太陽に向かって
総合点:88 お勧め度:★★★★+(ストーリー展開)=8 (独自性・発想)=9 (映像)=9 (音楽)=8.5発売日:2008年4月4日【新品DVD】「太陽に向かって」スペシャルフィーチャーDVD-BOX(3 枚組)クォン・サンウ●2003年 韓国ドラマ SBS放送(全20話)出演:◇クォン・サンウ(カン・ソンミン=高速艇の艇長を勤める海軍大尉。中学3年の時に両親を亡くし、最愛の妹を育て一緒に暮らす。正義感溢れる好青年だが、単純で、思ったことはすぐに行動に起こす行動派。人情厚く、部下や海軍仲間からの信頼も厚い)◇キム・ジョンファ(カン・スジン=ソンミンの妹、医大生。ソンミンの部隊の兵長ジェヒョンと付き合うことになる)◇チョン・テウ(チョン・ジェヒョン。大学を出て兵役で海軍に入っている。除隊後はITベンチャーを起こすのが夢だが、根性が無く、休暇が取れればナンパの日々。或る店で自分はベンチャーの部長だと偽って、スジンと付き合うことに・・・)ミョン・セビン(チョン・ヘリン=個人病院に勤める女医・外科医。一年前に婚約者を事故で失い、そのショックから立ち直れないで居る。正義感が強いが、父親育ちで心の弱い面も持つ)◇チョン・ソンファン(イ・スンハ=ヘリンと同じ病院に勤め、ヘリンとは大学時代先輩に当たる医者。ヘリンの恋人・ウジンとは親友だったがヘリンに思い焦がれ、ウジン亡き後、ヘリンを得ようと必死になっている。ソンミンのライバル)◇ボナ(イ・ユジン=ウジンの妹、服飾のブティック経営者。頭が良く、兄の死も受け入れることが出来る理性的な女性。ヘリンの親友で彼女には幸せになって欲しいと願っている)◇オ・ジュウン(ジナ=スンハの病院に勤める看護師。スンハに思いを寄せる)●海軍の高速艇の艇長であるソクミンは、緊急出動の際に副艇長の車で港に向かうが、路上で蛇行する車を見つけ居眠り運転と判断、運転者を救うおうとする。車は急ハンドルを切って路肩の耕運機にぶつかって大破するが、ソクミンは車内から男を運び出し、救急車を呼ぶ。 1年後、医大生である妹のスジンが腹痛で入院し、盲腸の手術を受けることになった。ソクミンは、たった一人の肉親・スジンが心配で仕方がない。心配して病院で大騒ぎをしてしまい、担当した女医のチョン先生(ヘリン)を困らせる。声が大きく、あれこれと病院で大騒ぎするソクミンだが、手術後に「おなら」が出て喜ぶ二人を見て、いつもは冷静で感情を外に見せないヘリンも、思わず微笑んでしまう。 子供が産まれそうな妊婦を艇で病院に運び、ヘリンのおかげで母子共に健康で出産ができると、ソクミンは抱き合って大喜び。一方、退院したスジンは友達と飲みに行き、カン艇長の部下ジェヒョンにナンパされる。■ストーリーラインが直線的で、始まって余り進まないうちに大筋の展開がほぼ見えてしまうきらいはありますが、演出と役者さんの演技は大層に旨くて、最後まで物語に入って見ることができました。ここでは恋人を亡くしたヘリンと、純情・熱血一筋のソンミン大尉の大人の節度ある恋が主体なのですが、子供っぽいジェヒョンとスジンの今風の恋や、編隊長の遅まきの恋などが旨く織り込まれていて、話に幅を創っています。だいぶ韓国ドラマを見てきてしまっているがために、少し単純過ぎるストーリーと感じていると思うので、韓国ドラマ暦の浅い人にはお勧めかも。 例によって、感想を簡単に箇条書きで。***************************************************************************************◇クォン・サンウさんを僕は凄いイケ面と思ってはいないですが、妙に人懐っこいというか、表情(特に悲しいときの)の出し方が好い人で、このドラマでもその魅力が良く引き出されている。身近にこういうソンミンみたいな好血漢で人情豊かな男がいたらいいなあ・・・と、ドラマを見ながらずっと思っていました。ソンミンはいい男です! 軍人は明日の命が知れない、ということは本当です。自衛隊に友人が居たことがありますが、その彼は若い頃、教官として二十歳そこそこの若い隊員に手榴弾の扱いを教えていた。実弾です。 あるとき、若い隊員がピンを抜いた手榴弾を足元に落としてしまった。ビビッテしまったのです。そのままだとそこで爆裂して、明らかに二人とも死んでしまいます。教官だった彼はすぐにその手榴弾を拾って投げ、若い隊員を庇って地面に伏せ、事なきを得たそうですが、そのとき頭に走馬灯のように人生が浮かんだそうです。この気持ち、分かる。岸壁登っていて落ちそうになったとき、同じことが起こります・・・。◇ストーリーの後半で、ヘリンが父親の遺言を信じて嫌いな男・スンハに嫁ぐことにするのですが、ここはストーリーに無理があるなあ・・・。ヘリンのその行動は、ドラマのための筋書きつくりのように感じられる。ちょと辛い。◇このドラマでは、若くて今風の感覚のジェヒョンの描き方と、人格的に高いものを持つボナの描き方が旨いですね。とくにボナは、ヘリンの心理を端から説明する大事な役で、彼女の言動を見ていると安心感がある。自分の日常生活でどういう言葉を使ったら良いのか判断に迷うことがありますが、彼女の発する言葉は、大層勉強になりました。シチュエイションに対する正しい理解はこうなんだ、なんて感心してしまいました。◇予定調和的な進行ではありますが、結構お勧めです。終わったときの印象も明るい。太陽に向かって、という表題も分かる気がする。物語の中で、ひまわりやユリの花が人間の心理志向の説明に使われますが、このあたりも旨い! 花粉アレルギーを治してあげようと、苦労して漢方薬作る筋立てなんかも凝ってますね。