで、琴と尺八の演奏から舞台は始まりました。久しぶりに聴く琴の音。川の上であれば、より心地よく響いたかもしれません。 そして、伊東市の小中学生による子供仕舞「清経」・「船弁慶」・「小袖曽我」と、「子供連吟・高砂」。一生懸命演じている様子がとてもほほえましく思えました。私のお隣の席の方は、出演者のお母様らしく、終わるまで、とても緊張なさっているご様子でした。 休憩をはさんで、主催者の挨拶、火入れの儀、そして、簡単なお能の解説がありました。簡単でありながら、みどころの説明などとてもわかりやすい解説でした。また、薪能はとても風情がありり、本来の能上演の形式に近いものではありますが、能楽堂のように閉ざされた空間で見ることによって、能の持つライブ的な緊張感が伝わり感じ取れるのではないかというお話でした。 昨日の演目は、狂言「仏師」、能「隅田川」。 私の席は、最前列センターブロックの右より。会館になったことで、より舞台に近く、ラッキーだったかもしれません。 昨日の萬斎さんの演じた役が、客席から見て、右端で演技をなさるもの。偶然にも、ちょうど私の真ん前。 萬斎さんが舞台に登場されてこちらに歩いてくる時に、目が合いました。その瞬間、萬斎さんの口元がほころんで、「ニヤッ!」とされました。 “えっ、ニヤッ” 最近は、萬斎さんも私の顔を覚えてくださっているようで、舞台を観ていると、目が合うこともしばしばあります。ですが、いつもは、演技中のこともあり、表情を変えたりなさらないのですが、昨日は…。 「こんなとこまで、来てるの?」と、思わず、苦笑~。そんな雰囲気を感じ取ってしまい、つられて私も、「ニタッ!」と笑ってしまいました。 狂言「仏師」は、持仏堂を建立した田舎の男(高野和憲)が、そこに修める仏像を買い求めて都へ上がります。都で仏師をさがしているうちに、詐欺師(野村萬斎)に会い、詐欺師は自分は技術のある仏師であると言い、仏像を作ろうと持ちかけます。詐欺師は、仏の面を着用して、仏像になりすまします。(人間が化けたって仏像には見えないでしょう~なんてつっ込みをいれてはいけませんが。)田舎者は仏像を見て、手の印相が気に入らないので直してもらおうと仏師を呼ぶと、詐欺師は面を外し現れ、更にまた面を付けて元の場所に戻り、印相を変えて立ちます。これを何度が繰り返すうちに、とうとう間に合わなくあり、ばれてしまいます。 昨日は、子供さんも多く、非常に笑いが素直でストレートで、演じた萬斎さんも気持ちがよかったのでは~と思いました。 能「隅田川」は、名前のとおり、隅田川が舞台です。 渡し守(村瀬純)が乗船客を待っていると、都から下ってきた1人の女(梅若万三郎)がやってきます。この女は、子供を人買商人にさらわれて、その子の行方を尋ねて迷い歩き、心も疲れ果てて、この東国までやってきたのでした。ちょうど、対岸では大念物が行われており、渡し守はその由来について語ります。 1年前、人買商人が12,3歳くらいの子供を連れて、奥州に向かおうとしていたが、子供は、慣れない旅で大病にかかり、この川岸で倒れました、商人は、その子を置き去りにして奥州に行ってしまいました。近辺の人々が介抱しましたが、そのかいなく、その子は、自分の身分を明かし、この道のほとりに埋めて墓標に柳を植えて下さいと言って、亡くなりました。 その話をきいて、間違いなく、その亡くなった子が、自分の子だとさとった女は悲しみに打ち沈みます。そして、その塚に念仏を唱えていると、塚の中から、わが子、梅若丸の声が聞こえ、亡霊が現れます。女は狂喜し、その姿にすがろうとするのですが、幻は消えては現れ、消えては現れ…。そして、夜は明け、その姿は消えうせ、ただ墓標のみが寂しく残るのです。 この能は、墓標に模した作り物の中にいる子方が、地謡の「南無阿弥陀仏」も声に合わせて、急に、子供らしい甲高い声で「南無阿弥陀仏」を唱え始めます。その声を聴くと、思わず、涙してしまいます。可愛い声でありながら、哀調をおびているのです。そして、白装束にざんばら頭の可愛いいでたちで幽霊となって姿を現します。 昨今の子供が犠牲になる事件が多いせいか、さらわれた子供が亡くなってしまう話は、現実味があるようで、昨夜は客席のあちらこちらから、洟をすする音が聞こえてきました。 薪能ではなくて残念でしたが、ホールの間近な舞台で拝見できてよかったのかもしれません。でも、来年は、できれば水上舞台で拝見したいと思いながら、帰途につきました。 ☆ブラウスショップの商品を入れ替えました。 ☆ドレスアップ用アイテムの商品を入れ替えました。 濃縮温泉シリーズ 【伊東温泉】 500ml 伊東温泉グルメの旅 名産干物セット お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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