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映画ドラマ・千一夜

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December 9, 2005
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カテゴリ:韓国ドラマ
総合点:90 お勧め度:☆☆☆☆☆
(全体総合)13 (シナリオ・セリフ)=9 (映像、画の出来)=9 (展開・発展性)=9 (音楽)=10 (物語の完結性、完備かどうか)=9 (独自性・アイデア)=9 (構想度)=9 (思い入れ+後に残ったインプレッション:感性面)=13

●1998年韓国ドラマ MBC 監督:キム・サヒョン キャスト:リュ・シウォン(イ・セジュン) キム・ヒソン(ハン・ソヒ) キム・ホジン(チャン・ミンヒョク) イ・ジョンス(ジェソク) キム・ソナ(ファン・ジヨン)
●何とも辛いドラマでした。これから説明を試みるのですが、旨く行くか自信がない。ストーリーに立ち入って書くので、まだ見ていない人はドラマ見てから読んでください。
●最初は勧善懲悪基本の何時もの韓流ドラマかと思っていたのです。主演もリュ・シオンとキム・ヒソンで、「プロポーズ」ライクの。でも、全然印象が違いました。このお話では、最初から始まって終わり手前の99%までのところまで心理的に納得が行かない状況が続き、どうにもこうにも旨く納得が行かなかった。その辺を追って書いてみます。
●主人公はイ・セジュンと言って、母一人で孤児院を経営する人の次男という設定です。こういう場合その母親は、人口10万人に一人というような「心が優しく、心の広い人だ」と僕は思うのです。世間一般に居る利己的な人では、とても孤児院の園長先生なんか勤まらないでしょう? よって各場面で、「こういう行動を取るかなあ?」という疑問が付きまとうのです。
 一つにはその母親が、息子セジュンの幼い頃からの友達(というか運命の人)・孤児の女性ハン・ソヒを、とても嫌うのです。確かに自分の息子だけは苦労せずに生きていって欲しいと思うのは分からない訳ではないのですが、財布が無くなったのを大して調べもせずにソヒのせいにしたりする。こういうことをするものでしょうか? こういう問題は、後ろ盾のない優しい心根の人間には、人生を揺るがすような大問題であるのに、そういうことを平気で、立派な園長先生がするものかなあ?とどうしても思うのです。つまり、何となく脚本が稚拙に感じられる・・・。この母親はその後、何回も登場するのですが、毎回言うことのレベルが同じで成長がない。どうもそこが嘘臭いのです・・・。(これが終始引っかかってしまうのです)
 それに、ソヒは結局その母親に孤児院を追い出されるのですが、ずっと育ててきた孤児らの先を考えずに追い出すなんて、こういう職業に付いている人がそう酷いことをするものでしょうか?
●二つ目。心の優しいセジュンは自分が大学で勉強しながらもソヒのことを思い、アルバイトをしながら彼女の生活を支えます。負担にならないようにと思って、お金を送るのが自分であることも隠して。それを知らずにソヒは大学に通うのですが、やがて援助してくれるのがセジュンであることを知って、彼を離れて暮らそうとします。この心情は分からないわけではないけど、ヒロインたる彼女にはもう少し賢くあって欲しいと、僕は心の中で願っているようで、ここらあたりから混乱が始まります。
 よく考えると結局のところ、ちゃんとした夫婦生活であっても、外でお金を稼いでくるのは男の役割で、子供を育てる時間を多く使うのは女の人の役割です。そういうケースが、普通の夫婦のほとんどの形態ではないかと思うのです。家庭の会計では、女の人が外部から具体的金銭を稼いで居ないのはむしろ当たり前の事で、このドラマで彼女はセジュンを一生でこの人だけ、と思っているのであり、自分を思って助けてくれる男性が居て、しかも彼も彼女を愛している、なんて想定なら、彼を離れて暮らすのは、どうも僕には考えられない選択です・・・。
 セジュンは援助することも嬉しくて楽しくて遣っているのだし、元々男の良いところは、好きな子が出来ると勇気百倍、どんな困難でも乗り切ろうと頑張れる所にあると思うのです。素直に(或る意味)甘えてくれるのが、本当だと思うけどなあ・・・。
 ともあれ、この問題は途中で一応解決して行くので通過・・・。
●執着心の強いミンヒョクは、友人の恋人であることが分かっているソヒを無理やり自分のものにしてしまいます。ま、ドラマとしてはありえる想定なんだけれど、その後のソヒの行動がどうも腑に落ちかねる。
 こういうのって彼女にとっては死ぬほど辛いことだと思うのだけれど、どうなんでしょうか? このドラマでは、彼女はそれを半分は平気で受け止めてしまうように感じられるのです。妊娠に気づいた後も、セジュンに平気で発言したりする。そうできるには、彼女が物凄く大人でないと・・・。
 ソヒはセジュンの母親の妨害を受け止めて身を引いてしまうような女の子、という想定です。そうすると、もっとずっと心優しい弱い部分のある少女です。その想定では、彼女はどうもこのストーリーのようには対応しないのでは? と考えてしまう。
 大学2年生というと19歳くらいで、心は物凄く動揺しているはずです。もし彼女がセジュン半分、ミンヒョク半分の気持ちで揺れているなら、ミンヒョク受け入れることになる彼女の選択も分からないではない。途中で、ソヒがいろんなことにお金使って、自分の思いを捨て去ろうとする演出は分からないではないけれど、そうされると彼女があんまり聡明ではないことの裏返しで、心優しいソヒさんへのこちらの思い入れが薄くなってしまう。
 キム・ヒソンさんはこのドラマ出演当時21歳だと思うのですが、受ける映像や行動からの印象がずっと大人に見えます。ナイーブな(或る意味幼くて、この先どうして良いか分からない)少女の心の動きが、どうもいまひとつ旨く表現できていないように思われ、それが心に旨く収まらなかった。(ただ、後半は表現良く、実際に近い感じが出ています)
●確かにミンヒョクはお金持ちのドラ息子で、金はいっぱい持っているのは分かりますが、性格は酷い人間に描かれていますから、ソヒさんが金銭に困っても、こういう男に頼るかなあ・・・? どうも腑に落ちてこない。
 でも端で見ている視聴者である僕らには、彼の性格がよく知らされるのだけれど、彼女は劇中、彼の性格が旨く見抜けるほど大人じゃない(?)想定なのかな? その辺の描き方にもう一つの工夫が欲しかったです。と・・・。
●ソヒはこうした経緯で身篭った子を、産んで育てようとするのですが、その優しい心根は分かります。でも、こういう場合、その生まれてくる子は本当に幸せでしょうか? そこが物凄く考えさせられるところです。望まれてしたのではない妊娠である事実は事実であって、いつかその子はそれを知らされることになる。親はそれをどう伝えるのでしょうか? 本当のことをいうのか嘘を付き通すのか・・・。
 昔、「大草原の家」というドラマがあって、その中でもこうした事情に近い場面がありました。そのときのインガルス奥さんは、非常に高い概念でこれに応えていたように思うのです・・・。
●ソヒが白血病で、次第に体が弱って考え方も揺らいでゆくのは分かります。人間健康でないと健全な考えや勇気が湧かない・・・。それは確かな事実です。
 こうして最後、母親となったソヒは病気で死に、ミンヒョクも酒を煽って車を走らせる。ミンヒョクの性格からすれば、「自ら責任を感じて自殺する」って想定は全然納得行かないけれど、もしそうしないと性暴力肯定ドラマになってしまうので、ここだけこうしたものか? ドラマの最後にリュ・シウォンさんのインタビューが入っていて、その中で、このお話は実話を元に作られている旨が語られるのですが、どこがどこまで実話なのか・・・、考えさせられてしまうのです。
●最後、父親と母親がそれぞれに他界して、残された幼い命は真に心の優しいセジュンに委ねられます。その少女が父親ライクの憎たらしい子でなく、母親の持っていた特質を受け継いでいるような可愛らしい子にドラマでは設定され、その可愛らしさが風船の場面で大変旨く表現されるし、それを見守るセジュンのリュ・シォンの表情がまた素晴らしくて、急にこの場面で見る側は心救われたりするのですが、まあそれにしても、何とも納得が行きかねるものが残ってしまう。
●このドラマでは、平行して描かれる孤児・ジェソクと彼を想うヘジョンの生き方・性格は纏まっていて旨く描かれ、また、セジュンの大学教授とその娘ジヨンの描き方も旨い。特に、孤児院で育ち、鬱屈した青春を送らなければならなかったジェソクのジヨンに向けての思いは旨く表現できていると思います。(性格の統一性が、やっぱどこかで必要なんだな、きっと)
 終始人間として考え方のしっかりしている大学教授とセジュンは、見ていて安心感があります。ただ、セジュンは、恋する人に「貴方は私にとっては負担です」と言われると、混乱してしまいます。心優しい男性はそう、そういうとき、混乱しがちです。僕にもそれはよく分かる・・・。
●人は誰に行き会えるかで、ほぼその人生の90%は決まってしまいます。元気が出るか出ないかも、病に落ちて立ち直るか直れないかも。生きてゆく上で実力は大きな要素かもしれないけれど、運が良いことが実は最も大事です。
 日露戦争のとき、何故ああいう人物を大将として選んだか、という話が司馬遼太郎さんの「坂の上の雲」に書かれていますが、「彼は運の良い男だった!」というのがその理由だった、という一節がありました。
 「運」は通常は旨く説明ができないように思えるけれど、確かに本当にあります。最先端の研究などは、ほとんどそれで決まっているのではないかとさえ、思うんです。実力のある人は世の中に多数います。本当に物凄く多数居る。でも、運が良いかどうかは、別な話なんです。神様が、大自然が、初めから決めているようなのです。
●余談的になりますが、音楽について。
 冒頭流れる主題曲は、ソヒの受けなければならなかった哀しい運命や哀れさ、セジュンの優しさや大きな心を映していてなかなか素晴らしい旋律で、出来が良いと思いました。劇中での他の音楽も、嵌め方が申し分ない。
●という訳で、何かとても収まりきれない(僕の中では)未完のインプレッションで終わったドラマです。





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Last updated  October 27, 2007 10:59:21 PM
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